ラップバトル。
韻を踏みながら会話を成立させなければならず、身体の動きも相まって基本アニメでやるのは難しい行為なので目にすることは非常に稀。
最近で見たのは『ゾンビランドサガ』ぐらいでしょうか。
今回は1分20秒にもわたる長尺でラップバトルを見事に描き切った神回、第7話について全文を書き起こしながらその凄さについて語っていきたいと思います。
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』とは
©渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。完
Copyright© 1995-2020, Tokyo Broadcasting System Television, Inc. All Rights Reserved.
あらすじ
過去のトラウマと、独自のひねくれた思考回路によって
「ぼっち生活」を謳歌しているように見える比企谷八幡は、
ひょんなことから生活指導担当教師、平塚 静に連れられ「奉仕部」に入部する。
同じ部に所属する息を呑むほどの完璧美少女・雪ノ下雪乃や、
クラスの上位カーストに属するギャル・由比ヶ浜結衣とともに、
クラスメイトの人間関係の問題の解決から生徒会の手伝いに至るまで、
数々の案件をこなす毎日をすごしていた。
季節は移ろい、春。
雪乃から最後の依頼を受けた八幡と結衣。
3月の卒業式を控えた中、いろはからプロムの協力を求められ…。
――本物を求めた八幡は3人の関係を変えていく。
果たしてこの先、彼の高校生活はどんな結末を迎えるのか!?
スタッフ
原作:渡 航(小学館「ガガガ文庫」)
キャラクター原案:ぽんかん⑧
監督:及川 啓『みなみけ おかえり』『アウトブレイク・カンパニー』『ウマ娘 プリティーダービー』
シリーズ構成:大知慶一郎『金色のコルダ Blue♪Sky』『ヒナまつり』『五等分の花嫁』
キャラクターデザイン:田中雄一『LAST EXILE』『とある魔術の禁書目録』『スクールガールストライカーズ Animation Channel』
美術監督:池田繁美、丸山由紀子
美術背景:アトリエムサ
色彩設計:岩井田 洋
撮影監督:中村雄太
編集:平木大輔
音響監督:本山 哲
音響制作:デルファイサウンド
音楽:石濱 翔(MONACA)、高橋邦幸(MONACA)
音楽制作:NBCユニバーサル・エンターテイメント/マーベラス
制作スタジオ:feel.
キャスト
比企谷八幡:江口拓也
雪ノ下雪乃:早見沙織
由比ヶ浜結衣:東山奈央
一色いろは:佐倉綾音
比企谷小町:悠木 碧
戸塚彩加:小松未可子
葉山隼人:近藤 隆
材木座義輝:檜山修之
平塚 静:柚木涼香
雪ノ下陽乃:中原麻衣
三浦優美子:井上麻里奈
海老名姫菜:ささきのぞみ
川崎沙希:小清水亜美
戸部 翔:堀井茶渡
第7話「最後まで、由比ヶ浜結衣は見守り続ける。」
あらすじ
材木座からの紹介で遊戯部の秦野、相模の協力を取り付けた八幡と結衣。
5人での打ち合わせは遅々として進まない。
「だからさ、もっとおっきなイベントにしたらいいんじゃない?」
結衣の一言でプロムの方向性が決まり、計画は動き出す…
スタッフ
脚本:大知慶一郎
絵コンテ:及川啓、今井翔太
演出:山中祥平
作画監督:五十子忍、北村友幸、清水直樹、立田眞一、林信秀
総作画監督:清水慶太、枡田邦彰
ピックアップポイント
秦野、相模への協力取り付け
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雪乃のプロム案に対立するダミープラン計画のため、秦野、相模に協力を取り付けます。
「言い方は悪いが、無料で使い放題の労働力としてお前らの力が必要だ。オリンピックのボランティアだと思って諦めて協力してくれ。」
ここまで悪い言い方が出来るのはさすがヒッキー。
ただ変に希望を持たせるよりは、元々無意味なことを手伝ってもらうということに承諾してもらう必要があることを考えての発言なのでしょう。
昔のヒッキーであれば絶対にやらないであろう面倒なことですからね。
自分も高校の文化祭で多くの人に協力してもらう立場にいましたが、今思えば綺麗ごとを並べ立てて人の善意に付け込んでいたのかもしれません。
ここまで真っすぐに物事を言えるヒッキーにちょっと羨ましさすら感じてしまうアバンです。
イベントの規模を大きく
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秦野、相模に納得してもらい、どのようなイベントにするか話し合いをする一行。
プロムをするだけでは雪乃のプロム案に対抗できないと考え、結衣の提案でイベントの規模を対保護者の大きなイベントにする方針へ変更しました。
規模を大きくすれば保護者の目に入る機会も多くなり、止められる可能性も増えるでしょう。
このあたりの発想力はさすがヒッキーといったところ。
クリスマスイベントでも協力しあった海浜総合高校に声掛けをすることに決定。
カタカナ語を連発する意識高い系の玉縄と「それあるー!」でファンからも絶大な支持を受けている折本さんの登場が予見され、期待が高まります。
かわいい小町ちゃん
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お出かけ前の小町ちゃんとヒッキーの会話。
誕生日の小町ちゃんにおめでとうをいうヒッキーとそれに喜んで見せる小町ちゃん。
素直におめでとう、ありがとうと言い合うだけじゃない二人の絶妙な兄妹関係はさすが比企谷家。
ちらっと見える八重歯もSo cute.
こんなかわいい妹に見送られたい人生です。
海浜総合高校に向かう道中
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電車の中でしっかりとビジネス用語を予習するヒッキー。
大体"浅い意識高い系の人"ってビジネス用語集を五十音順で覚えていくので、ア行だけおさえておけばとりあえずOKな感じありますよね。
実際クリスマスイベントの時の玉縄も、かなりこのア行のビジネス用語を中心に使っていたように思えます。
様子のおかしい玉縄といつも通りの折本さん
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「企画書は読ませてもらったよ、多様性を見込んでいくのはいいね。けどそれ以外のことが抽象的すぎるんじゃないかな。」
普段であれば企画書はドラフト、多様性はダイバーシティなどいくらでもカタカナビジネス用語を使えるシーンでカタカナビジネス用語を使わない玉縄。
そしていつも通り「それある!」で入る折本さん。
そんな折本さんも可愛い。
そして始まるラップバトル
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初見で見た時は笑い過ぎて全く内容が頭に入ってこなかったラップバトル。
よくよく聞くとヒッキーはカタカナビジネス用語を使っているのに玉縄はカタカナビジネス用語を使っていません。
折本さんも精一杯の語彙を使った合いの手。
それぞれの個性を出しつつ韻を踏みながら会議が成立している凄いシーンです。
八幡「心配してるのはバジェット?でも予算がないのには慣れっこ なら使うべきだろうガジェット」
折本「それある!」
玉縄「君のお題目はまるで仮初め 規格の中身もほとんどハリボテ 一緒に始めるに際して 具体性が無きゃぼくらも巻き添え」
折本「それわかる!」
八幡「方向性はアバウト 規模を考えてアジャスト 俺がしたいのは サジェスト」
折本「あるー!」
玉縄「方向性が見えてないよね 答えが出ないと企画は立ち消え それも みんなで 考えないとね」
折本「あるある!」
八幡「こっちでもしたんだドラフト勘案 必要なのは土着の看板」
折本「それ!」
八幡「まだ方向性はアバウトなんだが コンセプト的にはつまるところ林間」
折本「ある!」
八幡「俺たち自身の手で巣立つのみんな でも先立つものなきゃ無策のまんま」
折本「わかる!」
八幡「予算に関しちゃクラウドファンディング 視野に入れればもらうの簡単」
折本「それいける!」
玉縄「興味があるのは事実だ でも気になるのはこの言い草 企画書で大事なのはほんの一部だ それ以外の内容はまるで皮肉屋」
折本「それある!」
玉縄「一緒にやるなら僕らはチームだ けど今の僕らは水と油さ」
折本「それある!」
出典:『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』第7話「最後まで、由比ヶ浜結衣は見守り続ける。」ラップバトル
ツッコミどころしかなくてもはやどこからツッコむべきなのかもわかりませんが、練習してきたであろう慣れていないヒッキーのラップ。
それに対してカタカナ語を避けつつ、しっかりとリズムに乗って論破する玉縄の有能さが凝縮されています。
激しいラップバトルをしたものの、折本さんの楽しそうという意見で前向きな形で終了する会議。
こういう究極の意味の無さがまさにエンターテインメントですね。
かわいい結衣
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意気揚々と「やっはろー!」で入室する結衣。
実行委員会でのあいさつを「やっはろー!」で統一しようとヒッキーが提案しますが、それを恥ずかしがって断る結衣の1枚。
本当にこの作品の女性キャラクターはみんな可愛いです。
この可愛さに秦野と相模も陥落。
こんな青春を送りたかったですねえ。
雪乃との遭遇
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一仕事終え、葉山の元へ向かうヒッキー。
道中でちょうど休憩をしている雪乃と遭遇します。
お互いのことを心配しながらも、直接は口に出さず遠回りな言葉を選ぶ二人の会話が愛おしい。
「ロウリュをおかわりした後にグルシン水風呂からの外気浴は整うとしか言いようがない。」
自分も高校のベンチでこんな会話がしたかった。
"ロウリュをおかわり"というのは、サウナストーンに水をかけて蒸気を発生、湿度を上昇させて体感温度をあげることを指します。
"グルシン水風呂"というのは、水温が一桁(シングル)のめちゃくちゃ冷たい水風呂のことを指します。
一般的な水風呂は15℃~18℃ぐらいらしいので、きっと相当冷たいのでしょう。
『無限の住人-IMMORTAL-』第20話で凜さんが入っていた池ぐらいかもしれません。
普通に過ごしていたら耳にすることも無い単語なのできっと渡航先生もサウナにはまっているのでしょう。
ヒッキーと雪乃と結衣
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ずっとこのままではいられない。
3人の本物の関係を見つけなければならない。
恋愛と友情。
それぞれがそれぞれをかけがえのない存在だと思い合っているからこその絶妙な空気感が心地よいような、辛いような、非常に複雑な気持ちになるシーンです。
BGMで流れている「ユキトキ」のアレンジがたまりません。
本当にこのアニメは10分前までラップバトルをしていたアニメなのでしょうか。
予告までラップバトル
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玉縄「次の会議はいつかな 企画 運営 宣伝 事務方 他にもやらないとね自ら」
八幡「先の予定が見えてからかな ていうか変わったよな玉縄 懐かしくなるあのカタカナ」
玉縄「使わないのは僕の戒め そんな君は変わっていないね 腐ったままだ 右目 左目」
出典:『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』第7話「最後まで、由比ヶ浜結衣は見守り続ける。」予告
ファンサービスが過ぎますね。
意識が高い以外の玉縄のキャラクター性も見えて、より一層好きなキャラクターになってしまいました。
おわりに
書き起こすために何十回も聴いていたら耳から離れなくなってしまったラップバトル。
後世にまで神回として語り継がれることになるでしょう。
ストーリーも段々と進んできて、プロムの決着方法や友情・恋愛の行方など先の展開が気になりすぎます。
ラップバトル面白かった!
サウナに興味湧いた!
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今後もアニメに関する記事を毎日投稿していきますので、ぜひご覧ください。
また次の記事で!