人工知能。
現在進行形で我々もお世話になっている、今や生活に欠かせないテクノロジーです。
人工知能がどんどん成長し、人間を越えた時我々の日常・生活はどう変化していくのか。
いわゆるシンギュラリティを迎えた世界を描く『仮面ライダーゼロワン』。
今回は最終回まで放送を終えた本作について、まだ見たことがない人に興味を持ってもらえるような記事を目指し、
具体的なキャラクター名等をほとんど出さずに概念的な面白さがお伝えできればと思います。
『仮面ライダーゼロワン』とは
【新番組 PR】仮面ライダーゼロワン 9月01日(日)放送スタート!
©2019 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映
あらすじ
大量のヒューマギアが心無き存在に悪用され、人類を襲う
飛電インテリジェンスが開発したAIロボ、ヒューマギア。
様々な仕事の現場で従順に働く彼らがやがて暴走する…!?
飛電是之助の遺言は、人類が脅威するシンギュラリティなのか?
君の仕事は人類滅亡だよ。
滅亡迅雷.netの滅、迅は、ゼツメライザーとゼツメライズキーでヒューマギアに悪の魂を吹き込む。
私の仕事は、人間を…滅亡させること。
マギアと化すヒューマギアに密かに国家機関も対抗。
特務機関A.I.M.S.(エイムズ)の諌と唯阿は暴走するヒューマギア=マギアと戦う!
ヒューマギアは殺人マシン、残らずぶっ潰す!
対抗手段はただ一つ。
ゼロワンドライバーとプログライズキー
使用権限があるのは、飛電インテリジェンスの新社長、飛電或人のみ。
変身
或人は、仮面ライダーゼロワンとして戦う。
人々の夢と希望を守るため、ヒューマギアの可能性を証明するため。
お前を倒すのはただ一人、オレだ!
戦いの先にある未来、それはAIとの平和的な共存か、人類の滅亡か!?
スタッフ
原作:石ノ森章太郎
脚本:高橋悠也、筧 昌也ほか
音楽:坂部 剛『デート・ア・ライブ』『帰宅部活動記録』『BAKUMATSUクライシス』
プロデューサー:井上千尋(テレビ朝日)、水谷 圭(テレビ朝日)、大森敬仁(東映)
アクション監督:渡辺 淳(ジャパンアクションエンタープライズ)
特撮監督:佛田 洋(特撮研究所)
監督:杉原輝昭、中澤祥次郎、柴﨑貴行、山口恭平ほか
制作:テレビ朝日、東映、ADK EM
キャスト
飛電或人:高橋文哉
不破 諫:岡田龍太郎
イズ:鶴嶋乃愛
刃 唯阿:井桁弘恵
迅:中川大輔
滅:砂川脩弥
天津 垓:桜木那智
シェスタ:成田愛純
山下三造:佐伯 新
ザット(声):日髙のり子
ナレーション:山寺宏一
飛電其雄:山本耕史
福添 准:児嶋一哉(アンジャッシュ)
飛電是之助:西岡德馬
おすすめポイント
いつかくるシンギュラリティ
平成が終わり、令和1本目の作品という点、0と1の羅列がデジタル世界を表す点等の理由から"ゼロワン"の名前となった本作。
新時代に突入ということで人工知能がテーマの近未来が舞台のお話です。
人工知能を語る上で欠かせない観点がシンギュラリティ。
端的に言うと、機械が人間より頭が良くなっちゃったらどうするの?というテーマです。
『仮面ライダーゼロワン』の世界では、人に代わってヒューマギアと呼ばれる人工知能が様々な仕事で活躍しています。
劇中では"お仕事五番勝負"という形で、生け花、住宅販売、裁判、人命救助、選挙の5つの仕事で人間と人工知能の勝負が描かれたりもしました。
大工さんやお医者さん、お笑い芸人さんまで人工知能が活躍しているというかなり進んだ未来です。
©2019 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映
こういったお話を通して描かれたのは、人間の方が優れていることもあれば人工知能の方が優れていることもある、という点。
現実の我々の世界でも近い将来、自動車は自動運転になり、単純作業は全て人工知能に任せられる時が来るでしょう。
そんな時、我々人間には何ができるのか。
他人の気持ちに寄り添ったり、徹底的に創意工夫をしたりすることで自分にしかできない価値を見出していかなければ間違いなく人間の仕事はなくなってしまいます。
今働いている、人間の大人へ"このままじゃまずいですよ"という警鐘のメッセージが感じられました。
子供にとっても、漠然とではあっても自分が大人になったときどんな仕事をすればいいのかその考え方を示してくれる作品でもあります。
今『仮面ライダーシリーズ』を見ている子供たちが、
タクシードライバーになりたい!
と思っても、おそらくその頃にはタクシードライバーという職業は無くなっているでしょう。
自分の頭で善悪を判断し、人間にしかできない仕事に夢や情熱をもって携わる。
将来を考えるうえで非常に大切な知見を受け取れる、自分に子供がいたらぜひとも見せたい作品でした。
徹底的に描かれる喜怒哀楽
©2019 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映
人工知能のお話で良く語られるもう一つのポイントが"感情"。
心という解析不能なものが人工知能に芽生えるのかどうかは現実世界でも議論が尽きないところです。
同時に、人工知能に心や感情が芽生えたとしても、それを人間側が認められるかどうかも大きな問題点。
本作では善意や悪意、喜怒哀楽といった感情が徹底的に描かれました。
お笑いやギャグを面白いと感じる、笑える時間。
大切な人と過ごす、喜びに溢れた時間。
大切な人を亡くした時の、深い悲しみ。
必ず仇を取ると憎しみに溢れた、強烈な怒り。
これらの感情を動かす要因が発生した時、人工知能はどういった反応を見せるのか。
そんな人工知能に対して、人間側はどんな対応をするのか。
中には人工知能に心なんて芽生えるはずがないと、人工知能を見下した人間も多く登場します。
人間の悪意が無ければ決して人工知能にも悪意は芽生えないはずなんですが、どうしたって人間の悪意を消すことは不可能。
人間の人間らしさ故の業の深さも描かれ、こういう人間でありたいなという登場人物もいれば、こういう人間にはなりたくないなという登場人物もいて、反面教師的な学びも強くあります。
©2019 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映
また、"記憶"という観点もしっかりと描かれた本作。
人間は忘れてしまう生き物ですが、人工知能はメモリさえ残っていれば全てのことを記録している。
そんな観点で見た場合、人間と人工知能はどちらが優れているのでしょうか。
人工知能のメモリが消失してその機体だけが残り、新たなメモリを入れた場合、その人工知能は果たして元々の存在と同一個体なのでしょうか。
1年かけて徹底的に描かれた人間と人工知能の関係性は、非常に考えさせられる部分が多く、近い将来またこの作品のことを思い出すんだろうなと思える素晴らしい作品でした。
時代の節目と共に変わっていくスタッフ
©2019 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映
みなさんは高岩成二さんという方をご存じでしょうか。
『仮面ライダーシリーズ』が好きな人ならきっと8割ぐらいの人は知っている、仮面ライダーのスーツを着てその動きを担当する日本でもっとも有名なスーツアクターです。
高岩成二さんは『平成仮面ライダーシリーズ』と呼ばれる、2000年の『仮面ライダークウガ』から、2019年の『仮面ライダージオウ』まで19年間ずっと主役仮面ライダーのスーツアクターを担当されていました。
その高岩成二さんが、本作で主役仮面ライダーではなく、悪役側の仮面ライダーを担当しました。
平成から令和という節目である点や、新しい仮面ライダーの形を模索していくという点からの配役だそうです。
19年間ライダーキックをしてきた側の高岩成二さんがライダーキックを受ける側になったというのも本作の大きなポイントです。
ぜひ、今までの『平成仮面ライダーシリーズ』を一本でも見たことがある人なら、ぜひ仮面ライダー一人一人の動きに注目して見てもらえればなと思います。
また本作で初めてアクション監督を務めたのが渡辺淳さん。
過去の作品ではスーツアクターとして活動しながら、今回は演出を決定していく立場へと移りました。
見ていて伝わってくるほどアニメをリスペクトした演出が使われていたり、そんなところから撮影するんだという独特な構図があったり、『平成仮面ライダーシリーズ』とは違う新しい風を感じました。
最終回の一騎打ちの対決は特に大きな見どころ。
緊張感が伝わってくる構図や、令和だからこそできる最新のCGやVFXが大切な戦闘シーンを大いに盛り上げてくれました。
©2019 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映
また、本作で主役を務める高橋文哉さんは主役ライダーを務める俳優としては初の21世紀生まれ。
ヒロインを務める鶴嶋乃愛さんも初の21世紀生まれ。
なんと現在19歳です。
特撮とアニメ情報番組ぐらいでしか人間が出る番組を見ない自分にとっては、テレビに映る人間は全て年上だと10年ぐらい前から思考が止まっています。
19歳にしてあの演技力とは恐ろしい…
スタッフの面から見ても、今までの『平成仮面ライダーシリーズ』とは一線を画す新しい取り組みがたくさんあった、『令和仮面ライダーシリーズ』の第一歩としてふさわしい作品となりました。
おわりに
新型コロナウイルスの影響もあり、撮影から何から諸々大変であっただろう本作。
しっかりと完結させてくれた制作陣に感謝です。
非常にわかりやすいテーマでかつ、センシティブな内容も含んでいたため賛否両論あるお話もありましたが、ある意味そのバズも視聴者を増やした一因になっていたかもしれません。
もしこの記事を読んで、『仮面ライダーゼロワン』見てみようと思ってくれた方が1人でもいたなら幸いです。
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今後もアニメに関する記事を毎日投稿していきますので、ぜひご覧ください。
また次の記事で!