赤毛のアン。
TOKYO MXの再放送もついに全50話が終了。
まさかアンがこんなに立派になるなんて、と感動もひとしおです。
今回は主要な登場人物4人についてピックアップし、序盤と終盤でこんなにも変わったんだなあというところをしみじみ語っていきたいと思います。
『赤毛のアン』とは
あらすじ
カナダのプリンスエドワード島のグリーン・ゲイブルズに住むマシュウとマリラの兄妹は、孤児院から働き手の男の子を引き取ろうとしたが、手違いで空想好きな赤毛の女の子アンがやって来た。
始めはアンを孤児院へ戻そうとしたマリラたちだが、アンと話しをするうちに彼女を引き取ることを決める。
グリーン・ゲイブルズでの生活や、親友ダイアナや同級生ギルバートたちと過ごす学校生活の中で、失敗を繰り返しながらもアンは聡明な女性に成長していく。
成長したアンはクィーン学院を優秀な成績で卒業するが、マシュウの突然の死や老いたマリラのために大学進学をあきらめる。
ギルバートの計らいでアヴォンリーの学校教師になったアンは、長年反目しあってきたギルバートととうとう友人となるのだった。
スタッフ
脚本:千葉茂樹、高畑勲、神山征二郎、荒木芳久、磯村愛子、高野丈邦 ほか
音楽:毛利蔵人
場面設定:宮崎駿、櫻井美知代
キャラクターデザイン:近藤喜文『火垂るの墓』『おもひでぽろぽろ』『耳をすませば』
絵コンテ:富野喜幸、奥田誠治、楠葉宏三、斎藤博、横田和善、腰繁男
作画監督:近藤喜文
美術監督:井岡雅宏
撮影監督:黒木敬七
録音監督:浦上靖夫
色彩設定:保田道世、小山明子
プロデューサー:中島順三、遠藤重夫
演出:高畑勲『太陽の王子 ホルスの大冒険』『アルプスの少女ハイジ』『かぐや姫の物語』
キャスト
アン・シャーリー:山田栄子
マシュウ・カスバート:槐柳二
マリラ・カスバート:北原文枝
ダイアナ:高島雅羅
ギルバート:井上和彦
キャラクターごとにフィーチャー
アン・シャーリー
本作の主人公・アン。
グリーン・ゲイブルズに来たばかりの頃は、悲しい時には涙が枯れる程泣き、嬉しい時には駆け回って喜ぶ感受性豊かで、それを表現せずにはいられない女の子でした。
一番最初に名前を聴かれたとき、本当の名前を名乗らずに、素敵だからという理由で、"コーデリア・フィッツジェラルド"という名を名乗ったのは忘れられない出来事の一つです。
一つのことを聞いたら想像の力でそれを十にも百にも広げて、マシンガントークで喋り続けるアン。
他の人の迷惑は置いておくとして、自分が忘れかけている子供ながらの好奇心の強さは、羨ましさすら感じる程でした。
自身の赤毛とソバカスを非常に気にしていたのも非常に印象的。
第30話「虚栄と心痛」にて、大金をはたいて買った毛染め薬で、憧れの黒髪を手に入れられると思ったら、髪の一部が緑色になって外に出られなくなってしまう話は特にアンの感情の起伏が強く表れていました。
ギルバートがアンの赤毛を「にんじん」とバカにしたせいで、ずっとギルバートを許せないでいたエピソードも、アンのコンプレックスの強さを感じさせます。
転機が訪れたのは第37話「十五歳の春」。
段々と成長していったアンは、素敵な考えを心の中にしまっておく、大人な女性に。
ソバカスは消え、赤毛は素敵な個性に、そしてその好奇心の強さから学校でも1,2を争う秀才にまで上り詰め、優秀なクイーン学院に進学します。
さらにはクイーン学院の中でもトップクラスの成績を収め、大学進学のための奨学金も獲得。
子供は数年でこんなにも成長するんだなと、マリラと共に驚かずにはいられません。
詳しい内容はこちらへ。
しかし、大学進学を目前にマシュウが亡くなり、アンは大学よりもマリラと暮らす日々を選択。
アボンリーに暮らすほとんどの人がアンの選択を反対しましたが、アンとマリラはかけがえのない時間を過ごします。
一見夢を諦める終わり方にも感じられますが、大学に行かずともアンは勉強をし、知識を身に着け続ける。
家族の大切さや、ただ自分の夢を追うことだけが幸せではないこと、夢の叶え方は一つではないこと、『赤毛のアン』の最終回には色々なメッセージが詰まっていました。
マシュウ・カスバート
アンの養父のマシュウ。
女性が大の苦手であがり症。
多くを口にはしない人ですが、非常に優しい心根の素晴らしい男性でした。
特にアンの意見は尊重しており、怒るマリラをなだめることもしばしば。
口癖の「そうさのう」は、マシュウの心の広さの象徴ともいえるフレーズです。
元々心臓が良くなかったマシュウですが、全財産を預けていた銀行が倒産したショックのあまり、亡くなってしまいます。
もちろん銀行も突然倒産したわけではなく、アボンリーでも倒産の話は噂になっていました。
マシュウも知り合いに一度相談しますが、相談相手が悪く、特に対策をしなかった結果、こんなことになってしまうとは。
わからないことはちゃんと信頼できる人に相談すること、そして全財産を銀行に預けることのリスクを考えずにはいられないエピソードです。
とにかくマシュウは理想のお父さん。
あがり症なのは問題ですが、自分も子供が出来たら、マシュウの様に接してあげたいですね。
マシュウが素敵だったからこそ、終盤の展開は涙を流さずにはいられません。
マリラ・カスバート
アンの養母のマリラ。
最初は偏屈なおばさんという印象が強めに描かれていましたが、妄想家のアンとリアリストのマリラという対比は非常に面白い構図でした。
アンを養子に迎え入れるなんてとんでもないと言った様子だったものの、手間のかかるアンの世話をしているうち、知らず知らずにアンのことが大好きに。
それでも立派にアンを育てるため、甘やかすようなこともせず、態度を変えない姿は母親の鑑です。
アンが成長した後は、弱気な姿を見せるようにもなり、マシュウが亡くなってからはあんなに強いマリラもこんなに年を取ったんだなあと実感することが多くありました。
アンに本を読んでもらいながら眠りにつくマリラの様子は第1話の時点では想像もできません。
マリラとアンの関係は、実の家族以上のものになったと言っても過言ではないでしょう。
ギルバート・ブライス
アンのクラスメイトのギルバート。
アンの髪の毛の色を「にんじん」とバカにしたことで、アンに石板で頭を殴られ、その後ずっと仲良くなることのなかった天敵ともいえる人物です。
アンがどんなに上機嫌な時でも、ギルバートの話を聴くと一瞬で不機嫌になるほどの嫌われっぷりは、アンの子供っぽさの象徴でもあります。
一度、仲直りしかけるイベントも発生するのですが、結局アンの心は開かれないまま。
世界名作劇場では『わたしのアンネット』を筆頭に、一度崩壊した関係はそう簡単には治らないものなのです。
アボンリーの学校でも、クイーン学院でも、成績はアンと並んでトップクラス。
アンが奨学金を獲得し、ギルバートはメダルを授与されました。
マシュウが亡くなり、アンが大学への進学をあきらめ、先生になる決意をしたとき、アボンリーの先生になる予定だったギルバートはその席をアンに譲ります。
本編ではアンの気持ちしか描かれませんが、きっとギルバートもずっとアンのことを気にかけていたのでしょう。
これをきっかけに二人は和解。
アニメの後の話では二人は結婚しています。
ガキ大将的な存在だったギルバートも、立派にハンサムな一人の男性に成長し、アンと一緒になるなんて…と非常に感慨深い想いです。
成長と家族の物語
『赤毛のアン』は、他の世界名作劇場と比較してもそれほど大きな事件は起きない、日常描写重視のアニメ。
アンの成長を見守る中で家族の絆が深まり、アンは立派な女性に。
1人の女の子の成長と、1つの家族の暖かさが感じられる、素晴らしい全50話でした。
配信情報
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