『本好き』も、もう20話まで来たんですね。マインの相棒で今まで、君も転生してきてるんじゃないかというぐらい無敵だったルッツのお話です。
今までのお話とはちょっと毛色が違いますが、『本好き』らしさも感じつつ、思わず感動して泣いてしまうところもあるお話でした。
『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜』とは
あらすじ
目覚めると、そこは本のない異世界だった――
活字中毒で本を偏愛する大学生・本須麗乃は、不慮の事故で命を落とす。それは、念願である図書館への就職が決まってすぐのことだった。
気が付くと麗乃は、貧しい兵士の娘・マインとして転生していた。
そこは、魔法を持つ貴族が支配し、厳しい身分制度が存在する異世界の街・エーレンフェスト。
マインは、本があれば生きていけると自分を鼓舞する。ところが、識字率が低く印刷技術もないこの世界では、貴重で高価な本はお貴族さまのもの。
兵士の娘では、とても手が届かない。
どうしても本が読みたいマインは決意する。「本がなければ作ればいい」
体力もない。お金もない。あるのは麗乃時代に読み漁った読書による膨大な知識だけ。
果たして、マインは本を作ることができるのか!?
マインの本を作る冒険が、いま始まる。引用元:『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜』公式HP introductionより
キャスト
マイン:井口裕香
フェルディナンド:速水 奨
ルッツ:田村睦心
ベンノ:子安武人
トゥーリ:中島 愛
ギュンター:小山剛志
エーファ:折笠富美子
オットー:日野 聡
マルク:前野智昭
フリーダ:内田 彩
グスタフ:中 博史
ギル:三瓶由布子
フラン:狩野 翔
デリア:都丸ちよ
ロジーナ:鈴木みのり
ヴィルマ:安野希世乃
スタッフ
原作:『本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません』(TOブックス刊)
著者:香月美夜
イラスト:椎名 優
監督:本郷みつる
副監督:川崎芳樹
シリーズ構成:國澤真理子
キャラクターデザイン:柳田義明、海谷敏久
総作画監督:柳田義明、海谷敏久、遠藤江美子
プロップデザイン:ヒラタリョウ
美術監督:木下了香
美術設定:天田俊貴
色彩設計:一瀬美代子
撮影監督:北村直樹
編集:長坂智樹
音響監督:渡辺 淳
音響効果:倉橋裕宗
音響制作:JTB Next Creation
音楽:未知瑠
音楽制作:フライングドッグ
OPテーマ:諸星すみれ「つむじかぜ」
EDテーマ:鈴木みのり「エフェメラをあつめて」
アニメーション制作:亜細亜堂
プロデュース:ジェンコ
第二十話「ルッツの行く道」
あらすじ
ルッツが家出してしまった。ルッツが商人になることに反対していた父のディードと言い争いになり、飛び出してしまったらしい。
一方、ベンノはルッツを養子にすると言い出し、ルッツの家族と険悪になる。どうすればいいのかと悩むマイン。フェルディナンドは双方の話を聞くようにと助言する。親身になってくれるフェルディナンドが意外なマイン。こうして、神殿でルッツの家族会議が行われることになる。
スタッフ
脚本:國澤 真理子
絵コンテ・演出:緒方 隆秀
総作画監督:柳田 義明
作画監督:加藤 茂、岸 智恵美、有働 弥生
転生したマインがマインしか知らない知識をもとに、本を作るため切磋琢磨していくのが本作のメインストーリーですが、第2クールでは神殿に入ったマインの神殿での常識と下町での常識の差が大きなテーマになっています。
第二十話では、商人になりたいルッツと、それに反対する両親のお話でした。正確に言うと反対しているわけではないというところも含めて、見所がある回だったので以下の三点を中心に話していきたいと思います。
・言いたいことは言葉にしないと伝わらない
・本当の意味での"話し合い"
・世の中は合理性だけでは回っていない
おすすめポイント
言いたいことは言葉にしないと伝わらない
ルッツは商人になりたいと家族に告げると、両親から「勝手にしろ!」と言われ、感情的に家を飛び出してしまいます。ギルベルタ商会に仮住まいしていたルッツですが、兄や母が心配してギルベルタ商会を訪れます。
しかしルッツの意志は固く、会話することさえ諦めギルベルタ商会で働き続けます。
そんな様子のルッツのことを考えるとマインは仕事が手につかず、神官長のフェルディナンドさんに、何があったか話せと言われ、ルッツとルッツの両親、フェルディナンドさん、マインの5人で話し合いの場が設けられました。
話し合いの場でもルッツの父は「甘ったれるな」、「危険すぎる」、「必要ない」、「話にならんな」と否定的な言葉を続けます。しかし1つ1つの発言に対しフェルディナンドさんが説明を求めると、実は両親はルッツが商人になることに反対しておらず、親の反対を振り切って選んだ仕事なら最後までやりきれ!という意味で「勝手にしろ!」と言ったことがわかるのです。
世の中には口下手な人もいて、短い、強い言葉で言いたいことをまとめてしまうけれど、誠実にその内側に隠された意味を汲み取るといろいろ考えてその発言をしているということがあります。
いかにして商売を成功させるか、人の心を動かすか、利を得るためにすべき行動は何かというテーマが出てくるこの作品で、改めて相手の心の奥まで読み解くようなしっかりとした話し合いの大切さを学びました。
本当の意味での"話し合い"
もし今回のお話でフェルディナンドさんを仲介していなかったらどうなっていたでしょうか。ルッツも、ルッツの両親も感情的になっておりそもそも話し合う機会すら生まれませんでした。
心配に思っていたマインも意見が思いっきりルッツ側に寄っており、冷静な会話をすることは難しかったでしょう。
ベンノさんも非常に優れた商人ではありますが、怒ったような態度を取っていたルッツの両親としっかり話し合うようなタイプでもないような気がします。
フェルディナンドさんは神官長という立場もあり、ルッツの両親も、説明を求められたら説明せざるを得ない状況で、かつ冷静に一つ一つの言葉に対してどういう意味か説明を求めました。
「私がはっきりさせたいのは、ここに集う者たちの意思だ。」この言葉にもあるように、フェルディナンドさんはあくまで客観的に第三者として、事実の確認に徹します。
冷たいようで威厳もあり、その中に暖かみがある声が心に良く響くので、フェルディナンドさんを速水奨さんが演じてくれて本当に良かったなあと感じました。
「あの家族が壊れなくてよかったな、君が望んだ結果になった。」のシーンは自分もマインと一緒にボロボロ泣いてしまいました。
自分も人の悩み相談に乗ったときは、悩んでる側の意見の影響を強く受けてしまい、同情の言葉や相手を非難するような発言をしてしまっている時があります。
でも実は、本当にその悩みを根本から解決しようとする場合は、そういった主観的な意見よりも、もっと客観的で公平な意見を伝えるほうが悩んでる人のためにもなるんですよね。
短期的に"いい人"と思われるような発言よりも、長期的に見てこの人に相談してよかったと思われるように、フェルディナンドさん程徹底することは難しいですが、自分の行動を少しずつ変えていきたいなと思いました。
世の中は合理性だけでは回っていない
マインに毎回的確なアドバイスをし、非常に優れた商人として描かれるベンノさんですが、今回は珍しくベンノさんが思いもしなかったという表情をするシーンがありました。
ベンノさんはルッツと養子縁組を結びたいとルッツの両親に告げると、「話にならんな」と突き返されます。それに対して養子縁組はお店だけでなくルッツにも利点があることなんだと説明します。
ルッツの父は「親ってのはここ(心)だろうが、利益がどうとかじゃない。」と言い切ります。
ベンノさんははっとした表情をし、その後話し合いを続け、ルッツとダプラと呼ばれる将来的に店や業務を任せるための徒弟契約を結ぶことになりました。
このシーンはベンノさんの利益に対してまっすぐな姿勢が良く表れているシーンでもあり、本当に大事なことはそれだけではないということを示唆してくれるシーンでもあります。
人の意思決定は全て合理的に行われているわけではなく、感情による部分が非常に大きいです。いくら提案が理にかなっているとしてもそれにOKを出すかどうかはその時の感情次第だったりしますよね。
ベンノさんの話し方は、商人の商談トークとしてはお互いwin-winな地点を探っていく素晴らしい話し方でしたが、自分が親ではないという点で、ルッツの父親の気持ちを完全に汲み取ることはできておらず、感情的な満足を得ることはできていなかったのです。
実際にその立場になってみないとわからない感情というのも多くありますから、色々な人の感情に寄り添っていけるように色々な体験をしてたくさんの知見を得たいなと感じました。
配信情報
各種、見放題配信サービスにて絶賛配信中です。今回の話以外にもいろいろ勉強になることが多い作品ですので、ぜひご覧になってください。
おわりに
2日連続、ちょっと自己啓発的な内容になってしまって申し訳ない気がしています。
ただ、アニメを漠然と見るだけでなく、アニメから学びを得て、明日からの自分の行動を変えるのもアニメの楽しみ方だと思っているのでまたこういう記事を書いていきたいと思います。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。もし記事が良かったなと思ったらSNSへのシェア、Twitterのフォロー等、ぜひともよろしくお願いいたします。
今後もアニメに関する記事を毎日投稿していきますので、ぜひご覧ください。
また次の記事で!