チーズ牛丼。
2020年に爆発的に流行したスラング・ネットミームです。
「すき家で三種のチーズ牛丼を頼んでそうな顔」といういわゆるオタク顔を揶揄したり、自虐したりするワードで最近はさらに略され"チー牛"とも呼ばれています。
今回は具体的な商品名が含まれ、かつマイナスな意味で使われるスラング・ネットミームについて改めて分析したいと思います。
セガ取締役「チー牛」発言炎上事件とは
2020年7月28日、セガ公式Youtubeチャンネルで配信された、「セガなま ~セガゲームクリエイター名越稔洋の生でカンパイ~」という番組で事件は起きました。
同番組内で、「ぷよぷよ」のセガ公式プロ大会の決勝戦の模様を紹介。
その中で、CCOの名越稔洋さんが、「ぷよぷよ」プレイヤーに対し、
「チーズ牛丼食ってそうな感じ」
と発言し、炎上。
同生放送は低評価の嵐。
この記事を書いている現在は215高評価に対し4528低評価。
概要欄には以下の反省文の記載があります。
7月28日放送回の中で一部の方がご不快に感じる表現がございましたので、該当部分を修正し配信いたします。ご不快な思いさせてしまいましたことをお詫び申し上げます。
これを受け、TwitterをはじめとするSNSやYoutubeのコメント欄では、
・元々「チーズ牛丼」というネットスラングが嫌いだった。
・「チーズ牛丼」の印象が悪くなって、頼みづらくなった。売上も落ちてるはず。
・「チーズ牛丼」とは関係なく、大の大人が自社のゲームをプレイしてくれている高校生の外見を揶揄するのが人として恥ずかしい。
・概要欄に記載するだけじゃなく、本人が動画で顔出しして謝罪してほしい。
・チーズ牛丼めっちゃおいしいよね。
・松屋にしか行かない。
など、様々な意見が散見されました。
個人的な意見
チーズ牛丼の特盛を食している pic.twitter.com/zY38szpS0w
— りつ@ブログ毎日更新中 (@ulotti) June 20, 2020
ネットスラングは難しいなあ。
というのが意見です。
生放送の前後を見たところ、名越さんも外見を揶揄する目的で使用したわけではないだろうし、これを言ったら笑いがとれるかな、と気を使って発言したのかなという気もします。
周りにネットリテラシーが高い、インターネット老人みたいな人がいっぱいいれば、「チーズ牛丼」という単語があくまで自虐用の単語であって、他人に対して使っていいものではないという認識があるかと思います。
とはいえ、幅広い年齢の幅広い層がインターネットで情報を得ている現在、全人類にその共通認識を持ってもらうというのは不可能なことでしょう。
もしかしたらこの認識をしている人の方が少数で、そこら辺の学校では「チー牛、チー牛」といじめが発生しているなんてこともあるかも知れません。
ネットスラングの意味合いや流行り廃りは流動的なもの。
定義もあやふやで、絶妙なバランス感覚の中で成り立っています。
公共の場では「チーズ牛丼」も含め、ネットスラングは発言しないよう気を付けた方がいいかなとは思いますね。
「チーズ牛丼」のせいで「とろ〜り3種のチーズ牛丼」の売り上げは落ちているのか
個人的に気になったので少し調べてみました。
決算短信 | 財務・業績 | IR情報 | ゼンショーホールディングス
2020年3月期の決算短信においては、外食事業セグメント・牛丼カテゴリーの売上高は2,197億60百万円。
前年同期比2.5%増となっています。
この数値が「チーズ牛丼」と因果関係があるのかについては記載がありません(それはそう)。
印象が悪くなって頼みづらくなったのではないかと言う推測が多く見られますが、これをきっかけに「とろ〜り3種のチーズ牛丼」を知って注文して見ようと思った人も多いと思います。
ここまで大きな市場規模になると、こんな些細な事ではさほど変わりはないでしょう。
本当にどうでもいいですが、自分はすき家で注文するとしたら「とりそぼろ丼」一択です。
一食当たりタンパク質が31g、脂質が1.9g、価格が350円。
他のメニューと比較して、圧倒的に筋肉にも財布にも嬉しい数値。
大手外食チェーン店の中でもかなり優れた数値なので、外食しないといけない時はすき家で「とりそぼろ丼」を注文しましょう。
「チーズ牛丼」の代わりに何と言えばよかったのか選手権
インターネットの世界には具体的な商品名を伴う蔑称やネットスラングがいくつかあります。
この前友人と話していて「ハイエース」の話題になったのですが、友人は「ハイエース」を知りませんでした。
知らない人のために一応説明しておきます。
「ハイエース」とはトヨタから発売しているワンボックスカーの名称です。
アニメやドラマ、映画などのフィクションで誘拐や拉致に使われることが多いことから、誘拐や拉致することそのものを「ハイエースする」と呼ぶようになり、現在では「ハイエース」=誘拐・拉致といった認識が広まっています。
アニメ実況をしていても誘拐・拉致のシーンでは「ハイエース」の単語が並びますし、中々ひどい風評被害だなあと思いますね。
ということで、一部界隈では当然のように使われていて共通認識のある蔑称を紹介しつつ、公共の場で発言していいギリギリのラインを模索していきたいと思います。
そもそも人の容姿についてマイナスな形容をすること自体が推奨される行為ではありませんが、笑って許せるかなと言うラインを見つけていきます。
もしこの中に知らない単語があったり、日常的に口に出してしまっているネットスラングがあったら、本当に口に出していい単語なのか改めて考えてもらえればと思います。
もちろん、これは個人の見解で自分が認識している内容と違う!というところがあったら、僕の勉強にもなりますのでコメントなので教えてくれると嬉しいです。
ピザ
起源
太古の昔からあるネットスラング、ピザ。
太っている人がピザを食べていることが多いことから、
「ピザでも食ってろデブ。」
ここから派生し、
「デブでも食ってろピザ。」
「ピザ」
と、「ピザ」という単語そのものが太っている人を指す蔑称として機能しています。
共通認識
かなり強いニュアンスで使われる単語であり、「デブ」という単語とほぼ同じくらい相手を傷つけてしまうでしょう。
太古からあるワードなので今ではあまり使われていないかもしれません。
使用の可否
もし仮に該当の「ぷよぷよ」プレイヤーが太っていたとして、「ピザ」と呼んだら間違いなく炎上するでしょう。
「デブ」も「ピザ」も他人に使うのはやめましょう。
あくまで自虐用に。
アディダスの財布・プーマの筆箱・ドラゴンの裁縫セット
出典元:Amazon「adidas アディダス マジックテープ財布 ネイビー」
起源
小学生や中学生の頃、マジックテープで開閉するタイプの財布使ってましたよね。
オタクはその頃から財布を買い替えず、大人になってもベリベリとマジックテープを開けてお金を取り出していそう。
という、オタクのファッション意識の低さを揶揄、自虐するところから、
「アディダスの財布使ってそう」
↓
「アディダスの財布」
と派生していきました。
アディダスというメーカーを指定しているのはなんとなくのイメージですね。
共通認識
ほとんどの人が子供の頃にマジックテープの財布を使うということを経験しているので共感度合いは高いものの、そこまで多くの人に認識されておらず、伝わらないことが多いかと思います。
"陰キャ"や"オタク"というよりも、"子供っぽい"という認識を持つ方が多いのではないでしょうか。
使用の可否
この単語は流石に炎上しないと思います。
一方で伝わらない人には伝わらないこともあり、ウケるかと言われるとウケない、
絶妙なバランスの単語になっています。
ほぼ同じ起源で、同じニュアンスで受け取られ、使われるのが、
「プーマの筆箱」、「ドラゴンの裁縫セット」。
「ドラゴンの裁縫セット」に関してはもはや懐かしくてニヤニヤ笑ってしまうノスタルジックな単語です。
時と場所に応じて使えば他人を傷つけず、笑いを取りながら、その人の雰囲気を形容することが出来る可能性を秘めたワードになっています。
瞬足・コーナーで差を付けろ
出典元:アキレスシューズコム 瞬足
起源
2003年から発売されたアキレスの「瞬足」シリーズ。
左右非対称なソールを採用することで、歩きやすい・走りやすいシューズを実現した画期的なシリーズです。
当時のキャッチコピーは、「コーナーで差を付けろ」。
前の項と同じく小学生・中学生の頃から履いていた靴を使い続ける、オタクのファッション意識の低さを揶揄、自虐するところから、
「瞬足履いてそう」
↓
「瞬足」「コーナーで差を付けろ」
と派生してきました。
共通認識
アディダスの財布たちよりも、ネタ度が増した例えです。
同年代の人たちにはほぼほぼ瞬足と言うだけで伝わるし、当時の流行ぶりが伺えますね。
今度クランの若い子にも通じるか聞いてみようと思います。
どうしてアディダスの財布たちと別の項にしたかと言うと、言いたいことがあるからです。
昔はオタクが履いている靴と言えば、「ダンロップの靴」じゃなかったですか?
自分は実は「瞬足」を履いたことがなくて、高校生ぐらいまで「ダンロップの靴」を履いていました。
「ダンロップの靴」時代の方が、個人的には共感度合いが高くて、好きだったのですがいつのまにか「瞬足」がオタクが履きがちな靴の覇権を握っていました。
ネットスラングの流行り廃りを感じられる一例です。
使用の可否
オタクっぽい人への印象を聴かれて、「瞬足」「コーナーで差を付けろ」と答えて炎上するような世界になってしまったら、もうその世界に表現の自由はないでしょう。
ちなみに、ほぼ同じニュアンスで、
「親が買ってきたチェックシャツ」
という単語もあります。
自分は高校が男子校だったんですが、本当にチェックシャツの人が多くて、
なんでみんなチェックのシャツ着てるのwww
と、ダンロップの靴を履きながら馬鹿にしていたのを覚えています。
言いたかったこと
後半の方のネットスラングは、文字列としても面白い、ネタ要素が強いものです。
読んだ方もさすがにこれじゃ炎上しないだろうなと思ったのではないでしょうか。
しかしながら、
「チーズ牛丼」と、「コーナーで差を付けろ」はほぼ同じものを形容する単語なのです。
こんなどうでもいいことで炎上するの、さすがにアホらしくないですか?
もちろん、世の中には言っていいことといけないことがあるとは思いますが、今回の件は目くじら立てて怒るほどのことではないでしょう。
とはいえ、問題発言を叩くのが大好きな最近のインターネット世界。
言葉のニュアンスが曖昧で人を傷つける可能性がある単語は選ばないように、発信する側の人間は気を付ける必要がありますね。
おわりに
常に変化し続けるネットスラング、怖いところもありますが面白くて研究のし甲斐があります。
最近はスマホ、SNSの普及でオタクが言い出した単語を女子高生が日常的に使っていることもあったり、声優やアーティストが使っていることもあったり、今までではあり得なかった速度で言葉が波及していきます。
今後もネットスラングの動向に注目して、面白いと思ったトピックがあったらちょくちょく記事にしようかなと思います。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。もし記事が良かったなと思ったらSNSへのシェア、Twitterのフォロー等、ぜひともよろしくお願いいたします。
今後もアニメに関する記事を毎日投稿していきますので、ぜひご覧ください。
また次の記事で!