2020年7月29日、衣笠道雄さんの訃報のお知らせがありました。
Suaraさんや、上原れなさんなど、アニメソング・ゲームソング業界で活躍する女性アーティストに素晴らしい楽曲を書かれていた衣笠さんの訃報は、正直かなりショックでした。
今回はそんな衣笠さんが手掛けた名曲を、アニメの思い出と共に振り返っていきたいと思います。
「夢想歌」
歌:Suara 作詞:須谷尚子 作曲:衣笠道雄 編曲:豆田将
テレビアニメ『うたわれるもの』OPテーマ。
作詞は衣笠さんと共にSuaraさんの楽曲や、『うたわれるもの』、『WHITE ALBUM』で数々の詞を書かれてきた須谷尚子さん。
編曲の豆田将さんは衣笠さんの本名です。
衣笠さんといえば、「夢想歌」。
『うたわれるもの』のアニメを見ている人なら冒頭に、
キンッキンッキンッキンッ!
の音が自動再生されるでしょう。
一度聴いたら忘れられないメロディ。
シンプルな進行でありながらも、『うたわれるもの』の世界の広大な雰囲気、ちょっとした田舎感が伝わってきます。
無駄な音がないのに欲しいところに欲しい音がある、1つの作品として完成された楽曲です。
2番後の間奏の哀愁を感じさせるような入りから、かっこいいギターソロ!
このギターソロが落ちサビの切なさを際立たせてくれて、さらにその落ちサビが大サビを最高の状態に仕上げています。
子供の頃の夢は 色褪せない落書きで
思うまま書き滑らせて 描く未来へとつながる
引用元:「夢想歌」/ Suara
冒頭から印象に残りすぎる歌詞。
『うたわれるもの』を見たことがない人であっても、
子供の頃の夢は~って曲なんだっけ?
と、頭の片隅に残っている方も多いのではないでしょうか。
『うたわれるもの』という作品自体も、今のような技術が発展していないのどかな村をモチーフにしており、自分の子供時代を思い出してノスタルジックに浸れるシーンがいくつもあります。
そんな子供たちが戦争のなかでどのように成長していくのか。
どのような大人になっていくのか。
そんなテーマに冒頭サビの歌詞がぴったりすぎます。
自然豊かな村の、広がる青空を連想させる歌詞に透き通ったSuaraさんの歌声。
慈愛に満ち溢れた優しい声は、穏やかな曲調とも相まって聴く人の心を癒してくれます。
『うたわれるもの』のゲームをプレイしていない自分でさえ大好きなこの楽曲。
アニメソング・ゲームソングという枠を超えて語り継がれていく1曲でしょう。
「Fly away -大空へ-」
歌:Suara 作詞:巽明子 作曲:衣笠道雄 編曲:豆田将
テレビアニメ『カードファイト!! ヴァンガード リンクジョーカー編』EDテーマ。
作詞の巽明子さんはSuaraさんの本名。
編曲の豆田将さんは同じく衣笠さんの本名です。
忘れもしない『カードファイト!! ヴァンガード リンクジョーカー編』、
第151話「アイチとカムイ」
初めてこのEDが流れた時、これ絶対「夢想歌」と同じ人の曲だなあと察しました。
「リバース」といういわゆる洗脳を受けてしまい、操られてしまった味方と戦うことが多かった『リンクジョーカー編』。
長い『ヴァンガード』シリーズの中でも、かなり攻撃性が高い話が多い作品です。
そんな作風を汲み取ってか、壮大さを感じる楽曲でありながらロックでかっこいい1曲になっています。
永遠にギターサウンドがカッコいいし、「キメ」ポイントも多く散りばめられておりライブでも非常に盛り上がる1曲です。
『リンクジョーカー編』に至るまで、元々引っ込み思案だった先導アイチは自身の成長と共に数々の仲間を作ってきました。
そんな仲間達の洗脳を解くために奮闘する『リンクジョーカー編』は、仲間の大切さが特に強く描かれたシリーズです。
「イメージ」を大切にし、仲間と一緒に歩んでいくというメッセージが伝わってくる歌詞は『ヴァンガード』シリーズが好きであればあるほど、納得しかありません。
かけがえのない仲間との辛い戦闘、そしてリンクジョーカーとの対決。
Suaraさんの綺麗でまっすぐな声と共に迎えたリンクジョーカー編の終結は、今も自分の心に深く刻まれています。
「舞い落ちる雪のように」
歌:Suara 作詞:須谷尚子 作曲・編曲:衣笠道雄
テレビアニメ『WHITE ALBUM』第1クールEDテーマ。
作詞は「夢想歌」と同じく須谷尚子さん。
King of 失恋バラード
「浮気」をテーマにした作品、『WHITE ALBUM』。
見た人の多くが心をえぐられ、大きなダメージを負ったことでしょう。
人を好きになるとはどういうことか。
愛とは何か。
このテーマを語るうえで欠かせないのが失恋。
そんな失恋の忘れたくても忘れられない、嫉妬、未練、辛い切ない気持ち。
そんな気持ちがシンプルに伝わってくるメロディ。
そして『WHITE ALBUM』のテーマでもある冬を感じさせる音作り。
OPテーマの「深愛」と共に、『WHITE ALBUM』1クール目の空気感を作り上げた素晴らしい楽曲です。
そして共感度合いが非常に高い、切なすぎる歌詞。
「失恋」、「冬」という二つのキーワードから連想される言葉を紡いで、こんなにも切ない歌が作れるとは。
情景がぱっと目に浮かぶような歌詞もこの楽曲の特徴。
聴いているだけで目の前に雪が舞い落ちてくるような気がします。
そんな雪が舞い落ちる様子や、雪が解ける様子とヒロインの心情がリンクして、胸をどんどん締め付けてきます。
Suaraさんの切ない声もたまりません。
ゲーム版の『WHITE ALBUM』をやっていないし、そんなに恋愛経験もないのにこんなにも感情移入してしまうこの楽曲。
衣笠さんのメロディ、須谷さんの歌詞、Suaraさんの歌声。
どれか1つ欠けても『WHITE ALBUM』という作品の印象が変わってしまっていたかもしれません。
おわりに
最初は訃報に合わせてこういう記事を上げるのは不謹慎かなと思っていました。
ですが、自分の小さな力であっても衣笠さんの作った作品に、
こういう気持ちを抱いていたオタクがいたんだよ。
と言う言葉を残すことは価値のあることかなと思い、記事にしました。
加えて、昨年長野県佐久市で行われた「アニエラフェスタ2019」にて、
Suaraさんがこの3曲をまさにこの順番で歌っていたのを思い出して、居ても立っても居られなくなってしまいました。
改めて、衣笠道雄さんのご冥福をお祈りします。
この記事を読んで、衣笠さんが手掛けた楽曲に興味を持ってくれる人がいたら幸いです。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。もし記事が良かったなと思ったらSNSへのシェア、Twitterのフォロー等、ぜひともよろしくお願いいたします。
今後もアニメに関する記事を毎日投稿していきますので、ぜひご覧ください。
また次の記事で!