皆さんはラジオって聴いたことありますか?
毎日聞いている人もいれば、人生で1回も聴いたことがない、そんな人もいるかもしれません。
動画が主流なこの時代に、ラジオの面白さを強く感じさせてくれた名作、『波よ聞いてくれ』を紹介していこうと思います。
『波よ聞いてくれ』とは
©沙村広明・講談社/藻岩山ラジオ編成局
PVにめちゃくちゃこのアニメの良さが詰まっているので、アニメ本編見た人もぜひPVをご覧ください。
あらすじ
「いやあ~~~~ッ、25過ぎてから男と別れるってキツいですね!」
札幌在住、スープカレー屋で働く鼓田ミナレは、酒場で知り合った
地元FM局のディレクター・麻藤兼嗣に失恋トークを炸裂させていた。翌日、いつものように仕事をしていると、店内でかけていたラジオから元カレを罵倒するミナレの声が……!
麻藤はミナレの愚痴を密録し、生放送で流していたのだ。
激昂してラジオ局へ乗り込むミナレ。しかし、麻藤は悪びれもせずに告げる。「お姐さん、止めるからにはアンタが間を持たせるんだぜ?」
ミナレは全力の弁解トークをアドリブで披露する羽目に。
この放送は反響を呼び、やがて麻藤からラジオパーソナリティにスカウトされる。「お前、冠番組を持ってみる気ないか?」
タイトルは『波よ聞いてくれ』。北海道の深夜3時半、そしてミナレは覚醒するッ!
『無限の住人』の沙村広明氏が描く最新作を、『機動戦士ガンダム』『ラブライブ!』を手がけるサンライズが制作!
予測不可能な無軌道ストーリーがいよいよTVアニメで開幕する!
スタッフ
監督:南川達馬『劇場版 FAIRY TAIL DRAGON CRY』
シリーズ構成:米村正二『仮面ライダーカブト』『スマイルプリキュア!』『寄生獣 セイの格率』
キャラクターデザイン:横田拓己『プピポー!』『三ツ星カラーズ』『戦翼のシグルドリーヴァ』
アニメーション制作:サンライズ
音響監督:高橋 剛
音楽:岩﨑元是『そらのおとしもの』『12歳。~ちっちゃなムネのトキメキ~』
色彩設計:野地弘納
美術監督:坂上裕文(ととにゃん)
撮影監督:小池真由子
編集:木村祥明
キャスト
鼓田ミナレ:杉山里穂
麻藤兼嗣:藤 真秀
南波瑞穂:石見舞菜香
久連木克三:山路和弘
茅代まどか:大原さやか
甲本龍丞:石川界人
中原忠也:矢野正明
城華マキエ:能登麻美子
宝田嘉樹:島田 敏
須賀光雄:浪川大輔
沖 進次:内山昂輝
おすすめポイント
自分は恥ずかしながらほとんどラジオを聴いたことがなくて、聴こうと思って最初に聴いたラジオが2008年の大みそかに放送された、
『今日は一日“アニソン”三昧 ファイナル』
ラストに流れた「だんご大家族」は今でも凄く印象に残っています。
その後は好きな声優さんやアーティストのインターネットラジオを聴くことはあれど、いわゆるラジオ放送は聴いてこない人生を送ってきました。
そんなラジオ初心者の自分だからこそ感じられる、『波よ聞いてくれ』の魅力を以下の3つのポイントから解説していきたいと思います。
・音声のみだからこそ、想像が広がるラジオという媒体の魅力
・こんなキャラクター見たことない、鼓田ミナレの魅力
・言葉を大切にした北海道出身のtacicaと遥海の魅力的な主題歌
音声のみだからこそ、想像が広がるラジオという媒体の魅力
この作品、第一話冒頭から主人公鼓田ミナレが札幌岳でヒグマと対峙するところから話が始まります。
しかもミナレは、ラジオのオープニングトークをしており、ラジオの資料も手に持っています。
え、どういうこと?
と、インパクト絶大なシーンがいきなり始まりますが、つまるところここが一番のラジオの魅力なのかもしれません。
実際にはミナレは、ラジオの収録ブースでラジオを録っているだけなのですが、
クマを前にして冷静ではいられない息づかい、流れる川の音、風に揺れる木の葉の音、ゆっくりと近づいてくるヒグマの足音、まるで本当に札幌岳でヒグマと対峙しているような、そんな音声がラジオから流れてくるのです。
環境音をいかにリアルに作り上げていくかというのもこの作品では非常に大切に描かれます。
耳から入ってくる情報だけで何が起こってるか判断するしかない聴取者は、自分の想像力をフルに働かせてそのイメージを脳内に創り上げます。
パーソナリティの一言一言で、そのイメージはどんどん変わっていき、普通では絶対あり得ないようなこともパーソナリティがそういえばそれが脳内に創り上げられていくんです。
これってとても素敵なことだと思いませんか?
動画が主流になった現代、視聴者は耳からも眼からも情報を得られるので想像力を膨らませる必要もなく、ただ流れてくる情報を受け止めるだけになってしまっています。
読書もラジオもそうですが、限定的な媒体だからこそ自分のイメージが大切になる、しっかりと考えながら咀嚼した作品はいつまでも頭に残っていたりしますよね。
それならラジオじゃなくてドラマCDでも一緒じゃない?
そんな疑問にもこの作品はしっかりと別の魅力を提示してくれます。
作中のラジオ番組、『波よ聞いてくれ』は深夜帯の生放送番組で、ある程度の脚本はありつつもミナレのアドリブを大切にした番組なのです。
アドリブを大切にした生放送番組というのが大きなポイントで、ラジオ局のチーフディレクター、麻藤は第1話からミナレにこう言います。
「無音が3秒続けば放送事故だ。止めるからにはアンタが間を持たせるんだぜ?」
3秒で放送事故って言われたら確かにそうかもとも思いますが、実際普段の会話中に3秒以上の無音なんてざらにあるし、一人で喋れと言われたら絶対に間が持ちませんよね?
無音を作ってはいけないけれど、繋ぐだけのつまらないアドリブなら聴く価値もない、ラジオという媒体の難しさと面白さがここに詰まっています。
深夜帯の放送という、時間的な制約と出会った時の運命感も『波よ聞いてくれ』の魅力です。
ドラマCDやインターネットラジオであれば、いつでも聴くことができて便利です。
でもそれって全然運命的じゃないですよね?
何の気なしにつけたラジオで自分と同じような悩みを抱えている人の投稿が読まれる、今にも殺人が行われそうな現場でたまたま流れたラジオで殺人が回避される、そういった運命的な出会いが『波よ聞いてくれ』では描かれます。
ラジオを聴く人にも様々な人生・生活があって、たまたま耳にしたラジオに救われる、偶然が重なって運命的に出会ったから好きになる、便利ではないからこそのラジオという媒体の魅力をぜひこの作品を見て感じて欲しいです。
こんなキャラクター見たことない、鼓田ミナレの魅力
本作の主人公、鼓田ミナレ。
26歳、独身。元カレにお金をだまし取られたりしながら、スープカレー店「ボイジャー」で働いています。
おかれた環境だけで言えば、ありきたり、どこにでもいそうな一般人ですが、
素人離れした活舌、人を煽るような声と語彙、頭の回転の良さが非常に優れています。
1つのことを考えれば10にして話すような、どこからそんな言葉がわいて出てくるんだろうというぶっ飛び方がミナレさんの魅力です。
一番ミナレさんの魅力が伝わると思う話は、第9話、「お前を信じない」。
お金をだまし取られた元カレ、光雄と再会しデートをすることになったミナレさん。
次に会ったら殺すというほど、明確な殺意をもってデートに向かうミナレさんですがいったいどうなってしまうのか。
脳内に溢れる膨大な語彙とは裏腹に、普通の一人の女性でしかないミナレさんの姿はギャップがありすぎて非常に可愛らしく思えますし、応援したくなります。
ミナレさんを演じるのは北海道出身の新人声優、杉山里穂さん。
『実験品家族 -クリーチャーズ・ファミリー・デイズ-』のタニスや、『CONCEPTION』のタルア、『継つぐもも』の安次峰あるみなどを演じています。
『実験品家族 -クリーチャーズ・ファミリー・デイズ-』はかなり大好きで、実写パートも見ていたので、杉山里穂さんを杉山里穂さんと認識せず見ていましたね。
とんでもない新人が現れてしまいましたよ…
アニメの全セリフのうち半分以上を喋っているんじゃないかというほど、とにかく喋りまくるミナレさん。
喜怒哀楽が激しく、緩急があり、難しい言葉を使いつつ、捲し立てるような早口で喋るミナレさんを完璧に演じ切りました。
どう考えても新人声優に任せていいようなキャラクターではありません。
きっとこのアニメを見た人は誰もがこう思うはずです。
「鼓田ミナレというキャラクターがハチャメチャで魅力的すぎる!」
「こんなキャラクターを演じきった杉山里穂さんっていったい何者なんだ!?」
「杉山里穂さん以外の鼓田ミナレなんて考えられない!」
ぜひ、他のアニメではお目にかかることのできない鼓田ミナレという特異なキャラクターと杉山里穂さんの熱演を味わっていただきたいです。
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言葉を大切にした北海道出身のtacicaと遥海の魅力的な主題歌
名アニメの名曲しか歌わないことに定評のあるtacicaさん。
同じTBSのアニメで言えば『ハイキュー!!』シリーズの、「LEO」、「発熱」で有名ですね。
実は2人とも北海道出身ということで、北海道熱も熱いこの作品にぴったりなタイアップとなっています。
OPテーマは
「aranami」/ tacica(作詞・作曲:猪狩翔一 編曲:tacica, 野村陽一郎)
tacica 『aranami』MUSIC VIDEO (先行配信中 TVアニメ『波よ聞いてくれ』OPテーマ)
こちらのMVは、『波よ聞いてくれ』とのコラボMVになっており、鼓田ミナレ役の杉山里穂さんと札幌出身のモデル門田玲さんが出演されています。
イントロから盛り上がり、Aメロでいったん落ち着いて、Bメロで少しずつボルテージを上げていき、サビで爆発する。
まさに、「aranami(荒波)」のような楽曲ですね。ローマ字表記にも意味があり、逆から読むと「imanara(今なら)」となっています。
各キャラクターの「aranami」のような起伏の激しい日常のあれやこれが描かれる『波よ聞いてくれ』。
そんな「aranami」にどうやって立ち向かっていくのか、アニメを見ていない人にも強いメッセージ性のある楽曲ですが、アニメを見て聴くとより一層曲の深みが増すこと間違いなしです。
EDテーマは、
「Pride」/ 遥海(作詞・作曲:TomoLow・Yui Mugino)
「Pride」でメジャーデビューを果たした遥海さん。日本人の父とフィリピン人の母を持つハーフだそうで、13歳の時に日本で生活を始めるも、日本語が喋れず、苦労したそうです。
そんな経験から歌で想いを伝えることを大切にしており、「言葉を歌で伝えるアーティスト」として紹介されています。
言葉の大切さも描かれる『波よ聞いてくれ』にぴったりなタイアップですね。
楽曲自体も歌詞の一語一語が非常に力強く、波のように強い信念がその声からも伝わってきます。
金曜深夜の深い時間にしては高すぎる『波よ聞いてくれ』のテンションをいい感じに抑えつつ、週末も自分のやりたいことを貫いていくぞと前向きになれる、EDテーマとして100点満点以上の素晴らしい楽曲になっています。
アニメ本編終了後からの入り方も素晴らしいです。今後の活躍にも期待したい、素晴らしい新人アーティストです。
配信情報
dアニメストア、U-NEXT、Amazonプライム、Netflix、FOD、Huluなど各種見放題サービスにて配信中です。
ラジオを取り扱う作品をアニメで見るというちょっと不思議な体験をぜひあなたもしてみてください。きっとアニメならではの良さも感じ取れると思います。
どの配信サービスに登録しようか迷われてる方は、アニメをたくさん見たい人向けの見放題、VODサービス比較記事を書きましたのでこちらもご参照ください。
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おわりに
『波よ聞いてくれ』を見て、ラジオを聴きたいと思うも、何を聴けばいいのかよくわからない今日この頃。
ミナレさんみたいな超魅力的なラジオパーソナリティーがやっているおすすめの番組があれば、コメントやリプライなどで教えてもらえると嬉しいです。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。もし記事が良かったなと思ったらSNSへのシェア、Twitterのフォロー等、ぜひともよろしくお願いいたします。
今後もアニメに関する記事を毎日投稿していきますので、ぜひご覧ください。
また次の記事で!