『勇者特急マイトガイン』。
『勇者シリーズ』第4作目にあたる作品で、テレ玉にて再放送していました。
断片的には知っていつつも、全編を通してみるのはこれが初めて。
今回は、今なお語り継がれる伝説の最終回第47話「嵐を呼ぶ最終回」をフィーチャーし、何がそんなに話題になったのかを紐解いていきたいと思います。
『勇者特急マイトガイン』とは
EP.1 勇者特急マイトガイン/BRAVE EXPRESS MIGHT GAINE【サンライズ公式】
あらすじ
突然の石油枯渇により、電気で走る鉄道が輸送の主役となった未来社会。
海上にそびえる未来都市ヌーベルトキオシティ。繁栄を謳歌するその街に忍び寄る悪から人々の幸せを守るため、敢然と立ち向かう正義のヒーローがいた。
その名は「勇者特急マイトガイン」。
世界の鉄道王としてその名を知られる「旋風寺コンツェルン」の若き総帥「旋風寺舞人」は亡き父の遺志を継ぎ、マイトガインをはじめとする人工知能=超AIを備え、トレイン形態から変形合体するロボットたちによる「勇者特急隊」を結成。悪あるところに颯爽とあらわれ、正義の鉄槌を下すその勇姿はつねに人々の噂のマトとなっていた。
彼は、心強い仲間に支えられ、日夜、正義と平和のために戦っていた。
そんな舞人の前に立ち塞がるのは、マッドサイエンティスト、女盗賊団、忍者軍団、そして宿命のライバル、エースのジョー。さらにその影には、舞人の両親を謀殺した「巨悪」ブラック・ノワールが潜み、世界征服計画「クリスマス・オペレーション」を着々と準備していた。
「勇者シリーズ」第4弾。嵐を呼ぶヒーロー、旋風寺舞人と勇者特急隊の活躍!未来都市ヌーベルトキオシティに正義の勇者旋風が吹き荒れる!
スタッフ
企画:サンライズ
原作:矢立肇
チーフライター:小山高生『ドラゴンボール』『聖闘士星矢』『スレイヤーズ』
脚本協力:ぶらざぁのっぽ
監督:高松信司『機動新世紀ガンダムX』『超速変形ジャイロゼッター』『RobiHachi』
キャラクターデザイン:石田敦子、オグロアキラ
メカデザイン:大河原邦男『科学忍者隊ガッチャマン』『装甲騎兵ボトムズ』『ガンダムビルドダイバーズ』
美術:岡田有章『星界の紋章』『STAR DRIVER 輝きのタクト』『A.I.C.O. Incarnation』
色彩設計:歌川律子
チーフメカ作監:山根理宏『宇宙の騎士テッカマンブレード』『スクライド』『俺、ツインテールになります。』
デザイン協力:デザインメイト、岡田有章(デザインオフィスメカマン)
音響:千葉耕市
撮影:杉山幸夫、森夏子
音楽:工藤隆
音楽プロデューサー:佐々木史郎
オープニングアニメ:大張正己、石田敦子
エンディングアニメ:オグロアキラ
プロデューサー:今井慎(名古屋テレビ)、小原麻美(東急エージェンシー)、古沢文邦、吉井孝幸(サンライズ)
制作:名古屋テレビ、東急エージェンシー、サンライズ
キャスト
旋風寺舞人:檜山修之
マイトガイン:中村大樹
バトルボンバー:巻島直樹
ガードダイバー:置鮎龍太郎
マイトガンナー:鈴木勝美
吉永サリー:矢島晶子
浜田満彦:菊池正美
松原いずみ:天野由梨
青木桂一郎:岸野一彦
エースのジョー:緑川光
ウォルフガング:佐藤正治
カトリーヌ・ビトン:叶木翔子
ホイ・コウ・ロウ:島香裕
ショーグン・ミフネ:梁田清之
エグゼブ:菅原正志
ブラック・ノワール:水原リン
第47話「嵐を呼ぶ最終回」
スタッフ
脚本:小山高生
絵コンテ:握乃手紗貴
演出:南 康宏
作画監督:久行宏和(中村プロ)、石田敦子
ピックアップポイント
オープニングテーマ「嵐の勇者」/ 岡柚瑠
歌うのはこの曲以外ほとんど情報のない、岡柚瑠さん。
作詞は勇者シリーズではお馴染み、「ハッピー・ジャムジャム」でも知られる横山武さん。
作曲・編曲は、『機動武闘伝Gガンダム』の「FLYING IN THE SKY」、AKB48グループにも数々の楽曲を提供している樫原伸彦さんが担当しています。
終始ギターとシンセが気持ち良い、『勇者シリーズ』を代表する1曲。
岡柚瑠さんの良い意味でトゲのあるロックな歌声も素晴らしく、1年の再放送期間中、ついつい高い頻度でこの曲を口ずさんでいました。
過去のシリーズと比較しても主人公の圧倒的なカッコよさが特徴の、この作品にぴったりの主題歌です。
岡柚瑠さんがこの曲以外でほとんど情報がないのはかなり意外でした。
歌詞には、本作らしい正義のヒーローの勧善懲悪のエッセンスがギュギュっと詰め込まれています。
まっすぐで力強い単語の数々に、聴くたび心の炎が燃えるのを感じます。
1990年代前半の大張正己さんと石田敦子さんという「スタジオG-1」のゴールデンコンビがオープニングアニメーションを担当。
新幹線形態からロボットへの美しい流れるような変形や、多くのアニメーターに影響を与えた独特な構図など、アニメーションの面白さが詰まったオープニング映像になっています。
Aメロの音ハメや、サビのギターリフにあわせて、欲しいところに欲しい映像がある気持ち良さは見れば見る程病みつきに。
温故知新、今だからこそみたい、楽曲も映像も素晴らしい、伝説のオープニングです。
嵐を呼ぶ最終回
最終回のサブタイトルは「嵐を呼ぶ最終回」 。
サブタイトルに"最終回"と書くあたり、メタなネタのオンパレードの『勇者特急マイトガイン』らしさが感じられます。
まさか、放送から25年以上たった今も語り継がれる、本当の意味で"嵐を呼ぶ"最終回になるとは思いもしませんでした。
前向きなサリーちゃん
敵の本拠地がヌーベル・トキオシティにあることが判明し、勇者特急隊もグレートマイトガインを残して全滅という大ピンチの状態。
そんな舞人に声をかけるサリーちゃん。
「舞人さん、グレートマイトガインだけになったんじゃなくて、まだグレートマイトガインがいるって考えた方が。」
先代社長が言っていた、いつでもプラス思考の気持ちをサリーちゃんの言葉で思い出し、改めて心に刻みます。
さすが、どんなに不幸な目にあっても色々なアルバイトをし続けてきたサリーちゃんです。
イノセントウェーブ増幅器
最終決戦を目前に、イッヒ、リーベ、ディッヒが持ってきたのはウォルフガングが作ったイノセントウェーブ増幅器。
これを上手く使えば、ブラックノワールの魔のオーラにも対抗できるかもしれない。
あとはイノセントウェーブを強く放つことのできる人を見つけ出すことさえできればという一筋の光明が見えてきました。
舞人とエースのジョーの共闘
最初はライバル関係だった舞人とジョー。
終盤は共通の敵に立ち向かうため共闘することも多くありますが、やはりこうやって二人並ぶ構図は非常に良いですね。
しかも『勇者シリーズ』きっての美形。
お互いの強さを認め合っている不敵な笑みもたまりません。
きっと当時も薄い本がいっぱい出たのでしょう。
グレートマイトガイン vs. インペリアル
エグゼブが搭乗するのは超巨大ロボ・インペリアル。
ラスボスにふさわしい圧倒的な大きさと、細部までこだわられたとにかく強そうなデザインがたまりません。
BL影も良い塩梅で使われており、より迫力マシマシになっています。
グレートマイトガイン・パーフェクトモードのパーフェクトキャノンさえ押し返すその強さはもはや絶望的。
マイトガンナーまでやられ、絶体絶命のピンチです。
「正義が負けることを教えてやろう。」
ジョーの捨て身の突撃
そんな大ピンチを救ったのはジョー。
轟龍と共に、命を投げ出し、エグゼブを討ちます。
ジョーさんイケメンすぎる…。
「だからドリルは取れと言ったのだ…」
轟龍のドリルを取れと設計段階で指示していたというネタを拾ってくる、メタ要素全開の遺言です。
同時に、『機動戦士Ζガンダム』のシロッコが亡くなるシーンのオマージュでもあるというダブルメタ。
この後の展開が伝説として語られがちですが、エグゼブの最期も、その出血量と併せてなかなか衝撃的でした。
ブラックノワールの正体
「私は次元を超えてやってきた三次元人だ。」
「我々はお前たち二次元人を使ってゲームをしていたのさ。」
「お前たちはただのゲームの駒だ。そして旋風寺舞人、お前はヒーローという駒として作られた。」
「ゲームの駒にプレイヤーは倒せやしない、だがプレイヤーがゲームの駒を殺すのは簡単だ。」
「ちょうどハッピーエンドにも飽きてきたところだ、ヒーローが死ぬ悲劇のエンディングはどうだ。」
要するに、今までのお話は全て作り物だったよということですね。
メタネタの究極形態。
これまで多くの子供に夢を与えてきた『勇者シリーズ』らしからぬ、高松監督節全開の展開でした。
イノセントウェーブ増幅器をつけたサリーちゃん登場
イノセントウェーブを強く放つ選ばれし人、それはサリーちゃんでした。
守ってもらうヒロインだったサリーちゃんが、舞人の力になる展開は非常にエモーショナル。
「この私もゲームの駒だったか、巨大な悪という名前の…」
最後までメタメタなセリフを残し、ブラックノワールは正義の前に散ります。
サリー!
最終決戦を終え、駆け寄る二人。
今までずっと「サリーちゃん」と呼んでいた舞人は最後の最後に呼び捨てに。
じれったいほど進展しなかった二人の関係がついに大きく一歩動きます。
出てきた悪役たちが大集合するエピローグ
アジアマフィアのボス、ホイ・コウ・ロウとチンジャ・ルースはラーメン屋台を開業。
「影の軍団」の頭領、ショーグン・ミフネは小沢刑事と追いかけっこ。
「ピンクキャット」のボス、カトリーヌ・ビトンは納豆を見て失神。
ウォルフガングは生きており、3人衆と感動の再会。
今まで出てきた悪役たちのその後をしっかり描く、粋な描写です。
舞人とサリーちゃんの結婚式
二人が16歳と14歳であるということは置いておいて、一気に関係が進展。
美男美女の素晴らしいカップルが誕生しました。
勇者特急マイトガイン37話「胡蝶の夢」、ルンナちゃんが可愛すぎるし30分でめちゃくちゃ感情移入してしまった…これが神回ってやつだなあ…
— りつ@アニメブログ毎日更新中 (@ulotti) August 24, 2020
まさかのルンナちゃん再登場!
経緯は一切不明ですが、とにかくその美しい姿がまたみられて本当に良かった。
きっと制作サイドでも人気なキャラクターだったのでしょう。
命を落としたかと思われたジョーも、完全復活。
ハネムーンに飛び立つ舞人とサリーちゃんをVサインをしながら見送ります。
メタすぎるエンディング
「嵐の勇者」のピアノインストゥルメンタルバージョン、「嵐の勇者〜recollection〜」に合わせてフレームアウトしていくエンディング映像。
結果、ハネムーンに旅立つ二人もセル画の一枚でしかない、全ては作り物なんだよというメッセージが込められています。
さすがにメタすぎるということもあり、後に高松監督も「あれは悪趣味で、やり過ぎだった」と反省しているとか。
その一方で、子供だけでなく大人もアニメを楽しんで欲しいという気持ちが伺える演出でもある、今なお語り継がれる伝説の最終回エンディングです。
おわりに
本当はブラックマイトガイン回や、納豆回、ルンナちゃんの回も記事にしたいと思っていたのですが、録画を消してしまって記事に出来なかったのが非常に心残り。
1話1話個性的で、あっという間の全47話でした。
テレ玉さんには今後も『勇者シリーズ』の再放送を続けて欲しいものです。
まあこの後の枠は『シティーハンター』になってしまったんですけどね。
このエピソードが大好き!
サリーちゃん可愛すぎる!
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今後もアニメに関する記事を毎日投稿していきますので、ぜひご覧ください。
また次の記事で!