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『白猫プロジェクトZERO CHRONICLE』第7話「山菜取り」きっと僕らは、山菜を見るたびにこのアニメを思い出すだろう…【あらすじ・感想】

 あなたは30分間、山の中で山菜取りをしているだけのアニメを見たことがあるでしょうか。

 世の中に数ある行事の中でなぜこのアニメは山菜取りを選択し、僕らはそれを楽しむことができたのか、2020年春アニメで最も謎多き1話について考えていこうと思います。

 

 

 

colopl.co.jp

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『白猫プロジェクトZERO CHRONICLE』とは

あらすじ

 ずっとずっと昔の時代、天空には白の王国が、地上には黒の王国があり、〈均衡〉を保ちつつ〈循環〉していた。

 ある時、黒の王国で魔獣に襲われ壊滅した村で、少年が墓を掘っていた。
 その少年の元へ、先代の闇の王候補者スキアーズが現れる。
 スキアーズに見出された少年は、闇の王子となってこの世界を変える事を決意する。

 一方、白の王国の守護神である光の王 アイリスは、光と闇の均衡が破られる事を懸念していた。

 そこへ均衡を乱す存在バール出現の知らせが入る。
 黒の王国の闇の王は、目障りなバールを討つために盟約を申し入れる。

 光の王 アイリスは、黒の王国からの使者闇の王子と出会い、共に平和な世界をもたらそうと〈約束〉する。

 だがふたりの〈約束〉は、闇の王によって踏みにじられる事となる。

 ふたりが交わした〈約束〉と、世界を滅ぼした始まりの罪。
 〈根源〉(ゼロ)へと至る物語が幕を開ける―――

 引用元:『白猫プロジェクトZERO CHRONICLE』公式HP「Introduction」より

キャスト

闇の王子:梶 裕貴

光の王 アイリス:堀江 由衣

ファイオス:バトリ勝悟

シーマ:中村 ちせ

テオ:岩端 卓也

アランティア:松井 謙典

ヴァルアス:三浦 勝之

グローザ:渚 兎奈

スキアーズ:宮崎 敦吉

アデル:高梨 謙吾

闇の王:赤城 進

バール:飯塚 昭三

スタッフ

原作:白猫プロジェクト ゼロ・クロニクル 〜はじまりの罪〜(コロプラ)

監督・脚本:神保 昌登

企画:浅井 大樹

スーパーバイザー:角田 亮二(コロプラ)

キャラクターデザイン:奥田 陽介

音楽:岩崎 琢

アニメーション制作:project No.9

第7話「山菜取り」

あらすじ

 アイリスの提案で山菜採りに向かう、光と闇の戦士たち。
 山菜採り競争を提案するアデルだったが、アイリスの知識に誰も太刀打ちができない。
 嬉しそうに山菜を採るアイリスに、感心する闇の王子。
 そんな時、テオの姿が見当たらなくなり―― 

引用元:『白猫プロジェクトZERO CHRONICLE』公式HP「STORY」より

スタッフ

絵コンテ:藤木かほる

演出:木下ゆうき

総作画監督:奥田洋介、佐々木貴宏、香川松吉

作画監督:崎山知明、木下ゆうき、青野厚司、森出 剛

おすすめポイント

 大人気スマホRPGが原作のこちらの作品。なんと今年2月には総プレイユーザーが20億人を突破しています。

 日本人10人のうち200人がプレイている計算ですね。ちなみに自分はプレイしていないし、自分の知り合いでもプレイしている人を見たことがないので、もう何もわからないです。

 何もわからないといえばこのアニメ、正直3話ぐらいまでいったい何の話をしているのかさっぱりわかりませんでした。適当にアニメを見るなよと怒られそうですが、一言一句逃さないようにちゃんと見ていたんですが、それでも何もわからなかったんですよね。

 スマホゲーム原作特有の、元々スマホゲームやってないと何の話なのかさっぱり分からない、初見さんお断りアニメなのかなと思っていました。

 いったい誰と誰がなんのために戦っているのか、どうなれば戦いは終わるのか、ちゃんと考えながら見てもいまいちピンと来ていませんでした。

 でも、第4話あたりから第5話、第6話と重ねていくにつれて、何となく話が分かってきて、会話が日本語として頭の中に入ってくるようになります。

 そして、この第7話でついに"理解"してしまいました、このアニメを。

 以下の3つのポイントから第7話の大切なところを解説していきたいと思います。

・エンタメに必要な"緊張"と"緩和"

・作品世界から想像できない行事、細かい描写

・あくまで原作に忠実に、安易な"水着回"へのアンチテーゼ

エンタメに必要な"緊張"と"緩和"

 エンタメは"緊張"と"緩和"の連続であるから面白い、というのはよく言われる話であります。

 お笑いのコントはボケ役が1つ1つ言葉を紡いで状況や情報を説明しながらボケまでの道のりを進んでいきます。観客側はいつこの話のオチが来るんだ…と緊張しながら話を聴き続け、そこにボケ役の渾身のボケが炸裂。さらに追い打ちのようにツッコミが的確なツッコミを入れ、訪れる緩和、観客も大爆笑という流れになっています。

 自分はお笑いがあんまり好きではないしテレビ番組見ないのでコントを数年見ていませんがきっとあっていると思います。

 映画にしてもアニメにしても冒頭に結末に限りない近い緊迫したシーンを入れて、わざと緊張を作り、物語を描いていく作品が多いですよね。

 『白猫プロジェクトZERO CHRONICLE』もまさにそのパターンと言える作品で、第1話から派手な戦闘シーンとよくわからない世界観の単語をバンバン並べて、緊張感の塊みたいなお話だったと思います。

 そこから話数を重ねながら世界観を描きつつ、世界の話から個人の恋愛の話という視聴者にとってもわかりやすい話にシフトしていき、「山菜取り」という非常に身近で親近感の湧く話までしてくれました。

 ここまで来ると凡庸な視聴者である僕も、「白の王国」と「黒の王国」が戦っていて、「黒の王国」の†闇の王子†と白の王国のアイリス様が禁断の恋をしてしまう話なんだなと理解できます。

 さらにこの「山菜取り」という平和すぎる描写であるが故に、今後また白の王国と黒の王国が再度熾烈な戦争を始めてしまい、この平和が崩れていくという予想が建てられます。

 以上のような意味で、第1話から続いてきた緊張に対する緩和がこの第7話であり、今後の展開を考えていく上では緊張にも該当するお話でもあるということでした。

作品世界から想像できない行事、細かい描写

 え、まずそんな恰好で山菜取りに行くの!?という驚きがありますよね。そもそもキャラクターデザインからしてハイキングに行くような恰好をしていても困るし、むしろシュールな感じが出ていてすごく良いです。

 そしてオープニング。これから山菜取りをするぞ!という雰囲気MAXで流れる「天秤-Libra-」も非常にシュールでした。

 きっとアニサマでこの曲を歌ってくれた時も僕らは、

山菜アニメの曲だ!

となること間違いなしです。バックの映像でアニメが流れて山菜のシーンができたらきっと涙を流してしまうことでしょう。

 

  そしてめちゃくちゃ山菜に詳しい、アイリス様。タラの芽の取り方を教えてくれるアニメがいまだかつてあったでしょうか。さらには苦みの強さに直結する採取すべきサイズのアドバイスや、木自体を枯らさないように全ての芽を取ってはいけないと長期的な視点での助言もしてくれます。

 フキノトウ、ゼンマイ、ワラビ、コゴミ、アサツキと人によっては馴染みのない名前まで出てきて、なんでそんなに詳しいのにそんな恰好で山に来たんだとツッコむ余裕すらなくなってしまいます。

 そして他のメンバーも非常に優秀です。一般的なアニメでは食料調達の際、絶対一人適当な人が明らかに怪しいキノコとかを食べてハプニングが発生しますよね。

 少しつぼみが開いた状態のフキノトウを取ろうとするアデルをシーマが引き止め、アイリス様に確認してからにしましょうと提案します。いや、それぐらいとってもいいでしょとツッコんだ人も多かったはず。

 鳥の足みたいな植物を見つけた†闇の王子†とテオも、すぐには取らずアイリス様に確認します。結果、トリアシショウマという食べられる野草だとアイリス様に教えていただき、採取しました。トリアシショウマって初めて名前を聴いたので架空の植物かなと思ったら本当にあってびっくりしましたね。

 

 アイキャッチではタラの芽の味が紹介されます。いったい何のアニメなんだ。

 

 Bパートでは開幕、どっちのチームがより多く山菜を取ったかという話になるのですが、重さでは負けていたが量で勝った闇の王子チームが勝利、重さでは勝っていたが量で負けていたアデルチームが負けという判定。

 細かいし地味すぎる!大体こういう勝敗って1チームがめちゃくちゃな量を取ってくるとか、めちゃくちゃレアな何かを取ってきて勝つとかそういう展開になりますよね。あまりにも地味すぎる決着が逆に面白くて笑ってしまいました。

 

 細かい描写は採取だけではありません。調理も非常に繊細に描かれていました。細かいところで「白の王国」と「黒の王国」の比較がされ、†闇の王子†が「白の王国」の良さを知っていく描写も良かったですね。

 それにしてもこの格好で薪拾いしたり灰汁取りしてるのシュールが過ぎる。

 色々な調理法で調理された山菜をみんなで食べつつ談笑。平和でのどかな空気がそこには流れていました。いい最終回だった。 

あくまで原作に忠実に、安易な"水着回"へのアンチテーゼ

 今回の山菜のお話、ちゃんとゲーム内にある設定を生かして作ったオリジナルストーリーである点も視聴者をうならせます。

 ゲーム内でどれだけ山菜について触れられているかはプレイしていないのでよくわからないのですが、わざわざゲーム内で山菜に触れています!というツイートをする割に添付されている画像がそこまで山菜について触れていないというところからも、山菜をメインテーマとしたゲームではないことが想像できます。

 そんな細かい設定を拾って、一般的に人気と言われる"水着回"に安直に走らず、山菜取りを選択したのはもはや"水着回"へのアンチテーゼなのです。

 特にその思いが汲み取られるのが、†闇の王子†が謎に小石で転んで、アイリス様を押し倒しつつ、池に落ちるシーン。

 水で濡れたアイリス様を目の前にして†闇の王子†は、直視しないよう照れながら目をそらします。どんな恥ずかしい格好になっているのだろうかとカメラを下ろしていくと…

 特に服が透けてすらおらずちょっと谷間が出ているだけでした

 いくらでもえっちな描写ができるタイミングでほんの少しのチラリズム。非常に硬派なアニメだなあと感心してしまいました。

 極めつけには水からあがったあと、ドレスの裾をアイリス様が絞るワンシーン、それをちらっと見てしまった†闇の王子†は再び目をそらします。うーん硬派。

 安直な"水着回"をやるなら、"山菜取り回"をやれ。

 こんな強いメッセージが僕の心に刻まれました。

配信情報

 各種、見放題配信サービスにて絶賛配信中です。海外での配信も非常に多く、全世界のオタクがこの山菜取り回を見るのかと思うと胸が熱くなりますね。

『山菜取り』を見るなら【フジテレビ公式FOD】

 

おわりに

 『白猫プロジェクトZERO CHRONICLE』、前半は置いてけぼり感が凄くて、頑張って見なきゃ!みたいなイメージが少しありましたが、この山菜取り回のおかげで来週が楽しみで仕方ありません。

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 今後もアニメに関する記事を毎日投稿していきますので、ぜひご覧ください。

 また次の記事で!