江の島・釣り・青春。
3つのキーワードを聴くだけで、凄い楽しそうなアニメの予感がしてきますよね。
今回は見るだけで海に行きたくなる、ちょっと癖の強い一筋縄ではいかない青春フィシングストーリー、『つり球』について配信情報なども交えつつ語っていきたいと思います。
『つり球』とは
© tsuritama partners
TVアニメ『つり球』振り返りPV【BD-BOX:2020年4月1日発売!】
あらすじ
舞台は湘南・江の島。
懐かしさと瑞々しさの同居した町。
他人とのコミュニケーションが異常なほど苦手なため、
これまでの人生でまともに友達がいた試しのない高校生・ユキ。
自称宇宙人、ユキに釣りをさせようとする少年・ハル。
生まれも育ちも江の島の地元っ子、周囲のいろんな事になんだかムカついているらしい少年・夏樹。
つかず離れずの距離から彼らを見つめ続ける謎のインド人、アキラ。
青春をこじらせてしまっている4人が出会い、釣りをして、
小さな島は、大きな物語の中心となり――。
ここから始まる、SF(=青春フィッシング)物語!
スタッフ
監督:中村健治『怪 〜ayakashi〜『化猫』』『C』『ガッチャマン クラウズ』
シリーズ構成:大野敏哉『スイートプリキュア♪』『すべてがFになる THE PERFECT INSIDER』『宝石の国』
キャラクターデザイン:宇木敦哉『センコロール』『デジモンアドベンチャー tri.シリーズ』
アニメーションキャラクターデザイン:高橋裕一『マクロスF』『コメット・ルシファー』『星合の空』
音楽:栗コーダーカルテット『キョロちゃん』『ピタゴラスイッチ』『奥さまは魔法少女』
制作:A-1 Pictures
製作:tsuritama partners
キャスト
真田ユキ:逢坂良太
ハル:入野自由
宇佐美夏樹:内山昂輝
アキラ・アガルカール・山田:杉田智和
ココ:加藤英美里
海咲:冨永みーな
さくら:小倉 唯
えり香:山本希望
ケイト:平野 文
おすすめポイント
2012年の春に放送された本作。
新型コロナウイルスの影響の臨時処置として、2020年春に8年ぶりに再放送となりました。
もう8年も経ったのか…
と時間の経過を早く感じつつも、色あせない『つり球』の世界の魅力を8年経った今でも感じることが出来ました。
異色な作品が多いノイタミナ作品の中でも特に異色な本作について、以下の3つのポイントで語っていきたいと思います。
・変わったSF展開で描かれる、青春をこじらせてしまった4人の成長
・スタッフもキャストも超豪華!8年経った今だからわかるそれぞれの活躍
・癒される栗コーダーカルテットのBGMと忘れられない主題歌
変わったSF展開で描かれる、青春をこじらせてしまった4人の成長
本作の主人公、真田ユキは江の島に引っ越してきた男子高校生。
何度も転校をしているせいでコミュニケーション能力に問題があり、緊張してしまうと顔を真っ赤にして「般若」のような怒っている表情になってしまう男の子です。
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ユキと同じ日に転校してきた自称宇宙人のハル。
かなりの変人で誰も予測できないような素っ頓狂な行動をよくとりますが、コミュニケーション能力は非常に高く、島の多くの住人と友達になっていました。
何やら江の島に重大な目的があって訪れたようです。
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「釣り王子」と釣り界隈では呼ばれている、宇佐美 夏樹。
釣具店でアルバイトをしていますが、バスプロになるかならないか、江の島を離れるか離れないか、家族の問題など様々な悩みを抱えています。
その為いつも不機嫌で、楽しい青春の日々とは縁遠い生活を送っています。
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異星人を調査・捕獲する組織、DUCKに所属し宇宙人のハルを監視するため、日夜活動を続けている、アキラ・アガルカール・山田。
自分の正しいことを貫こうとする性格で、DUCKの方針とそりが合わないことが多い、カレー大好きインド人です。
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こんな4人が「釣り」という共通の趣味を通じて仲を深めていくSF(青春フィッシング)ストーリー。
「あいつ」が江の島に近づき、江の島の住人が操られ、江の島踊りを始めてしまう現象から地球を守る、SFストーリー。
2つのSFストーリーが描かれる、ものすごく変わった作品です。
でも根っこのところには友情や家族愛といったテーマが強く描かれた暖かい作品です。
子供の頃から今にいたるまでずっと我々が悩み続けるようなテーマも描かれていて、ノスタルジックを感じつつ、青春ならではの彼らの勢いに元気がもらえる作品にもなっています。
江の島を舞台にしたからこそ描ける、魚料理や釣りの楽しさ、青春の夏休みを見れば海に行きたくなること間違いなしです。
忠実に再現された街並みも素晴らしく、聖地巡礼のし甲斐がこれほどある作品もそうないでしょう。
江の島は混雑が予想されるので今年は行かないようにしようと思っていますが、いつか行ってみたい聖地の1つです。
先日投稿した聖地巡礼に関する記事はこちら。
スタッフもキャストも超豪華!8年経った今だからわかるそれぞれの活躍
2012年当時はそれほどスタッフ・キャストを意識していませんでしたが、今思うと本当に凄いメンバーがそろっていたなあと驚きます。
中村健治監督が作る作品は、社会的なメッセージ性があるものが多く、『C』や、『つり球』の後に作られる『ガッチャマン クラウズ』は自分も大好きな作品です。
当時は『つり球』という作品の世界観をどうやったら思いつくんだろうと困惑していたものですが、
「中村健治監督の作品だからね。」
と言われれば今なら納得できる、中村健治監督らしさ溢れる作品になっています。
シリーズ構成は大野敏哉さん。
『ガッチャマン クラウズ』はもちろん、最近の作品で言えば『宝石の国』、『約束のネバーランド』など、非常に癖の強い作品でシリーズ構成を担当しています。
『つり球』で言えば、中村健治監督の独特な世界観を見事に言語化し、要素が盛りだくさんな本作を12話と言う短い尺で綺麗にまとめた立役者です。
特に先ほどの4人の成長の描き方は説教臭くなく、気持ち良い青春の爽快感が感じられます。
大野さんは本作のノベライズも担当されています。
一人で監督・脚本・作画を務めた『センコロール』が代名詞の宇木敦哉さん。
動きを重視したキャラクターデザインが特徴の高橋裕一さん。
2人がそれぞれキャラクターデザイン・アニメーションキャラクターデザインを担当されています。
シンプルなキャラクターデザインは青春の素朴さを感じさせてくれ、釣りのシーンなど思いっきり動かすシーンはキャラクターのしなやかな動きが非常に気持ち良いです。
やはり何と言っても最終回の釣りシーンは何度でも見返したい、大胆で気持ち良いカットになっています。
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キャストも非常に豪華でメインの4人はそれぞれ、逢坂良太さん、入野自由さん、内山昂輝さん、杉田智和さんが演じています。
特筆すべきは、やはり逢坂良太さん。
なんと『つり球』の真田ユキ役が初主演。
到底初主演とは思えないような、素晴らしい演技を見せてくれます。
特にユキは叫ぶシーンや、どもるシーン、怒るシーン、心配するシーンなど喜怒哀楽がかなり強いキャラクターなので演じた逢坂さんの苦労もうかがえます。
今では数多くの作品で主演を務める逢坂良太さんのルーツをこの作品を見て感じていただきたいです。
癒される栗コーダーカルテットのBGMと忘れられない主題歌
『キョロちゃん』や『ピタゴラスイッチ』で有名な栗コーダーカルテットさんが劇伴を担当している本作。
どの楽曲も非常に印象的で、2012年の夏はずっとサウンドトラックをリピートしていたのを覚えています。
小学校の頃は誰もが吹いていたリコーダー。
リコーダーとギターのシンプルな音色で昔を思い出して懐かしい気持ちになる「つり球マーチ」や「朝、江の島」。
こういった楽曲に癒されるのももちろんなのですが、最終回など緊迫した場面で流れた「最後の戦い」など、基本優しくて可愛らしい音が出る楽器を用いて表現する"緊張感"。
楽器や音楽の奥深さを感じられるサウンドトラックになっています。
主題歌もアニメ史に残る名曲。
OPテーマは、
『徒然モノクローム』/ フジファブリック(作詞:加藤慎一 作曲:山内総一郎 編曲:フジファブリック)
フジファブリック 『徒然モノクローム(期間限定full size version)』
フジファブリックさんの楽曲の良さって口や文字で説明するのは難しいですが、それぞれの楽曲がフジファブリックさんらしさに溢れていますよね。
「ゴールデンタイム」や「LIFE」、「ポラリス」など今では多くのアニメタイアップを持っているアーティストで、中島愛さんに提供した「サタデーナイトクエスチョン」も非常に大きな反響を呼びました。
韻の踏み方が非常に気持ちよく、ついつい口ずさんでしまうような独特なメロディと歌詞が特徴的です。
サビの歌詞には仕掛けがあり、「ハル」、「ナツキ」、「アキラ」、「ユキ」の文字が隠されているという『つり球』ファンにはたまらない1曲。
青春感溢れるまっすぐ心に届いてくるボーカル山内さんの声もぴったりすぎます。
個人的に一般人とカラオケに行くときに歌う定番曲です。
EDテーマは、
「空も飛べるはず」/ さよならポニーテール(作詞・作曲:草野正宗 編曲:マウマウ 324P)
原曲は言わずと知れたスピッツの名曲、「空も飛べるはず」。
当時CMを見た時は、このMVがただただ怖くて目をそらしていたような覚えがあります。
今聴くと、素朴な少女の歌声がノスタルジーを刺激する良いキャスティングだなあと思います。
ちなみにこのPVの3人はさよならポニーテール本人ではないらしいです。
こじらせた青春を送っていた4人が出会い、絆を深めてそれぞれの自由を手に入れた。
そんな『つり球』のキャラクターの成長が歌詞と見事にリンクしています。
かなりの危機に陥りながら、どこかのほほんとした、『つり球』世界の江の島のゆるい感じともぴったりです。
これが『つり球』の世界観だ。
というのが音楽面でもしっかり提示されていた、素晴らしい劇伴と主題歌でした。
配信情報
FOD、dアニメストア、U-NEXTなど各種見放題サービスにて絶賛配信中です。
この夏、江の島に行く予定のある方はぜひとも行く前に見ていただければ、旅行がより楽しくなること間違いなしな作品です。