『Angel Beats!』。
2010年に放送され、社会現象となるほど大きなムーブメントを起こした大人気作品です。
今回、放送10周年を祝して、および新作『神様になった日』の放送開始を祝して再放送となりました。
『鬼滅の刃』で一般人にまで広く知れ渡ったLiSAさんのデビュー作品としても有名な本作について、10年経った今改めて語っていきたいと思います。
『Angel Beats!』とは
あらすじ
舞台は死後の世界
運命に立ち向かう少年少女たちの物語なんらかの理由で最後を遂げた少年・音無は、死後の世界の学校で、ゆりと名乗る少女と出会う。
彼女は神に反逆する「死んだ世界戦線」のリーダーで、天使と日夜激戦を繰り広げていた。
そして、立ちはだかるは神の使い・天使。それは、可憐なひとりの少女だった。
生前の記憶が無く、この死後の世界で何が起きているのかも分からず戸惑う音無。彼は、ゆりたちと共に戦う道を選ぶことにしたのだが…。
スタッフ
原作・脚本:麻枝准『Charlotte』『神様になった日』
監督:岸誠二『瀬戸の花嫁』『暗殺教室』『ラディアン』
キャラクター原案:Na-Ga『Charlotte』『神様になった日』
キャラクターデザイン・総作画監督:平田雄三『G-onらいだーす』『錬金3級 まじかる?ぽか〜ん』『断裁分離のクライムエッジ』
音響監督:飯田里樹
アニメーション制作:P.A.WORKS
キャスト
音無結弦:神谷浩史
仲村ゆり:櫻井浩美
天使 / 立華かなで:花澤香菜
日向秀樹:木村良平
高松:水島大宙
野田:髙木俊
椎名:斎藤楓子
遊佐:牧野由依
藤巻:増田裕生
TK:Michael Rivas
松下護騨:徳本英一郎
大山:小林由美子
竹山:市来光弘
直井文人:緒方恵美
岩沢雅美:沢城みゆき
ユイ:喜多村英梨
ひさ子:松浦チエ
入江みゆき:阿澄佳奈
関根しおり:加藤英美里
おすすめポイント
究極的に描かれる学園生活の楽しさ
この作品は、前半の天使との戦いを描く非日常的なシチュエーションと、後半の"卒業"に向けて学校生活やそれぞれの夢を追う日常的なシチュエーションの二つに大きく分かれます。
前半は死後の世界で天使に捕まると転生させられてしまうということで、対天使の熾烈な、けれどどこかコミカルな戦いが描かれます。
グロック17やガリル、ベレッタやVector、デザートイーグルやPPSh、BizonやM24などメジャーどころからマイナーなところまで、キャラクターごとに使う武器も異なっていて、ミリタリー好きが楽しめる要素も。
後半は天使が敵対する存在ではなく、「未練を残して死んだ人間が、学園生活を楽しく過ごしてこの世界を『卒業』できるようにする」という目的で行動していると言うことを知り、一人一人の未練を解消していく展開に。
色々なとらえ方ができる作品ではあると思いますが、自分が感じたのは、
"学園生活を満喫することが実は人生で一番楽しい"ということ。
前半は天使のいいなりになることを拒み、学園生活を楽しまないようにする戦線メンバー。
やっていることは確かに学校の規則から外れたことなのですが、みんなで集まって相談して一つの計画を実行したり、学食や球技大会、テストをこなしていく彼らは非常に楽しそうでした。
もちろんGirls Dead Monsterのバンド活動もその一部。
そして極めつけはやはり最終回の"卒業式"でしょう。
『Angel Beats!』の本放送時は、楽しい学校生活の真っ只中だったのでそこまで意識することはなかったのですが、10年経った今、改めてこの作品を見るといかに学校生活が人生の基盤になっているのかが身に沁みました。
幸い、自分は周囲の友人や先生、環境にも恵まれて、およそ考えうる最高の学校生活を送れたと自負していますが、それでもできなかったことはたくさんあります。
そんな幸せな過去を思い出させてくれる作品でもあり、
こんな学園生活を送りたかったと想像が膨らむ作品でもあり、
そこを卒業して人生を歩んでいく僕らの背中を押してくれる作品でもあると思います。
個性豊かなキャラクターと生前の未練
テレビシリーズ本編は全13話、1クールと短い構成の本作。
それでも、死んだ世界戦線のメンバーや、Girls Dead Monsterのメンバー、ギルドメンバーなど数多くの登場人物が非常に魅力的に描かれました。
普通のアニメだったらきっとキャラクター名を1人も覚えられずに終わっていてもおかしくない。
10年経った今でも一人一人のキャラクター名がしっかり言える作品なのは、その個性が際立っていたからでしょう。
主要人物はもちろんのこと、
知的な筋肉キャラ高松。
アホでけんかっ早い野田。
「あさはかなり…」が口癖な椎名。
冷静なオペレーター遊佐。
ピカイチで柄の悪い藤巻。
意味不明な英語とダンスのTK。
柔道が得意な松下五段。
特徴がないのが特徴な大山。
天才ハッカー、クライストこと竹山。
そして副会長の直井。
キャラクターデザインも非常に判別がしやすく、出番の少ないキャラクターであっても多くの人の記憶に残り続けていると思います。
そして一人一人のキャラクターにある生前の未練。
その未練は死後の世界での行動指針に大きな影響を及ぼしており、未練に紐づいてそのキャラクターの性格がすっと理解できるような構成になっていました。
特に音無、ゆりっぺ、日向、岩沢さん、ユイの過去の描写は非常に強烈。
死後の世界という設定を最大限に生かして、キャラクターに深く感情移入させてくれる素晴らしい要素でした。
LiSAさんのメジャーデビュー、伝説となった楽曲たち
『鬼滅の刃』の「紅蓮華」でアニソン界を超えて広く一般に知れ渡ったLiSAさん。
その起源になったのは『Angel Beats!』。
『Angel Beats!』を見ずにLiSAさんのファンを名乗るなという過剰な意見もたまに見かけますが、もちろんそんなことはありません。
そんなことはありませんが、『Angel Beats!』でLiSAさんがどんな歌をどんな気持ちで歌っていたのかは知っておいた方が、もっともっとLiSAさんのことを好きになれるはず。
本当に伝説クラスの名曲揃いなので、どの曲を紹介しようか非常に迷いますがとりあえず必須の3曲にすることにしました。
1曲目はオープニングテーマ、
「My Soul, Your Beats!」/ Lia
作詞・作曲:麻枝准 編曲:ANANT-GARDE EYES
作詞、作曲はもちろん本作の原作・脚本も務めている麻枝准さん。
編曲は『CLANNAD 〜AFTER STORY〜』の頃からKey作品と関係の深いANANT-GARDE EYESさんが担当されています。
こちらの楽曲は通常Ver.とGldemo ver.があり、第4話のみ、LiSAさんが歌唱を担当するGldemo ver.が流れます。
Gldemo ver.の編曲は多くのKey作品でギターを担当するギタリスト、光収容さんが担当されています。
もう放送から10年も経っているのでネタバレ注意ということもないですが、この楽曲タイトルにまつわる非常に大切な伏線があるので、選択すれば読める形で記載をしておきます。
この楽曲は天使目線の楽曲で、タイトルが「My Soul, Your Beats!」。
簡単に訳せば、私の魂(身体)であなたの心臓が鼓動を打っているという意味です。
本作の主人公、音無結弦は事故に会う前、保険証の臓器提供意思表示をすることで生前の天使、立華奏に心臓を譲り、奏の命を救いました。
これは最終話で明らかになる事実なのですが、この楽曲のタイトルや、心臓の鼓動がないという意味での"音無"という名前、心臓の鼓動を奏でているという意味での"奏"という名前など一番最初からこんなにも見事に伏線が張られていたのです。
美しいピアノの音色が心地よい通常Ver.と、ギターのサウンドがカッコよいGldemo ver.。
実はオープニング映像も第4話は大きく変わっていて、その他の話数も全部少し映像が違うという細かいこだわりが詰まっています。
ネタバレ部分のような解釈もありますが、Gldemo ver.は岩沢さんの生き方、熱い魂の鼓動にユイが突き動かされていると捉えることもでき、この作品を語る上で切っても切り離せない素敵な楽曲です。
2曲目は第5話「Favorite Flavor」挿入歌、
「Thousand Enemies」/ Girls Dead Monster (LiSA)
作詞・作曲:麻枝准 編曲:光収容
この楽曲はストーリー上で非常に重要な役割を担っています。
第3話で消滅した岩沢さんから託された楽曲であり、ユイがGirls Dead Monsterとして歌う最初の楽曲であり、作詞及びタイトルのネーミングを担当しているのです。
楽曲はアップテンポでカッコ良いバリバリなロックチューン。
歌詞はアホな女の子ユイが作詞したとは思えないほど、人生に立ちはだかる敵と立ち向かう真面目な内容になっています。
この楽曲で言う「Thousand Enemies」、人生に立ちはだかる敵は様々。
ユイ目線で考えれば生前の事故という外的要因が敵かと思われますが、敵はむしろ自分の中にこそいます。
絶対にこれだけはやりきるという強い意志を持ち続けることの難しさ。
それを溶けていく氷や、鋼のような頑固な意地という言葉で表現しているんですよね。
そんな自分の中にいる敵と戦うために一緒に頑張ろうという、ある意味友情のような、恋愛のような感情が歌われています。
生前の未練ともリンクして、今できることを精一杯やる、今を全力で生きようという強いメッセージが心に響く楽曲です。
最後に紹介するのは第10話「Goodbye Days」挿入歌、
「一番の宝物 (Yui ver.)」/ ユイ (LiSA)
作詞・作曲 - 麻枝准 / 編曲 - 光収容
アコースティックギターとLiSAさんの芯の通った強い歌声で紡がれた至極のバラード。
交通事故の後遺症で寝たきりとなったユイは生前、運動はもちろん恋愛だってできませんでした。
そんなところも全部含めて愛するという日向の強い気持ち。
「俺が結婚してやんよ!」
と併せて、多くの視聴者が大号泣したことでしょう。
麻枝准さんのワードセンスと木村良平さん、喜多村英梨の熱演、そしてLiSAさんの心に響く歌声があって初めて成立するアニメ史を代表するような名シーンです。
歌詞は別れる人を想う大切なラブソング。
本作においては、"卒業"した先で再び日向に出会えるかどうかはわからないけれど、一人でも日向との思い出を宝物にして強く進んでいこうというユイの気持ちが痛いほど伝わってくる内容になっています。
それに加え、この曲は聴く人一人一人の立場によってまた違った色が見えてきます。
学校を卒業して共に過ごしてきた仲間と別れる時。
本当に大好きだった人と失恋して別れてしまった時。
大切な人が亡くなってしまった時。
離れても遠くなっても、君との思い出を宝物にして前に進んでいこう。
本当につらくなったとき、この曲を聴けばきっと元気がもらえる、そんな多くの人の心の支えになっている楽曲です。
おわりに
10年前はいわゆるSNSをやっていなくて、この作品がどういった形で評価されているのかあまりわかっていませんでした。
大絶賛の一方で、ここの展開は寒いとか、感情移入できないとかいう意見も散見されて、世の中にはいろんな意見の人がいるもんだなあと驚いた作品の一本でもあります。
今回の再放送をきっかけに、『Angel Beats!』という作品への想いが自分の中でも整理できて、改めて良い機会だったなと思います。
このシーンは感情移入できなかった!
この曲の方が好き!
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