人が熱心に努力するアニメ、めちゃくちゃ好きなんですよね。
現実では「努力は人に見せるな」みたいな風潮もありますし、その人がどれだけ努力しているかは部分的にしか窺い知ることができません。
『アルテ』の今回のお話は努力が人の気持ちを動かすという主題が簡潔に描かれた一話でした。
『アルテ』とは
あらすじ
舞台は16世紀初頭イタリア・フィレンツェ。
絵画や彫刻などの芸術が盛んなルネサンス発祥の地。
そんな活気ある華やかなる時代に、貴族の娘として生まれたアルテは、物心ついた頃から絵を描くことに夢中となった。
しかし女性がひとりで生きていくことに理解がない時代、好きなことをまともにすることも許されなかった。
結婚してまともな生活をしてほしいと願う母親に反発し、アルテは画家になるべく工房への弟子入りを志願する。
同じ後悔なら自分の望むことをして後悔したい―
時代の流れに抗って、画家になる道を選んだ少女・アルテの物語が始まる。引用元:『アルテ』公式HP STORYより
キャスト
アルテ:小松未可子
レオ:小西克幸
アンジェロ:榎木淳弥
ヴェロニカ:大原さやか
ダーチャ:安野希世乃
ウベルティーノ:秋元羊介
ユーリ:鳥海浩輔
カタリーナ:M・A・O
ソフィア:田中理恵
ダフネ:戸松遥
スタッフ
監督:浜名孝行
シリーズ構成:吉田玲子
設定考証:鈴木貴昭
キャラクターデザイン/総作画監督:宮川智恵子
サブキャラクターデザイン:宮地聡子
プロップデザイン:岡戸智凱・岩畑剛一
美術設定:吉原一輔
美術監督:SCOTT MACDONALD
美術:スタジオちゅーりっぷ
レイアウト監修:益田賢治
色彩設計:舘 絵美子
撮影監督:能代拓也
特殊効果:福田直征
編集:関 一彦
音響監督:えびなやすのり
音響効果:川田清貴
音響制作:グロービジョン
音楽:伊藤ゴロー
音楽制作:フライングドッグ
アニメーション制作:Seven Arcs
第6話「同業組合」
あらすじ
アルテが女性でありながら工房に弟子入りしていることが同業組合から物言いが入る。画家修業を続けるためには、宮殿の大広間の装飾画の手伝いの仕事を受けなければならなくなった。
そして今回の仕事ぶり次第ではアルテは工房をやめないといけない。 アンジェロたちほかの工房の徒弟や親方たちも参加する中で、果たしてアルテは無事工房に残ることができるのか・・・
引用元:『アルテ』公式HP STORYより
スタッフ
脚本:鈴木貴昭
絵コンテ:齋藤昭裕、浜名孝行
演出:山崎茂
作画監督:宮地聡子、石井ゆみこ、細田沙織、矢島陽介
総作画監督:橋立佳奈
画家を目指すことを決めたアルテは、弟子入りするため町中の親方に弟子入り申し出ますが、「女だから」という理由で門前払いされました。それでもめげずになんとか弟子入りのチャンスをくれたレオさんのところで、朝も夜もなく、倒れるくらい必死に努力し、無理難題を乗り越え、やっとのことで弟子入りを果たしました。
ところが今回、同業組合という町の画家たちの組合から、「女性なのに弟子入りしているなんて」と物言いが入ります。
その物言いに対し、成果を出すことで同業組合を納得させ、さらには新たなチャンスをつかむ。それがこの第6話で描かれた内容です。以下の3つのポイントが素晴らしいと感じ、自分の心を震わせてくれたので紹介したいと思います。
先に行っておくと自分が『アルテ』という作品を非常に自己啓発的な内容として捉えているので、自己啓発アレルギーの方はあんまりこの先を読むのはお勧めしません。
・熱心な姿は人の気持ちを変える
・見下してくる人とも真正面から向き合う、レオさんとアルテの違い
・たゆまぬ努力は更に新しい機会を与えてくれる
おすすめポイント
熱心な姿は人の気持ちを変える
ここまでのお話で、絶対に弟子を取らないと断言していたレオさんの気持ちを変えさせるほど、アルテは熱心な姿をレオさんに見せてきました。
もちろんそれは打算的に、熱心な姿を見せればきっと弟子入りさせてもらえるだろうと思ってした行動ではなく、「画家になりたい」「自分のできることは全部やる」そういった純粋な気持ちが根底にあってこその行動でした。
そんなアルテの思いを汲んでレオさんは今回より厳しい注文をアルテにします。10日間の漆喰塗、他の男性の工房の徒弟ですらできないというほどの力仕事、大勢の徒弟や親方の前での厳しい説教等、普通の人であればあっという間に根を上げてしまうような厳しい内容でした。
文面だけ見ると、現代社会でやれば明らかにパワハラと言われるような内容ですが、視聴者側からはこれがアルテのためを思って行っている、レオさんの不器用だけど優しい気持ちなんだなとわかります。
荷物を運ぶ時に疲労がたまりすぎて転んでしまったり、休憩時間に嘔吐してしまったり、力尽きて倒れてしまったり散々苦労しながらも装飾画の作業を続けていきます。
そんな姿に工房の徒弟たちも、次第にアルテを認めていき、最後には休憩時間に男だけで行っていたカルチョをアルテと一緒に行うことになりました。
我々は人と違うことをしようと思っても楽な道に逃げてしまったり、少し頑張っただけで疲れてしまったり、どうして努力が報われないんだろうと悲観的な気持ちになってしまいます。
無理難題とも思える目標に向かってひたむきに努力し、周囲の人の気持ちを変えていくアルテの姿はそんな我々の背中を押してくれる、太陽みたいな存在だなと改めて感じました。
見下してくる人とも真正面から向き合う、レオさんとアルテの違い
レオさんも物乞い出身ということで、厳しい環境から逆境を乗り越え、今の職人という地位に上り詰めました。その過程については現段階ではそこまで深く描かれていませんが、物乞い出身とバカにしてくる人たちに対して、正面から向き合うのではなく、実力であったり、あるいは風貌や態度によって黙らせてきたのではないかなと予想されます。
第6話でも親方たちがこっそり裏でレオさんの悪口を言っているシーンがあり、そういった過程を示唆するものかなと思います。
それに対してアルテは、本当に真正面から逆境に立ち向かいます。前項で述べた努力もそうですが、誰もアルテを歓迎していない雰囲気の大広間で大きな声であいさつをしたり、手助けしてくれそうな人の手助けを断りつつ優しい笑顔でお礼をしたり、男だけで行っていたカルチョに、「混ぜてもらえませんか!」と積極的に入っていったり、とことん正面から向き合います。
レオさんの弟子時代とアルテの実直な姿が重なる、という点で描かれてきたこれまでのお話ですが、アルテはレオさんを超えるかもしれない、そう思わせてくれるお話でした。
我々も、一人の力だけで物事を成功させるには非常に難しい世界に生きています。人の助けなしではどうしても高い壁にぶつかることもあるでしょう。そんな時にアルテみたいに、心から「挨拶」や「感謝の気持ち」を伝えること、積極的に仲間と関わっていくこと、我々が具体的にどうすればいいかアクションプランを提示してもらったような気持ちになりました。
たゆまぬ努力は更に新しい機会を与えてくれる
今回の大広間の装飾画作業に関してはアルテに与えられた試練という側面で描かれましたが、対外的にアルテの存在を知らしめたという意味では非常に大きな新しい機会でした。
もちろん、「あのレオさんのところの」「女の弟子」という噂は町中で広がっていましたが、実際に熱心に努力するアルテの姿はより多くの人の心に刻まれたことでしょう。
そして最後のシーンでは、貴族のユーリがアルテの手の落書きに興味を示します。今回のこの大広間の仕事が無かったら決して生まれなかった出会いです。
成功は、本人の努力だけではなく、運やタイミングも非常に重要になることは多くの成功者も述べています。しかしながら、誰にでも運やタイミングが訪れるわけではなく、努力している人のことにこそ機会はやってきます。
アルテを見ていると自分も現状に満足せず、仕事も趣味ももっともっと上を目指さなきゃいけないなと改めて感じさせてくれます。
配信情報
FODにて地上波同時・独占配信です。普段アニメを見ていない人にも非常におすすめしたい作品で、新しいことに挑戦したいという人の背中を押してくれるアニメです。
おわりに
『アルテ』のお話は今後もどんどん進んでいきますが、今回の話は『アルテ』で描きたい普遍的な主題が詰まっているなと思ったので記事にいたしました。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。もし記事が良かったなと思ったらSNSへのシェア、Twitterのフォロー等、ぜひともよろしくお願いいたします。
今後もアニメに関する記事を毎日投稿していきますので、ぜひご覧ください。
また次の記事で!