俺たちが、ウルトラマンだ
子供の頃、誰もが憧れた正義のヒーロー、
"光の巨人"ウルトラマン。
一見平穏を取り戻した地球に再び新たな危機が迫る。
ウルトラマンに選ばれた人間味あふれる高校生が、
「正義とは何か」
「ウルトラマンとは何か」
大きなテーマに葛藤していく姿を描く名作『ULTRAMAN』について語っていきたいと思います。
『ULTRAMAN』とは
©TSUBURAYA PRODUCTIONS ©Eiichi Shimizu,Tomohiro Shimoguchi ©ULTRAMAN製作委員会
アニメ『ULTRAMAN』最新PV解禁! 2019年4月1日より、Netflixにて世界同時独占配信!
あらすじ
かつて、巨大な怪獣や侵略異星人による危機から地球の平和を守り続けてきた“光の巨人”がいた。
その名は、ウルトラマン。
科学特捜隊の早田隊員と同化していた彼が、その使命を終えて地球を去ってから時は過ぎ、人類は繁栄の時代を迎えていた。
しかし、それは表向きの平和に過ぎなかった…。
今、再び“光の巨人”の力が求められる時、光の因子を受け継いだ新たな英雄が現れる。
だが、それは巨人にあらず。メタリックボディの強化スーツに身を包んだ等身大の悩み多き高校生だった…。
彼の名は、早田進次郎。かつてウルトラマンであった男、早田進の息子が、新世代のウルトラマンとなるべく奮闘する新たなる物語が、ここに幕を開ける!!
スタッフ
原作:円谷プロダクション 清水栄一×下口智裕(「月刊ヒーローズ」連載)
監督:神山健治・荒牧伸志『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』『APPLESEED』
音楽:戸田信子×陣内一真『メタルギアシリーズ』『攻殻機動隊 SAC_2045』
制作:ProductionI.G×SOLA DIGITAL ARTS
キャスト
早田 進次郎:木村 良平
諸星 弾:江口 拓也
北斗 星司:潘 めぐみ
早田 進:田中 秀幸
佐山 レナ:諸星 すみれ
井手 光弘:魚 建
エド:牛山 茂
ジャック:竹内 良太
遠藤 庸介:花輪 英司
倉田:関戸 博一
アダド:津田 健次郎
白石:白石 稔
ベムラー:曽世 海司
エースキラー:平田 広明
ネペンテス星人:新垣 樽助
おすすめポイント
「月間ヒーローズ」創刊号から連載されたマンガが原作の本作。
地上波では2020年4月から放送でしたが、Netflixでは1年前の2019年4月から配信されていました。
現在も『ウルトラマンZ』が地球の平和を守るために闘ってくれていますが、それとは別のウルトラマンがいなくなった世界が舞台。
新世代のウルトラマンの活躍を見ることが出来る本作の魅力を以下の3つのポイントから紹介していきたいと思います。
・正義とは何か、悩める高校生主人公だからこそ描けた葛藤の物語
・強化スーツの重厚感!全編フル3DCGで送る映像美
・作品を彩る壮大なBGMと作品にぴったりな主題歌たち
正義とは何か、悩める高校生主人公だからこそ描けた葛藤の物語
かつてウルトラマンだった早田進の息子、早田 進次郎。
生まれながらにしてウルトラマン因子を受け継いだ新次郎は、地球で暗躍する宇宙人に対処するため、ウルトラマンスーツを身にまとい、ウルトラマンとして地球を守る使命を受けます。
本作の最大の魅力は進次郎が人間味あふれる高校生であるということ。
自分が命を張って地球のために戦っているのに、自分がウルトラマンであることは明かしてはならず、感謝されない境遇に不満を抱きます。
また、怒りのあまりに大きな力を発動してしまい、街に大きな被害を及ぼしてしまったこともあり、自分の力が容易に他人を傷つけるものだと認識しウルトラマンとしての在り方にも葛藤します。
そんな葛藤をさらに加速させたのが、ウルトラマン大好きアイドル、諸星すみれさん演じる佐山レナさん。とっても可愛い。
©TSUBURAYA PRODUCTIONS ©Eiichi Shimizu,Tomohiro Shimoguchi ©ULTRAMAN製作委員会
ウルトラマン大好きアイドルは表の顔で、子供の頃にウルトラマンと異星人の戦いに巻き込まれて母親を亡くしており、ウルトラマンを憎んでいます。
もちろん、ウルトラマンが意図的に母親を巻き込んだわけではなく、街中での異星人との戦いの中で運悪く巻き込まれてしまったのです。
そんなレナちゃんはウルトラマンに対し、
「ここにいるみんなを助けて見せて!だってあなたはウルトラマンなんでしょ!」
と言い放ちます。
正義の味方と言えど、全ての人間を救うことはできない。
多くの人を助けるために、何人かの犠牲を選択しなければならない。
本当の正義とは何なのか。
そしてもう一人物語のキーを握るのが、ウルトラマンエースのスーツに適合した北斗星司くん。
©TSUBURAYA PRODUCTIONS ©Eiichi Shimizu,Tomohiro Shimoguchi ©ULTRAMAN製作委員会
家族を異星人によって失った星司くんは、その事件の犯人を捜し、報復するため科学特捜隊には所属せず一人で異星人に立ち向かいます。
その一方で、ウルトラマンの活動資金の調達という名目で、悪いことをする人間に制裁という名の恐喝まがいの行動もしています。
社会悪に対して、制裁を加え、お金を巻き上げる。
悪人を減らすための行動ではあるものの、果たしてその行為は本当に正義なのか。
もちろん、全ての異星人が人間に危害を加えるわけではありません。
人間のために行動する心優しい異星人もいます。
そんな異星人を迫害する人間。
悪とは何か。
正義とは何か。
ウルトラマンとは何か。
心揺れ動く高校生主人公の進次郎くんと共に非常に考えさせられる作品になっています。
進次郎くんが様々な葛藤や経験を経て、どんな結論にたどり着いたのか、ぜひその目でお確かめください。
強化スーツの重厚感!全編フル3DCGで送る映像美
『ウルトラシリーズ』の戦闘シーンの最大の魅力とは何でしょうか。
人によって答えは異なると思いますが、ぼくは、
人間味が感じられる泥臭い肉弾戦
だと考えています。
「ニュージェネレーションヒーローズ」と呼ばれる2010年代以降のウルトラマンはかなりかっこいいVFXが使われていますが、それでも人間味を大切にした戦闘をしていると感じています。
そんな『ウルトラシリーズ』の常識を良い意味で打ち破ったのがこの『ULTRAMAN』。
全編フル3DCGで送る本作は、ほとんど人間味を感じさせないメカアクションでの戦闘が魅力となっています。
©TSUBURAYA PRODUCTIONS ©Eiichi Shimizu,Tomohiro Shimoguchi ©ULTRAMAN製作委員会
中に入っている人間はめちゃくちゃ泥臭いのにウルトラマンスーツはメカメカしいという皮肉になっているのかもしれません。
各キャラクターに専属のモーションアクターの方がおり、激しい戦闘シーンではアクションアクターの方が代わりにアクションを行うという圧倒的なこだわり。
バク宙や跳び蹴り、空手や剣舞、スペシウム光線などの必殺技まで見ごたえ満載の戦闘シーンが毎話毎話楽しめます。
光の当て方や、砂ぼこりの広がりなんかも、ものすごく緻密に描かれており、実写と見まがうほどです。
©TSUBURAYA PRODUCTIONS ©Eiichi Shimizu,Tomohiro Shimoguchi ©ULTRAMAN製作委員会
特撮の『ウルトラシリーズ』とは全く違った方向性での美しさ。
数々の作品でメカニックデザインなどを務め、モーションキャプチャーを導入した世界初の3Dライブアニメ、『APPLE SEED』を世に送り出した荒牧伸志監督。
3DCGアニメの先駆者である荒牧監督だからこそ描ける『ULTRAMAN』の世界を堪能していただければと思います。
映像的にもストーリー的にも昔の『ウルトラシリーズ』を知っている人が見たら興奮する要素も盛りだくさんです。
作品を彩る壮大なBGMと作品にぴったりな主題歌たち
アニメでは『一週間フレンズ。』、ゲームでは『メタルギアシリーズ』などで活躍する戸田信子さんと陣内一真さんが手掛ける本作のBGM。
アニメ『ULTRAMAN』オリジナルサウンドトラック・ダイジェスト版 / Highlights of ULTRAMAN Original Soundtrack
壮大なオーケストラ編成で送るメインテーマ「ULTRAMAN」を筆頭に、ここぞという時に流れるBGMはどれも強く心に刻まれました。
不安感を煽る「ベムラー」。
強い決意のシーンと切っても切り離せない「ACE」。
レナちゃんの優しい心が感じ取れる「そのままの君でいてね」。
レナちゃんのライブで歌われた切ないアイドルソング「星の欠片」。
ただただアニメを見ている中でもこのBGMめちゃくちゃいいなあ~と感じる瞬間がかなり多くあると思います。
Netflix版と地上波版ではOPテーマが変わっています。
どちらもOLDCODEXさんが担当。
『ウルトラシリーズ』の概念を壊した『ULTRAMAN』。
いつもアニソンの概念を壊して新しい道を模索していくOLDCODEXさんが担当するのは非常に素晴らしいキャスティングだなと思いました。
Netflix版の主題歌は、
「Sight Over The Battle」/ OLDCODEX(作詞:YORKE. 作曲:Ta_2 編曲:小山寿)
直訳すると、戦いの光景。
ウルトラマンとして、どう戦っていけばいいのか。
正義とは、自由とは。
と、考えさせられるような歌詞になっています。
救う側にも、救われる側にもある閉塞感のような気持ち。
進次郎くんが戦いの中でずっと迷ってきた、心のもやもやがそのまま歌になったような非常に印象的な楽曲になっています。
OPではなく、主題歌として番組の最後にテロップと共に流れるので、その話数の出来事を振り返りながら色々考えが膨らむ素晴らしい構成です。
テレビ版のOPテーマは、
「Core Fade」/ OLDCODEX(作詞:YORKE. 作曲:Ta_2 編曲:eba)
アニメ『ULTRAMAN』ノンクレジットOP動画公開! OP楽曲「Core Fade」好評発売中!
今までのOLDCODEXさんの楽曲のようなラウド感が薄い、疾走感と言うよりは、一歩一歩歩いて進むような展開を見せるこちらの楽曲。
相変わらずYORKE.さんの歌詞はかなり抽象度が高く、どう解釈するのか少し難しい部分が多いです。
とはいえ、Aメロ・Bメロは進次郎くんのウルトラマンとしての不安や葛藤が感じられるような歌詞になっています。
"目を閉じている"は、「Sight Over The Battle」冒頭の'Close my eyes right now'とつながっているのでしょうか。
サビは決意を固めた、終盤の進次郎くんの気持ちが伝わってきます。
どうしてだろう
不可能とは思えないのは
引用元:「Core Fade」/ OLDCODEX
このフレーズは、正義のヒーロー・『ULTRAMAN』感にあふれててめちゃくちゃかっこいいですね。
どちらの楽曲もOLDCODEXさんにしか作れない『ULTRAMAN』にぴったりな楽曲になっています。
EDテーマは、
「my ID」/ Void_Chords(作詞:Konnie Aoki 作曲:高橋諒)
アニメ『ULTRAMAN』ノンクレジットED動画公開! ED楽曲「my ID」好評発売中!
『ウルトラシリーズ』おなじみの影絵で思わずにっこりしてしまうED映像。
実際に本編で使われているシーンも多くあります。
『ウルトラマン』と『ULTRAMAN』のつながりを示唆する描写もあり、色々と想像や妄想がはかどります。
どの楽曲も『ウルトラシリーズ』のタイトルを歌い上げる固定観念を破壊し、現代のおしゃれでカッコいい、英語もふんだんに使った楽曲になっています。
配信情報
Netflixにて独占配信中です。
宗教上の理由でどうしてもNetflixに入りたくないという人は、Amazonプライム、U-NEXTにて単話ごとの販売ではありますが、配信も行われています。
『ウルトラシリーズ』を昔見ていた方も、そうでない方も楽しめる作品です。