アニメの雰囲気。
ストーリー、キャラクターデザイン、音楽、背景、作画、演技、色々な要素が混ざり合って、そこから視聴者が受け取る絶妙なニュアンスです。
どれか一つが優れていても、雰囲気が良いとは限らないことも往々にしてあります。
今回は、その色々な要素がどれもアニメっぽくない、海外ドラマっぽい仕上がりになっており、普段アニメを見ていない人も楽しめる作品『HERO MASK』について語っていきたいと思います。
『HERO MASK』とは
studioぴえろが挑む完全オリジナルアニメ『HERO MASK』 PV
あらすじ
首都警察・特殊捜査部(SSC)の有能だが型破りな刑事・ジェームズは、恩人の女性検事の殺害疑惑事件を追う中、装着すると超人的能力をもたらす《マスク》をめぐる謎に辿り着く。
そこに立ちはだかる、かつてのSSCの相棒・ハリー。
彼は、巨大企業・ライブ社の人間となっていた。
そこでは、主任研究員・コナーが《マスク》開発を違法な方法で進めていた。ジェームズたちSSCは、ライブ社会長・スティーブンが雇った武装集団による度重なる妨害を乗り越え、《マスク》研究にまつわる人物関係を突き止め、ついにそのライブ社の陰謀の核心へと迫ろうとするが……。
スタッフ
監督・シリーズ構成:青木弘安
キャラクターデザイン:片桐貴悠
美術設定:山田勝哉
美術監督:園田由貴、中村 隆
衣装デザイン:いさお
色彩設計:古性史織
撮影監督:久野利和
画面設計:sankaku△
編集:柳 圭介
音響監督:久保宗一郎
音響効果:西村睦弘
音楽:加藤久貴
アニメーション制作:studioぴえろ
製作:HERO MASK製作委員会
キャスト
ジェームス・ブラッド:加瀬康之
サラ・シンクレア:甲斐田裕子
レノックス・ギャラガー:森田順平
エドモンド・チャンドラー:高野憲太朗
ハリー・クレイトン:内山昂輝
ジェフリー・コナー:青山 穣
スティーブン・マートランド:菅生隆之
リチャード・バーナー:仲野 裕
モニカ・キャンベル:渋谷はるか
フレッド・ファラデー:志村知幸
グリム:烏丸祐一
イヴ・パーマー:藤井ゆきよ
アンナ・ワインハウス:宮寺智子
ピックアップポイント
断片的な情報しかない"マスク"を巡る物語
主人公である特殊捜査部の刑事・ジェームズのもとに、恩人の刑事であるモニカという女性が死亡したという連絡が入るところからこの物語は始まります。
ジェームズはモニカの不自然な死を目撃した部下・サラと共に、この事件を調べ、何やら"マスク"が大きく関係していることを発見。
事件の真相・"マスク"の秘密に少しずつ近づいていきます。
"マスク"を付けると容姿を自由自在に変えられるらしい。
"マスク"を付けるとケガや病気が治るらしい。
"マスク"を付けると急速に老化し、死に至るらしい。
断片的な情報は入ってくるものの、"マスク"が世界に何枚あるのか、どこで作られたものなのか、誰が何のために作ったのか、大事な情報は登場人物にも視聴者にもなかなかわかりません。
そうこうしているうちにまた"マスク"を使った犯罪が起き、容姿が変わっているから犯人の特定ができない。
そんな負の連鎖も続いていきます。
他にも1つの大きなテーマとして描かれるのは"マスク"をどう使うか。
良くも悪くも非常に便利な能力を持つ"マスク"を善行のために使うのか、悪行のために使うのか、それはマスクを所持している人の心根次第。
大いなる力も、使う人によって幸福をもたらすこともあれば、災いをもたらすこともある。
ストーリーとしてはもちろん、自分だったら"マスク"をどう使うだろうか、と考えずにはいられないメッセージ性のある作品でした。
海外ドラマのようなセリフ回し、間合い
海外ドラマをほとんど見たことがない自分であっても、
この作品、海外ドラマっぽいな。
と思うほど、演出が特徴的な『HERO MASK』。
その要因として、
・カット数が多い
・無音の演出で意図を伝える
・洗練された背景や衣装デザイン
この3点があげられます。
まず1点目のカット数。
普通に見ているだけでも気付くレベルで、俯瞰でキャラクターが描かれることが少なく、毎回毎回喋っている登場人物をフィーチャーしています。
なんとなく海外ドラマや洋画も、喋っている人がアップになることが多い気がしますよね。
インタビュー記事を読んだところ、通常のアニメ作品は1話に付き300カット前後なのが標準なのに対し、本作は最大700カットと倍以上。
Netflix配信が先行だったので、スマホで見る人にもどこを見ればいいのかわかりやすいようにという配慮のため、カット数を増やしているようです。
2点目は無音の演出。
昨今のアニメ作品では感動させるシーン、驚かせるシーンはBGMや回想を使って、制作側の意図通りに感動・驚きを味わうことが出来ます。
前後の展開を理解・納得していなくても、なんとなくそのシーンが盛り上がってるから涙が出てくる、というのは感受性高めな自分のあるあるです。
本作はそういうわかりやすい演出がかなり少なめ。
ちゃんと見ていないと登場人物は驚いているのに、ここが驚くべきシーンなのかわからないということが頻発。
作品の消化が早い日本のアニメーション業界ではなかなか難しいところですが、しっかりと前後を把握していれば派手な演出が無くても、登場人物とシンクロして目の前で起きた事象に感動・驚きを味わうことが出来るはずです。
特にその象徴的なシーンが、第12話でサラがホワイトボードに1つ1つバラバラの事件、バラバラの登場人物を並べていく事で一つの結論にたどり着くシーン。
独立していたそれぞれの情報がひとつながりになる瞬間は、派手な演出はありませんでしたが非常に気持ちの良いものでした。
3点目は背景と衣装デザイン。
具体的にどこの国をモチーフにしているという情報はないのですが、利便性と芸術性を備えた、現代~近未来のヨーロッパと言った感じの町並みは非常に美しい。
街往く人々も、ちょっとした小物も、1つ1つに大変こだわりの感じられる描写は、"マスク"を巡る事件が本当にここで起きているんだなというリアリティさに直結しています。
登場人物の服装も非常にオシャレでかっこよく、それでいて確かに実在しそう、フィクション過ぎない絶妙なデザインをしています。
特にスーツを着ているシーンが多い本作ですが、スーツの着こなしが本当にカッコ良い。
日本人みたいなとりあえずスーツを着ておけばいいという感じではなく、ネクタイ・シャツ・ジャケットの色合いをうまく組み合わせていて、その人にしかない個性をしっかりと感じることが出来ます。
この3点が組み合わされて、非常にオシャレな海外ドラマのような雰囲気を全編に渡って感じられます。
日本のアニメっぽいデザインや演出は苦手だけれど、実写で描くのは難しいフィクション部分も堪能したい方には心からおすすめできる一本です。
配信情報
現在、Netflixにて独占配信中です。
地上波ではまだ放送されていない、第16話~第24話も配信されているので、先が気になる方は要チェックです。
おわりに
オープニングもエンディングもインストゥルメンタルで、音楽担当の加藤久貴さんの情報がどこにもなかったので、今回の記事は短めです。
オープニング映像も非常に意味深で面白く、"マスク"を連想させ、何かが起きそうな雰囲気が強く漂っているんですが、公式の映像がYoutubeになかったので断念。
ぜひ、本編を見てオープニング映像なども楽しんでください。
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第2クールまで見たけど面白かった!
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今後もアニメに関する記事を毎日投稿していきますので、ぜひご覧ください。
また次の記事で!