理由あって、アイドル!
今までの『アイドルマスター』シリーズは、若い女の子たちがアイドルを目指して突き進むキラキラした物語。
そんな中現れた、男性が中心で、しかもみんな様々な前職を持つ大人ばかりというあまりにも異色なこの作品。
そんな強いインパクトと、インパクトだけではない1人1人の物語、アイドルとしての成長が描かれる本作について語っていきたいと思います。
『アイドルマスター SideM』とは
© BNEI/PROJECT SideM
TVアニメ「アイドルマスター SideM」第2弾PV | 10.7(Sat) ON AIR ST@RT!
あらすじ
できたばかりの小さな芸能事務所「315プロダクション」 。
そこにスカウトされて集まってきた男性アイドルたち。
元・弁護士、元・外科医、元・パイロット――
様々な前職を持ち、それぞれの想いを胸に
アイドルに転職した彼らが、トップアイドルを目指し、
夢に向かって紡ぐ新たな物語。
理由あって、アイドル!
スタッフ
原作:バンダイナムコエンターテインメント
監督:原田孝宏・黒木美幸
シリーズ構成:綾奈ゆにこ・菅原雪絵『BanG Dream!』『ひなろじ from Luck&Logic』
キャラクターデザイン:田中裕介・飯塚晴子『妖狐×僕SS』『あんさんぶるスターズ!』
総作画監督:田中裕介・吉川真帆
色彩設計:横田明日香
美術設定:藤井一志
美術監督:薄井久代
3Dディレクター:福田 陽
撮影監督:長瀬由起子
編集:三嶋章紀
音楽:EFFY『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』『無彩限のファントム・ワールド』
音響監督:濱野高年
制作:A-1 Pictures
キャスト
DRAMATIC STARS
天道 輝:仲村宗悟
桜庭 薫:内田雄馬
柏木 翼:八代 拓
Beit
鷹城恭二:梅原裕一郎
ピエール:堀江 瞬
渡辺みのり:高塚智人
S.E.M
硲 道夫:伊東健人
舞田 類:榎木淳弥
山下次郎:中島ヨシキ
High×Joker
伊瀬谷四季:野上 翔
秋山隼人:千葉翔也
若里春名:白井悠介
冬美 旬:永塚拓馬
榊 夏来:渡辺 紘
W
蒼井享介:山谷祥生
蒼井悠介:菊池勇成
Jupiter
天ヶ瀬冬馬:寺島拓篤
伊集院北斗:神原大地
御手洗翔太:松岡禎丞
OTHER
プロデューサー:石川界人
山村 賢:河西健吾
齋藤孝司:立木文彦
おすすめポイント
先日、『アイドルマスター』シリーズ15周年ということで、Youtubeにて「アイドルマスターチャンネル」が開設され、記念の生放送が行われるなど大きな盛り上がりを見せました。
自分もそれに併せて、自分と『アイドルマスター』シリーズの出会いと別れを記事にしました。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
2017年に放送された本作。
『アイドルマスター』、『アイドルマスター シンデレラガールズ』と同様、数多くのアイドルを擁している作品です。
個性豊かな大勢なアイドルたちを全12話でギュッと濃縮した『アイドルマスター SideM』の魅力を以下の3つのポイントから紹介していきます。
・男性アイドルだからこそ、大人の男性だからこそのストーリー構成
・『アイドルマスター』シリーズを繋ぐ「Jupiter」
・『Side M』らしさが詰まった まっすぐ心に響く楽曲たち
男性アイドルだからこそ、大人の男性だからこそのストーリー構成
弁護士の主人公・天道輝は、第1話から酔った勢いでプロデューサーとアイドルになる契約を交わしてしまいます。
今までの『アイドルマスター』シリーズは、売れないアイドルから始まったり、アイドルを夢見る女の子を育て上げていったり、キラキラした希望を胸に持った女の子からお話が始まってきました。
そんな導入有りなのかよ、と第1話から『SideM』らしさを感じさせてくれます。
© BNEI/PROJECT SideM
様々な前職を持つアイドルがあつまる315プロダクション。
先輩ユニットである「Jupiter」のライブをみて1人1人気合が入ります。
第3話では、天道輝、桜庭薫、柏木翼が「DRAMATIC STARS」としてデビューするお話。
営業や取材、日々忙しく過ごす彼らがついに音楽番組の公開収録でデビューをする日がやってきます。
ところが、元パイロットの翼が航空時のトラウマを思い出し、動けなくなってしまいます。
「DRAMATIC STARS」3人の絆で無事に解決するのですが、前職のトラウマという設定は今までの『アイドルマスター』シリーズではなかった内容で、非常に新鮮でした。
© BNEI/PROJECT SideM
元アルバイトが集ったユニット「Beit」
元教師が集ったユニット「S.E.M」
双子の蒼井兄弟のユニット「W」
高校の軽音部が集ったユニット「High×Joker」
共通点があるメンバーが集まりながらも、一人一人の個性は違う。
それぞれの魅力を描いたユニット回はどれも甲乙つけがたい素晴らしいお話ばかりです。
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そして決まる315プロダクションの合同ライブ。
アイドル個人の活動に加えて、合同ライブに向けてのレッスンなどあまりに多忙なスケジュールになるアイドル達。
アイドルのことを考え、無理な仕事を断ろうとするプロデューサーに対し激昂する薫。
姉の命を奪った病を亡くすためのお金を稼ぐことを目指してアイドルになった薫にとっては、仕事を断るなんてもってのほかだったのです。
しかし過労で倒れてしまう薫。
315プロダクションの他のメンバーの手助けもあり、なんとか仕事は無事に回り、事なきを得ます。
大人な男たちならではの落ち着いた考え方や、励ましの言葉。
1人1人がみんなのために出来ることを考えている315プロダクションの尊さを感じる話でもありました。
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そしてこの物語の集大成、合同ライブ。
個性的なユニットたちが眩しい笑顔で披露する楽曲たちには、ユニット回のお話もフラッシュバックしてしまい感情移入しまくり。
自分が参加した「THE IDOLM@STER SideM 1st STAGE 〜ST@RTING!〜」とシンクロするシーンも非常に多く、感動もひとしおでした。
© BNEI/PROJECT SideM
大きなトラブルは薫のお話ぐらいで、前向きで元気がもらえるお話が多かった『アイドルマスター SideM』。
その根本はやはり、精神年齢が高い大人の男性たちが中心のストーリーであるという点が大きかったでしょう。
またプロデューサーの落ち着きっぷりも素晴らしい。
『アイドルマスター』の赤羽根P、『アイドルマスター シンデレラガールズ』の武内Pは未熟なところも多く、アイドルと共にプロデューサー自身も成長していくところも魅力の一つとして描かれました。
本作の石川Pは最初から冷静沈着で、俯瞰して全体を見渡せる素晴らしいプロデューサーだったので、その分一人一人のキャラクターを濃密に描くことが出来たと思います。
女性はもちろん、男性の方も「こんな男性になりたいな」と思えるキャラクターがいると思いますので、まだ見ていない方はぜひご覧ください。
『アイドルマスター』シリーズを繋ぐ「Jupiter」
『アイドルマスター』の765プロダクションのライバル事務所・961プロダクションに所属していた「Jupiter」。
961プロダクションを脱退した後、315プロダクションに入るまでの物語が、
「Episode of Jupiiter」
として描かれました。
「THE IDOLM@STER Prologue SideM -Episode of Jupiter-」PV | 2017.09.30 ON AIR
自分たちだけの力でトップアイドルを目指そうとする「Jupiter」がぶつかる壁、そして315プロダクションとの出会い。
『アイドルマスター SideM』の前日譚として描かれるこの物語がまず最高すぎる。
この物語を前提として、『アイドルマスター SideM』における「Jupiter」立ち位置がに絶妙です。
315プロダクションの中で最も売れている先輩アイドルでありながら、「DRAMATIC STARS」よりは年齢が下。
第1話、第2話では後輩アイドルたちにアイドルの理想像、これからの目標としての存在感を示します。
新人アイドル達が、迷わず自分の個性を十分に生かして活躍できたのは「Jupiter」の影響が大きいでしょう。
人気に驕ったりせず、年上のアイドルには人として敬意を払う「Jupiter」の面々。
時に見守り、時に的確なアドバイスを送る「Jupiter」はまさに理想の先輩アイドルでした。
© BNEI/PROJECT SideM
第9話「Over AGAIN…」では『アイドルマスター』の頃とも、『Episode of Jupiiter』の頃とも違う「Jupiter」が描かれます。
トップアイドルへの道をひた走りながらも常に努力を忘れない姿勢。
お互い離れたところでもお互いを褒め合う信頼関係。
「Jupiter」が目指す場所。
先輩アイドルとして神格化されるわけではなく、今もなお頑張り続ける1組のアイドルユニットとして描かれる「Jupiter」の姿には涙が止まりませんでした。
© BNEI/PROJECT SideM
そして合同ライブ。
765プロダクションが掲げる"みんなで一緒に"と、正反対の立場に立つ者として描かれていた、かつての「Jupiter」。
そんな「Jupiter」が、315プロダクションの"みんなで一緒に"を大切にしたライブをする姿に、彼らの成長を感じることが出来ます。
観客席にはかつて「Jupiter」が泣かせてしまったファンも。
961プロダクションに利用され、だれも信用できなくなってしまった「Jupiter」が、ファンを大切にするために315プロダクションに所属するという選択をしなければ見られなかった景色です。
『アイドルマスター SideM』における「Jupiter」の存在は、我々視聴者にとっても、新人アイドル達にとっても、「Jupiter」ファンにとっても、「Jupiter」自身にとっても非常に大切なものでした。
『Side M』らしさが詰まった まっすぐ心に響く楽曲たち
28曲もの主題歌・挿入歌が流れた本作。
全曲紹介したいですが、流石に無理なのでピックアップした3曲を厳選して紹介しようと思います。
1曲目は第9話EDテーマ、
「Over AGAIN」/ Jupiter(作詞:真崎エリカ 作曲・編曲:山田竜平)
THE IDOLM@STER SideM ANIMATION PROJECT 05 試聴動画
作詞は「BRAND NEW FIELD」、「Planet scape」など他のJupiterの楽曲の作詞も手掛ける真崎エリカさん。
作曲・編曲はhalcaさんの「センチメンタルクライシス」や、水樹奈々さんの「HOT BLOOD」などアニソンシーンに確かな存在感を示している山田竜平さんが担当しています。
「Over AGAIN」の意味は、"もう一度"。
961プロダクションから脱退し、事務所に所属しない形を選択したJupiter。
そんなJupiterが315プロダクションに所属し、もう一度0からやり直そう。
そんな誓いの歌にも聞こえるミドルテンポのバラードです。
社長の目論見に利用され、偽りのトップアイドルだった961プロダクション時代。
雑用もスタッフと一緒にこなし、忙しいながらも充実した日々を送っていた無所属時代。
ファンに悲しい想いをさせてしまい、Jupiterの本当の目標を改めて考える転換期時代。
事務所の一員として、仲間と切磋琢磨しトップアイドルを目指していく315プロダクション時代。
そのすべての時代を知った状態でこの曲を聴くと色々な思いがこみ上げてきます。
「BRAND NEW FIELD」、「Planet scape」を思い起こさせるような歌詞もあり、未来につながる楽曲でもあります。
Jupiter・木星のように、いつまでも光り輝く大きな星であって欲しいです。
2曲目は、第1話及び第13話EDテーマ、
「DRIVE A LIVE」/ 315 STARS(作詞・作曲:BNSI(柿埜嘉奈子) 編曲:滝澤俊輔)
作詞・作曲は多くのナムコ関連の楽曲を手掛けてきた柿埜嘉奈子さん。
編曲は『普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。』の、「流川ガールズソング」や、「魚心くんソング」を手掛けた滝澤俊輔さんが担当しています。
ソーシャルゲーム『アイドルマスター SideM』のテーマ曲でもある「DRIVE A LIVE」はまさにこの作品を象徴する楽曲です。
第1話でも第13話でも流れた時はとても嬉しい気持ちになりましたね。
「DRIVE A LIVE」がアニメ『アイドルマスター SideM』に寄り添っているというよりも、アニメ『アイドルマスター SideM』が「DRIVE A LIVE」をイメージしたつくりになっていると思います。
"ずっとずっとその先へ 世界は動き出す"
印象的で頭から離れないこのフレーズがこの楽曲の全てです。
「THE IDOLM@STER SideM 1st STAGE 〜ST@RTING!〜」、通称ファスライで「DRIVE A LIVE」を聴いた時も、
第1話で「DRIVE A LIVE」を聴いた時も、
第13話で「DRIVE A LIVE」を聴いた時も、
ここから『アイドルマスター SideM』の世界はどんどん広がっていくんだな、と感じさせてくれました。
『アイドルマスター』の「THE IDOLM@STER」。
『アイドルマスター シンデレラガールズ』の「お願い!シンデレラ」。
『アイドルマスター SideM』の「DRIVE A LIVE」。
そのコンテンツを象徴する、まさに"テーマ曲"として『アイドルマスター』シリーズに眩しく輝く星のような楽曲です。
3曲目はOPテーマ、
「Reason!!」/ 315 STARS(作詞:松井洋平 作曲・編曲:EFFY)
TVアニメ『アイドルマスター SideM』オープニング映像 ♫315 STARS「Reason!!」
作詞は数えきれないほどのアニソンに言葉を紡いできた松井洋平さん。
作曲・編曲は「STARLIGHT CELEBRATE!」、「Beyond The Dream」や本作のBGMも担当しているEFFYさん。
「理由あって、〇〇!」というキーワードを多用するこのコンテンツにぴったりなタイトルの「Reason!!」。
各ユニットを紹介するような映像と歌い分け、笑顔で踊る作画が眩しい素晴らしいOP映像です。
そして歌詞がエモちらかしています。
理由を持ってる仲間とココに!
星の様にそれぞれの色でいい
過去が未来を輝かせてく
引用元:「Reason!!」/ 315 STARS
こんなにも『アイドルマスター SideM』で描きたい内容が集約された歌詞。
他の『アイドルマスター』シリーズにはない、『アイドルマスター SideM』ならではの特徴が1番の歌詞にこれほどまでに詰め込まれているのはとんでもありません。
特に"過去が未来を輝かせてく"の部分。
翼のように、過去の職業にトラウマを抱えているアイドルもいる中、
それでもここまで歩んできた道のりが未来を輝かせてくれる。
テーマにもぴったりで、前向きな気持ちを歌ってくれる歌詞には元気をたくさんもらえます。
自分も315プロダクションで、プロデュースがしたい。
そう思わせてくれる力がこの曲にはあります。
ユニット曲も、それぞれのキャラクターに寄り添った素晴らしい楽曲ばかりです。
流れる1曲1曲のメロディ、歌詞、映像を味わいながら本作を楽しんでください。
おわりに
4日連続で書いてきた『アイドルマスター』シリーズの記事もここでひとまず一段落。
『アイドルマスター』シリーズ15周年、本当におめでとうございます。
記事にすることで、改めて『アイドルマスター』シリーズのことをもっと大好きになれました。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。もし記事が良かったなと思ったらSNSへのシェア、Twitterのフォロー等、ぜひともよろしくお願いいたします。
今後もアニメに関する記事を毎日投稿していきますので、ぜひご覧ください。
また次の記事で!