あの”BanG Dream!”発のボーイズバンドプロジェクト。
そんなところまでリアルに描くの!?
という厳しいリアリティと、
それは流石にご都合主義じゃん!
とツッコみながらも泣いてしまうフィクション。
リアルとフィクションが非常に良いバランスで融合した名作、『アルゴナビス from BanG Dream!』について語っていきたいと思います。
『アルゴナビス from BanG Dream!』とは
©ARGONAVIS project. ©bushiroad All Rights Reserved.
アルゴナビス from BanG Dream! ANIMATION PV
あらすじ
北海道、函館。
ヨーロッパと日本文化が融合した、
華やかな建物が並ぶ街――
この街で僕たちは出会い、ぶつかりあい、
そして輝く大ステージへと運命の船を漕ぎ出していく。やがてこの歌が運命だったと気づく。
スタッフ
原作:ブシロード
監督:錦織 博『あずまんが大王』『とある魔術の禁書目録』『されど罪人は竜と踊る』
シリーズ構成・脚本:毛利亘宏『宇宙戦隊キュウレンジャー』
メインキャラクター原案:三好 輝
ストーリー原案:中村 航
音楽:高橋 諒『レガリア The Three Sacred Stars』『ドリフェス!』『citrus』
アニメーション制作:サンジゲン『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』『ID-0』『新サクラ大戦 the Animation』
キャスト
七星 蓮:伊藤昌弘
五稜結人:日向大輔
的場航海:前田誠二
桔梗凛生:森嶋秀太
白石万浬:橋本祥平
旭 那由多:小笠原 仁
里塚賢汰:橋本真一
美園礼音:真野拓実
曙 涼:秋谷啓斗
界川深幸:宮内告典
八甲田健三(マスター):宮内敦士
摩周慎太郎:佐藤拓也
おすすめポイント
元々男性ボーカルが大好きで、PENGUIN RESEARCHさんやSCREEN modeさん、OxTさんなど色々なアーティストのライブに行っていた自分にとっては本当に楽しみな作品でした。
男性アイドルの作品も大好きなんですが、やっぱりバンドとして活動するのとはまたちょっと違ったストーリーが描かれますよね。
男性同士の友情や、バンド活動を熱く描いた本作について以下の3つのポイントから紹介していきたいと思います。
・落ち着きと情熱を兼ね備えた大学生バンドの結成からゴールラインまでの道のり
・技術はここまで進化した!圧巻の3DCGによるマルチアングルライブ
・開幕サビで全部泣く、心に強く突き刺さる楽曲たち
落ち着きと情熱を兼ね備えた大学生バンドの結成からゴールラインまでの道のり
舞台は函館、北海道。
カラオケで『超夢宙閃隊〈スターファイブ〉より愛を込めて』を歌っていた主人公・七星 蓮。
その歌声に聞き惚れ、ギターの五稜結人とベースの的場航海が声をかけるところからこの物語は始まります。
物語の序盤は「Argonavis(アルゴナビス)」結成までのお話。
「神童」と呼ばれ、野球選手としての大成を期待されていたが、怪我でその夢を断念した桔梗凛生をキーボードに。
お金を稼ぐためにバンドに参加したいと言い放ち、最初は合理性しか考えていなかったものの、「Argonavis」の目標に賛同した白石万浬をドラムに。
一人一人、問題を抱えているちょっと癖のあるメンバーですが、無事5人そろって「Argonavis」として出航を果たします。
©ARGONAVIS project. ©bushiroad All Rights Reserved.
「Argonavis」のファーストライブは非常に印象的でした。
結成したばかりのバンドに固定ファンなんているわけもなく、それぞれの友達に声をかけて、チケットを捌いていきます。
交友関係の広い結人は、色々な友達から口約束で、
ライブ行くよ!
の言葉を引き出してはいたものの、チケットのやり取りや料金の支払いは当日でいいと考えていました。
ところが当日、来るはずだった友達から連絡が相次ぎます。
用事入っちゃったからいけないわ!ごめん!
結果、ファーストライブに来てくれた友達はなんと0人。
「Argonavis」は厳しい現実を目の当たりにするのでした。
並大抵の作品なら、お情けで数人ぐらいは来てくれるかと思いますよね。
これがあまりにも強烈なリアリティです。
しかしなんとか敏腕マネージャー、摩周さんの目に止まり「Argonavis」は次のライブの機会を得ます。
敏腕マネージャー、摩周さんは同じく北海道で活動する「GYROAXIA(ジャイロアクシア)」を担当しており、その前座として「Argonavis」の出演を依頼して来たのです。
ところが、「Argonavis」と「GYROAXIA」は非常に複雑な関係にありました。
公式HPのわかりやすい相関図がこちら。
©ARGONAVIS project. ©bushiroad All Rights Reserved.
端的に言うと、ギターの結人は元「GYROAXIA」のメンバーでしたが、ボーカル旭那由多のスパルタで、ワンマンチームな運営方針に耐えかねて脱退しています。
ベースの航海は「GYROAXIA」のメンバーでもある兄の賢汰を嫌っているという状況でした。
それでもお互い良いライバル関係を築いており、
旭那由多のワンマンチームの「GYROAXIA」
↕
メンバー全員の絆を大事にする「Argonavis」
という対比が最後まで見事に描かれました。
「Argonavis」の努力の積み重ね。
一人一人のキャラクターの過去や因縁との決着。
音楽業界の闇。
それぞれ高めあう「Argonavis」と「GYROAXIA」。
幼い日に夢見た大きなステージに立つまでの一歩一歩の道のりをぜひ本編でご覧いただければと思います。
ちなみに、個人的にこの作品の好きなところの一つとして、キャラクターの精神年齢が高いということを推しておきます。
行動に一貫性や合理性が感じられ、悪いと思ったらすぐに謝って非を認められる人たちばかり。
行動に納得できないキャラクターが一切おらず、心が一瞬たりともモヤモヤしないでスムーズにストーリーが展開してくのは見ていてとても気持ち良かったです。
技術はここまで進化した!圧巻の3DCGによるマルチアングルライブ
バンドをテーマとしたアニメ、あるいはアニメの中で描かれるバンドシーンでもっとも重要な課題は演奏中のアニメーション。
作画で描く以上は1カット1カット一定の画角が決まっており、本当のライブのように複数台のカメラで撮影したり、カメラを動かして撮影しているように見せるアニメーションは非常に高度な技術と多大な労力が必要になります。
そのため、一般的な作画のアニメではライブシーン中は顔や手などの部位のアップ、回想、盛り上がる観客など、できるだけ演奏しているところを描かないようにしています。
それを巧みな演出を用いて、うまくライブが盛り上がっているように話を成立させるのがアニメーター、演出家の腕の見せ所でした。
ところが本作『アルゴナビス from BanG Dream!』は、制作会社サンジゲンによる全編フル3DCGアニメーションで作られています。
特に自分が大好きなライブ映像がこちら。
【アニメLIVE映像】AGAIN ―#10「限界突破!」【TVアニメ「アルゴナビス from BanG Dream!」】
発展した3DCG技術のおかげで、回想シーンを挟むどころか現実ではありえないようなカメラのぶん回し方までしています。
しっかりとリズム・メロディに併せてキャラクターが動いており、鳴らすギターやベース、ドラム、キーボードから音が出ているようです。
そしてなんといっても豊かな表情。
振り返って万浬に満面の笑顔を見せる「Argonavis」のメンバーたち。
それを受けて本当に楽しそうにドラムをたたく万浬。
「Argonavis」が5人で1つだと強く実感できる素晴らしいライブでした。
©ARGONAVIS project. ©bushiroad All Rights Reserved.
ライブシーンの中でこんなにもストーリー、結束力の高まりを感じられるのは間違いなくこの3DCGのおかげです。
もちろん、3DCGなら簡単にライブが描けるというわけではなく、スタッフの努力と熱意がこもっているからこその映像です。
画面に飽きがこないようなカメラワークも非常に素晴らしいですね。
逆に第1話のライブシーンでは凄く不慣れな感じを映像で演出していたり、最終回の大舞台は何万年でも見続けていたい圧巻の映像となっていました。
展開に応じて、どんどんと変わっていくライブ映像。
日常描写でも非常にキャッチ―な動きをする時もあり、1秒たりとも目が離せません。
ぜひ、3DCGで生き生きと演奏し動き回るキャラクター達も楽しんでいただければと思います。
開幕サビで全部泣く、心に強く突き刺さる楽曲たち
本当に本当に楽曲がどれも最高だった『アルゴナビス from BanG Dream!』。
紹介したい楽曲はたくさんあるのですが、3曲に絞って自分が感じた良さを伝えていきたいと思います。
まだ『アルゴナビス from BanG Dream!』を見ていなくて、初見で感動を味わいたい方はその感動の機会を奪ってしまいかねないのでご注意ください。
1曲目は、
「星がはじまる」/ Argonavis(作詞:中村航、田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN) 作曲:田淵智也 編曲:渡辺拓也)
【OP映像】TVアニメ「アルゴナビス from BanG Dream!」星がはじまる/Argonavis
『BanG Dream!プロジェクト』において、ガールズバンド・ボーイズバンド問わず、ストーリー原案や作詞を行っているメインライターの中村航先生が作詞されています。
ちなみに選んだ3曲全て中村航先生の作詞曲です。
作曲はアニソンシーンでも、もはやおなじみとなったUNISON SQUARE GARDENの田淵智也さん。編曲はアニソンや声優アーティストに多くの楽曲を提供してきた渡辺拓也さん。
ちなみに選んだ3曲全て渡辺拓也先生の編曲曲です。
バンド名、「Argonavis」はギリシャ神話のアルゴ船をモチーフにした星座、
アルゴ船座(Argo navis)が由来になっています。
イメージとしては"星"と"船"。
この"星"と"船"のイメージにぴったりな歌詞がこの楽曲の最大の魅力です。
小さな星が集まって大きな星座になっていく。
僕たちの船はまだ出航したばかり。
"諦める運命じゃないよね?"
「Argonavis」を結成して間もない序盤の、大きな夢を抱いて、いざ一歩進もうという気持ちがひしひしと伝わってくる素晴らしい歌詞です。
時には、不運な事故だったり、一人一人ではどうしようもないような大きな壁にぶつかることもありました。
それでも、"諦める運命じゃないよね?"と前に進んでいく「Argonavis」の姿に多くの勇気をもらいました。
前向きで疾走感あふれる跳ねるようなメロディは、OPテーマに本当にぴったりです。
青を基調としたOP映像も、「Argonavis」の活動の楽しさが見ているだけで伝わってくる優しい表情が魅力的です。
どのライブ映像でも蓮君が指芸を仕掛けてきますが、特に「星がはじまる」は過剰なまでに指の動きが描かれており、手フェチな人はノックダウン間違いなしです。
2曲目は、
「STARTING OVER feat.旭 那由多 from GYROAXIA」/ Argonavis feat.旭 那由多 from GYROAXIA(作詞:中村航 ASH DA HERO 作曲:ASH DA HERO 編曲:渡辺拓也)
【アニメLIVE映像】STARTING OVER feat.旭 那由多 from GYROAXIA ―#8「共鳴」【TVアニメ「アルゴナビス from BanG Dream!」】
作詞と編曲は前曲同様、中村航先生・渡辺拓也先生。
作曲は自身もロックアーティストとして活躍するASH DA HEROさん。
この曲の魅力は何と言っても「Argonavis」とライバル関係にある「GYROAXIA」のボーカル・旭 那由多とのコラボレーションであるところ。
青春を感じさせるフレッシュなボーカルが魅力の蓮君。
確かな実力に基づいたラップとシャウトをふんだんに使うボーカルが魅力の那由多君。
正反対な歌声の二人が、互いに影響を与え・受けながら歌うライブシーンには鳥肌が止まりませんでした。
ちょうど那由多君が歌うために、「Argonavis」らしくないラップが入っているのもニクい楽曲です。
そしてもっともっとニクい演出が歌詞。
本来、
僕に勝てるのは僕だけ
そして君に勝てるのは君だけ
という歌詞が正しいのですが、後半部分を歌う那由多君が
僕に勝てるのは僕だけ
そして俺に勝てるのは俺だけ
と蓮君とバチバチに向かいながらアレンジしてくるんです。
いや~~~~~~~~~~~本当にかっこいい。
こんなのリアルライブでやられたら気絶してしまいますね。
「Argonavis」を象徴する青のカラーリングと「GYROAXIA」を象徴する赤のカラーリングが混ざるライトもかっこいい。
普段余裕をもって笑顔で演奏する「Argonavis」が汗を浮かべながら超真剣全力モードで演奏する表情も素晴らしい。
文句のつけようがない、最高のライブパフォーマンスでした。
3曲目は、
「ゴールライン」/ Argonavis(作詞:中村航、渡辺拓也 作曲・編曲:渡辺拓也)
【アニメLIVE映像】ゴールライン ―#12「ゴールライン」【TVアニメ「アルゴナビス from BanG Dream!」】
作詞、作曲、編曲は前曲同様、中村航先生・渡辺拓也先生。
なんと選んだ3曲、全て開幕サビ。
やっぱり開幕サビってインパクトが強いんですよね。
最近は聴き放題音楽配信サービスの流行により、誰もが一定金額で音楽を聴ける時代。
イントロ5秒ぐらいで次の曲へ飛ばしてしまうことが多いらしく、イントロを短くしたり、開幕サビの楽曲が増えているそうです。
いつか見た希望には辿り着いたかい?
引用元:「ゴールライン」/ Argonavis
こんなにインパクトの強い出だし、聴いたことがない。
この楽曲は蓮君が過去の自分に対して歌う楽曲です。
子供の頃に見た野外ライブの興奮を忘れられず、いつか大きな舞台に立つことを夢見るも、何も行動してこなかった。
ただ"生きているだけで死んでいるようだった"過去の自分。
そんな蓮君がかけがえのない「Argonavis」のメンバーと出逢い、共に負けないように、諦めないように一歩一歩進んできた。
"答えを探し続けて"辿り着いた"ゴールライン"。
でもまだここはゴールなんかじゃなくて、もっともっと先へ行きたい。
ここがスタートライン。
"今また、始まろう。"
この作品のエモーショナルな部分をこれほどまでかと詰め込んだ、とんでもない歌詞になっています。
最初は観客が1人しかいなかった「Argonavis」のライブ。
こんなに大きな舞台で堂々と歌いながら、"今がゴールじゃない"と歌う「Argonavis」の成長した姿には涙を禁じえません。
他にもたくさんの素晴らしい楽曲が劇中で流れます。
「Argonavis」の成長していく姿をアニメで見て、より楽曲を深く深く味わって、涙が枯れる程泣いてください。
配信情報
U-NEXT、dアニメストアなど各種見放題サービスにて絶賛配信中です。
男女の垣根を越えた本当に素晴らしい作品です。
男性ボーカルものだからと食わず嫌いせずに見ていただけたら幸いです。
おわりに
記事を書きながらボロボロ泣いていたらちょっと文字数が多くなってしまいました。
新型コロナウイルスが収まったら「Argonavis」のライブに行って心ゆくまで泣き散らかそうと思います。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。もし記事が良かったなと思ったらSNSへのシェア、Twitterのフォロー等、ぜひともよろしくお願いいたします。
今後もアニメに関する記事を毎日投稿していきますので、ぜひご覧ください。
また次の記事で!