「和」。
日本が世界に誇る、日本にしかない独特な文化です。
侍・忍者・刀・書・日本人形・和楽器など様々な観点から世界に「和」の魅力を発信していく『ジビエート』プロジェクト。
そしてその集大成がテレビアニメ『ジビエート』。
今回は、天野喜孝さんをはじめとする超豪華スタッフが勢揃いし、世界を目指して作り上げた本作を徹底的にほめていきたいと思います。
『ジビエート』とは
あらすじ
舞台は2030年の日本。
病気の感染者は怪物になり、年齢、性別、人種により姿が変化する。
その病気は、変化する多様な種類から
「ジビエート(ジビエのようにバラエティに富んでいる)」と呼ばれた。そんな荒廃した日本に現れた、一組の侍と忍。
江戸時代初期からタイムスリップしてきた二人は、
ジビエート治療の研究をしている博士に協力し、
行動を共にすることになる。時を置かず襲い来る数多のジビエ、
食糧を求めて旅人を襲う無法者、
周囲を敵に囲まれた命懸けの旅が始まる…。
スタッフ
企画・原作・製作総指揮:⻘⽊良『Bonjour♪恋味パティスリー』
キャラクター原案:天野喜孝『昆虫物語 みなしごハッチ』『タイムボカンシリーズ』『機甲創世記モスピーダ』
モンスターデザイン:芹沢直樹
監督:⼩美野雅彦
副監督:⽟⽥博
キャラクターデザイン:⼩美野雅彦
総作画監督:⼩美野雅彦
⾳楽(劇伴):古代祐三
⾳響監督:郷⽥ほづみ
美術監督:⼤⻄穣
美術設定:坂本⻯
美術・背景:ビック・スタジオ
⾊彩設計:渡部勇輔
撮影監督:西村徹也
撮影:スタジオエル
3D監督:平将⼈
特殊効果:太⽥良之
オフライン編集:早川裕
オンライン編集:キュー・テック
⾳響制作:神南スタジオ
制作:ランチ・BOX×スタジオエル
キーアニメーター:⼩野晃、國井実可⼦
プロップデザイン:野澤健太、若⼭温、國井実可⼦
キャスト
神崎千水:柿原徹也
船田キャスリーン:藤井ゆきよ
真田兼六:東地宏樹
鬼倉雪之丞:羽佐間道夫
ピックアップポイント
超豪華スタッフ集結
本作の特徴は何と言っても超豪華なスタッフ。
アニメーション制作の実働メンバー以外のところは、誰もが名前を知っているようなとんでもないメンバーが揃っています。
まずは何と言ってもキャラクター原案の天野喜孝さん。
『タイムボカンシリーズ』や、『ファイナルファンタジーシリーズ』を筆頭に数多くの作品で活躍する、日本を代表するキャラクターデザイナーです。
「和」がテーマである本作にぴったりな、侍・忍者・僧兵など非常に印象的なキャラクター達は一度見たら忘れられない、強烈なインパクトを持っていました。
そして、モンスターデザインの芹沢直樹さん。
テレビドラマにもなった大人気漫画『猿ロック』や、『ルシフェルの右手』、『バイオハザード』関連の作品等を書かれている漫画家さんが直々にモンスターデザインを担当しています。
ジビエウイルスに感染した人間が変化したジビエートから時には戦い、時には逃げるのが本作の基本行動となっているため、ジビエートのデザインは非常に重要。
見るだけで逃げ出したくなるような醜悪なデザインは、作品全体の緊張感を大いに増し、要所で現れるボス的存在のジビエートは普通の人間には到底思いつかないようなデザインをしていました。
本作の劇伴・BGMを担当するのは古代祐三さん。
日本ファルコムの名作ゲーム『イース』や、アーケードゲーム『湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNEシリーズ』など数々のゲームBGMを担当。
アニメ業界でも『銀河機攻隊 マジェスティックプリンス』のオープニングテーマ「PROMPT」を作曲しており、日本を代表する作曲家の一人です。
「和」というテーマを最大限に生かすため和楽器主体で楽曲を制作されており、一度聴いたら忘れられないほど印象的なBGMばかり。
普通のアニメの劇伴にプラスアルファするような形にしたいという古代さんの思惑通り、そこらへんのアニメでは考えられないほど主張の強いBGMにストーリーも忘れて聴き入ってしまいました。
一番上に貼ったPVの冒頭で流れるのでぜひ一度聞いてみてください。
詳細は後の項で書きますが、他にも音楽面では津軽三味線の第一人者・吉田兄弟さん、LUNA SEAそしてX JAPANのギタリスト・SUGIZOさん、『SLAM DUNK』の「あなただけ見つめてる」で知られる大黒摩季さん、LUNA SEAのドラム・真矢さんも参加しています。
小ネタが満載の辛く楽しい旅路
本作のメインストーリーはジビエウイルスに感染した人間が変化したジビエートと戦いながら、仲間を増やしつつジビエウイルスに対抗するワクチンを作り出すこと。
「最初からグローバルスタンダードを目指した作品を作ろう」というスローガンのもとで制作されているのでストーリーは非常にシンプルです。
誰が見ても、どのキャラクターがどんな人物なのかわかりやすくする工夫として、毎話冒頭でインタビューが行われます。
結構シュールで、中身のないインタビューの時もありますが、ビデオカメラで撮影しながら生い立ちなどを探っていく構成は、キャラクター紹介としてはもちろんのこと、平和な日常の象徴として本作に大きなメリハリを産んでくれていました。
わかりやすいストーリーを描くためには、登場人物は少数精鋭が一番。
そもそも世界にほとんど人間がおらず、全登場人物を合わせてもおそらく15人程度。
その一人一人が個性的で、生い立ちもバラバラ。
途中から見た人でも、
きっとこの人はこんな戦い方をするんだろうな。
と一目でわかるようになっています。
ジビエートにいつ襲われてもおかしくない危険な旅路で育まれる友情は必見です。
『キン肉マン』と言えば牛丼、『キテレツ大百科』と言えばコロッケ、『おちこぼれフルーツタルト』と言えばカレー。
名作には、その作品を代表とする食事がつきもの。
そんな中、『ジビエート』はカツカレーで攻めていきます。
人類のほとんどがジビエートと化し、物資も乏しいはずなのに、何故かカツでもカレーでもなくカツカレー。
本編での出現頻度も非常に高く、カツカレーを見るたびにこの作品を思い出すこと間違いなし。
詳しくは特にカツカレー推しが凄かった、第10話「新たなる仲間」の記事をご参照ください。
ストーリーがシンプルな分、戦闘面には大きなこだわりを感じます。
人間より大きなサイズのジビエートもいれば、ちょっと大きいトカゲぐらいのサイズのジビエートも。
剣が通らないジビエートもいれば、銃弾一発で倒せるジビエートも。
多種多様なジビエートは戦闘にバリエーションを生みました。
人間側が使う武器も様々。
日本刀、西洋刀、糸、棍棒、長ドス、二丁拳銃、槍、爆弾、釣り竿。
武器とジビエートの組み合わせによって1回1回の戦闘もガラリと表情を変えます。
動きすぎない作画は、地に足の着いた人間らしさを感じさせ、人間の作画とジビエートの3DCGとの絶妙なアンマッチ具合は、ジビエートの異質さをより際立たせていました。
もちろん常に勝利し続けるわけではなく、時には悲しい出来事も。
古代さんの印象的なBGMと併せて、どの戦闘描写もまばたき禁止な名シーンばかりです。
オープニングテーマ「GIBIATE」/ 吉田兄弟 feat.SUGIZO
アニメ「ジビエート」 吉田兄弟OP PV / Anime [GIBIATE] Yoshida Brothers OP Trailer
演奏は津軽三味線の第一人者、実は『じょしらく』のエンディングテーマ「ニッポン笑顔百景」にも演奏で参加されている吉田兄弟さん。
そして、LUNA SEA、X JAPANのギタリスト・SUGIZOさんが作曲・編曲をし、ギターでも参加されています。
聴いただけでテンションの上がるインストゥルメンタル。
「和」というテーマにぴったりな津軽三味線の速弾きに、SUGIZOさんのギターが加わり、世界に誇れるオンリーワンな1曲になっています。
熱い戦闘も、平穏な日常も、悲しい結末もメロディに内包されており、この曲を聴くだけで『ジビエート』の旅路の細部まで思い出せる、この作品を象徴する名曲です。
エンディングテーマ「ENDLESS〜時を超えて〜」/ SUGIZO feat.大黒摩季
歌うのはなんとあの大黒摩季さん。
「あなただけ見つめてる」、「Anything Goes!」、「空」、「Lie, Lie, Lie,」などアニメシーンでも数々の名曲を歌ってきました。
作詞は本作の企画・原作・製作総指揮・企画プロデュースを務める青木良さん。
作曲・編曲はSUGIZOさんが行い、ドラムとしてLUNA SEAの真矢さんも参加されています。
まさにオールスターと呼ぶにふさわしいメンツ。
大黒摩季さんもこのプロジェクトに参加できたのは『We Are The World』に呼ばれているように誇らしい気持ちだとコメントしています。
ギターやベース、ドラムだけでなく篠笛なども使われており、本作のテーマである「和」を感じさせる曲調。
変わってしまった世界を嘆きながらも、時を超えてやってきた千水と兼六に一筋の光明を見出すキャスリーンの気持ちを歌ったミディアムバラードです。
各話で使われた冒頭のインタビューを活用したエンディング映像はメッセージ性強め。
最終回までこの作品を見た時、きっとこの映像で伝えたいことがわかるはず。
〜 ENDLESS 〜
あなたと共に夢を描いていきたいの
いつの日にかまぶしい朝
きっと夜はあけてく また・・・
出典:「ENDLESS〜時を超えて〜」/ SUGIZO feat.大黒摩季
誰よりも『ジビエート』というコンテンツに愛情を注いできた青木良さんだからこその言葉。
ジビエートとの戦いの終わりを望むという作品の中の意味を超えて、こんな時代だからこそ新型コロナウイルスを超えて進んでいく我々の背中を押してくれるような楽曲にもなっています。
まさに、
「今の時代だからこそ、聴いて欲しい。」
おわりに
新型コロナウイルスがなければMXではなくキー局で放送予定だった本作。
もっともっと多くの人に知ってもらいたい作品ですし、見た人全員がきっと大きな衝撃を受けるはず。
コロナウイルスにもジビエウイルスにも負けずに、この作品が多くの人の目に触れられることを強く願っております。
古代さんのBGMにはまった!
ジビエートのデザインが気持ち悪くて最高だった!
など意見や感想があればコメントしていただけると嬉しいです。
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今後もアニメに関する記事を毎日投稿していきますので、ぜひご覧ください。
また次の記事で!