"輝きの向こう側"。
テレビアニメ『アイドルマスター』の放送終了から3年後、その続きのお話である本作が公開されました。
着実にトップアイドルへの道を進んでいく765プロのメンバーをサポートするメンバーとして参加するミリオンライブの後輩たち。
そんな後輩たちの苦難と成長を通して、765プロのさらなる成長も描く本作。
たった8回しか見ていない身ではありますが、その魅力をお伝えできればなと思います。
『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』とは
©BNEI/PROJECT iM@S
映画『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』PV
スタッフ
原作:バンダイナムコエンターテインメント
監督・キャラクターデザイン・総作画監督:錦織敦史『ダーリン・イン・ザ・フランキス』
脚本:錦織敦史・髙橋龍也
シリーズ演出:高雄統子『アイドルマスター シンデレラガールズ』
作画監督:田中裕介・山口 智・髙田晃・奥田佳子
美術監督:薄井久代
美術設定:植村 淳
デザインワークス:道下康太・田中裕介・山口 智・山田将三・鈴木 大
色彩設計:中島和子
撮影監督:田村 仁・加藤伸也
編集:三嶋章紀
音響監督:菊田浩巳
音楽:高田龍一(MONACA)『電波教師』
音楽プロデューサー:中川浩二(BNSI)
制作:A-1 Pictures
配給:アニプレックス
キャスト
天海春香:中村繪里子
星井美希:長谷川明子
如月千早:今井麻美
高槻やよい:仁後真耶子
萩原雪歩:浅倉杏美
菊地 真:平田宏美
双海亜美・双海真美:下田麻美
水瀬伊織:釘宮理恵
三浦あずさ:たかはし智秋
四条貴音:原 由実
我那覇 響:沼倉愛美
秋月律子:若林直美
音無小鳥:滝田樹里
プロデューサー:赤羽根健治
社長:大塚芳忠
おすすめポイント
先日、『アイドルマスター』シリーズ15周年ということで、Youtubeにて「アイドルマスターチャンネル」が開設され、記念の生放送が行われるなど大きな盛り上がりを見せました。
自分もそれに併せて、自分と『アイドルマスター』シリーズの出会いと別れを記事にしました。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
昨日はテレビアニメ『アイドルマスター』についてまとめましたが、今回は劇場版『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』について。
テレビシリーズを見ている前提で話しますので、併せてこちらの記事もご参照ください。
映画館に8週間連続で通い、毎回ボロボロに泣きまくった本作を以下の3つのポイントから語っていきたいと思います。
・待望したテレビシリーズの続き、後輩を通して描かれるリーダーとしての春香
・アリーナライブの広大さが伝わる約6分間にわたるライブシーンの作画
・劇場版のために書き下ろされ、伝説になった名曲たち
待望したテレビシリーズの続き、後輩を通して描かれるリーダーとしての春香
アニメ最終回のニューイヤーライブから時が流れ、765プロのアイドル1人1人が売れっ子アイドルとして活躍を見せていました。
そんな中、765プロは新たな試みとして史上最大規模のアリーナライブを企画。
久々に全員集合した12人の楽しげな合宿の様子に思わず笑みがこぼれてしまいます。
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広いアリーナをしっかりと使い切るため、さらに新たな試みでバックダンサーとしてアイドルスクールに通う、可奈、志保、奈緒、星梨花、杏奈、美奈子、百合子の7人のアイドルの卵を迎え入れることになります。
765プロの高すぎるライブパフォーマンスに最初は圧倒された7人ですが、765プロメンバーの支えもまり、なんとか合宿を乗り切ります。
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ところが、ステージに慣れるため、7人は765プロのミニライブに参加するも、可奈と星梨花が接触事故で転倒してしまいます。
そのことがゴシップ誌に取り上げられ、大きなプレッシャーを感じてしまう可奈。
次第に練習を無断欠席するようになってしまいます。
他のメンバーもダンスが上手くいかず、遅くまでの練習。
このままアリーナライブは失敗してしまうんじゃないかと7人全員が不安に思っていました。
そんな不安そうなメンバーに声をかける765プロのアイドル達。
個人的に一番グっと来たのが、雪歩からのアドバイス。
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自分が成長できたのは、一緒に頑張れる仲間がいたからなんだ。
今は一人一人がどうしたいか考えて欲しい。
765プロの中ではちょっとのんびりしていて、ダンスが苦手だった雪歩からの発言だからこそ刺さるアドバイスです。
そして、無断欠席をするようになってしまった可奈と話し合う春香。
アイドルを続けたい気持ちはあるけれど、周りにこれ以上迷惑をかけられない。
可奈は、周りのためにアイドルを諦めると春香に告げます。
そんな可奈に春香はこう答えます。
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「あきらめたくないんだよね?」
「どうしたいか、だけでいいんだよ。」
リーダーである前に、天海春香として。
"ライブの確実な成功"よりも、"みんなで一緒にライブをすること"を選択した春香。
「今」を大切にして、やりたいことをやる春香に背中を押され可奈はバックダンサーに復帰。
765プロとバックダンサー、想いを1つに臨んだステージは大成功で幕を下ろしました。
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テレビシリーズ終盤の展開とも非常にリンクした内容が多かった本作。
憧れの対象で、先輩で、リーダーとなった春香が過去の自分と同じような悩みを抱える可奈とどう向き合ったのか。
そんな春香の様子を気にしつつも、信頼を置いている765プロのメンバーがどんな立ち回りを見せたのか。
見れば見るほど見所が増えていく、何度も何度も見返したくなる作品です。
アリーナライブの広大さが伝わる約6分間にわたるライブシーンの作画
アリーナライブに向けての合宿。
アリーナライブに向けてのバックダンサー。
アリーナライブに向けての会議。
本作は基本的にこのアリーナライブを中心に話が展開されます。
どんなにライブへ至る過程が良かったとしても、アリーナライブ自体の作画や演出が悪ければ全て台無し。
初めて見た時は、不安には思わなかったもののライブステージへのハードルの高さをビンビン感じました。
でも、そんなハードルも何のその。
とんでもない作画+とんでもない長尺の、劇場版でしか見られないであろう素晴らしいライブシーンでした。
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テレビシリーズと大きな差があるのが作画と3DCGの融合。
基本的に近・中距離は作画で描かれており、アリーナ全体の広さが伝わるような遠距離の描写の時、3DCGを利用しています。
3DCGと作画が切り替わる際に違和感がないように、コマ抜き・コマ落としと言われる技術が使われています。
それ以外にも切り替わる際に、一旦サイリウムを振っている手をアップにするなど、非常に細かいところまで気を付けられた映像は、初見では3DCGと気付かないレベルです。
この作画と3DCGの融合のおかげで、ステージ上で踊る19人の個性をしっかりと残しながら描き切ることが出来ています。
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そして恐ろしいところが、みんながしっかりとステップを踏み続けているということ。
確かにライブ中のアイドルは、バラードでない限り常にステップを踏み続け、その場にとどまって歌うことはないと思います。
かといってまさか作画のアニメーションでそれを再現するとは。
一歩一歩違うステップに揺れ動く髪や服、ステップに併せてカメラが動くような表現、どれをとってもとんでもない労力です。
映画序盤でプチシュークリームを拾う可奈がぬるぬる動くシーンがありますが、そのロトスコープを使った作画もこのライブシーンへの布石。
ステップがしっかり描かれたからこそ、よりリアルで楽しそうなライブシーンとして我々の脳裏に刻まれています。
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そして素晴らしいのがライブ構成。
いかにアリーナを広く使って観客を楽しませるか考えられたステージングには驚きの連続です。
劇中のアリーナライブに向けての会議の中に出てきた演出が実際にライブに使われているシーンもあります。
歌の中で小さいグループごとに歌うシーンもあるのですが、美希、伊織、亜美、あずささんの竜宮小町+美希の構成にはテレビシリーズを見た人なら思わずニヤッとしてしまうこと間違いなし。
所狭しとカメラが回るような構図の作画に、しっかりと1人1人違うアピールをしてくるキャラクターの個性もたまりません。
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心の底から楽しそうにライブをするアイドル達、息の合った観客たちのクラップ、アリーナの広さが伝わってくる作画と3DCGの融合。
劇場版を締めくくるのにふさわしい最高のライブです。
劇場版のために書き下ろされ、伝説になった名曲たち
劇場版のために書き下ろされた3曲の楽曲。
どれも『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』にぴったりな素晴らしい楽曲です。
1曲目は、
「ラムネ色 青春」/ 765PRO ALLSTARS(作詞:NBGI(モモキエイジ) 作曲・編曲:田中秀和(MONACA))
【アイドルマスター】「ラムネ色 青春」歌:765PRO ALLSTARS
作詞は「Thank You!」でも歌詞を書かれたモモキエイジさん。
作曲・編曲は田中秀和さん。
「神SUMMER!!」や「自分REST@RT」など、聴いているだけで元気がもらえるアップチューンはみなさんの心の中にも強く刻まれていると思います。
劇場版で初見で聴いた時もこれ田中秀和さんだな~と気付いた人も多いのではないでしょうか。
「ラムネ色 青春」というタイトルにぴったりな、夏を感じさせる非常に前向きな楽曲です。
劇中で挿入歌として流れるシーンでは765プロの楽しい合宿の日々がダイジェストで描かれます。
川で遊んだり、楽しくお泊りしたり、海で遊んだり、お風呂に入ったり。
テレビアニメ『アイドルマスター』第5話「みんなとすごす夏休み」を思い起こさせるような、
それでいてあのころとは確かに違う1人1人の成長が感じられる映像に、頷く首が止まりません。
映画を全編見終わってから改めてこの曲を聴くと、この映画の答え、765プロの答えはもうこの歌でしっかりと表現されていたんだなと気が付きます。
1人1人のゆずれない想いを大切に、1人じゃなくみんなで。
青空の下で始まり、夕暮れ空の下で終わる。
みんなで過ごす時間のあっという間さと、濃密さが感じられる映画を彩る素晴らしい1曲です。
2曲目は、
「虹色ミラクル」/ 765PRO ALLSTARS(作詞:森由里子 作曲:NBSI(中川浩二) 編曲:NBSI(kyo))
作詞は『ドラゴンボール』の「魔訶不思議アドベンチャー!」、
『ゼロの使い魔』シリーズの「ホントノキモチ」、「I SAY YES」などアニソン界を代表する作詞家の森由里子さん。
作曲は「relations」や「First Step」などでおなじみ中川浩二さん。
編曲は「ミツボシ☆☆★」、「できたてEvo! Revo! Generation!」など、この劇場版の後にさらなる活躍を見せるkyoさんが担当しています。
本当に素晴らしい楽曲なのですが、映画初見で楽曲に浸ることはほぼ不可能。
何故なら、エンディングテロップと一緒に流れる映像に仕掛けが多すぎるからです。
エピローグとして劇場版のその後のお話が描かれるだけでなく、
あのプロダクションのポスターがあったり、
あのアイドルの姿が見られたり。
『アイドルマスター』シリーズが大好きなファンにはたまらない映像になっています。
この楽曲でいうところの"虹色"は、それぞれのアイドルの個性であり、観客席の数えきれないライトを指しています。
1人1人の強い個性が集まって虹色に輝く765プロ、それを応援するプロデューサーの虹色のライト。
この2つが1つになったとき、"虹色ミラクル"・輝きの向こう側が見えてくるのです。
"右手に憧れを" "左に情熱を"
というフレーズも非常に印象的で、ライブで披露されると思わず演者に合わせて右手と左手を掲げてしまいますね。
ああ伝えよう たくさんのキミに
Thank you!
数えきれないライトは
ああ励ましのエールの虹さ
ありがとう!大好きさ!
もう ずう~っと!!
引用元:「虹色ミラクル」/ 765PRO ALLSTARS
ここは何回聴いても泣きながら、こちらこそありがとう…という気持ちを抑えずにはいられません。
劇場版の内容を総括しながら、これからの765プロの活躍にも期待してしまう映画を締めるのにふさわしいEDテーマです。
3曲目は、
「M@STERPIECE」/ 天海春香、星井美希、如月千早、高槻やよい、萩原雪歩、菊地真、双海亜美 / 真美、水瀬伊織、三浦あずさ、四条貴音、我那覇響(作詞:yura 作曲:神前暁(MONACA) 編曲:神前暁、高田龍一(MONACA))
作詞は「READY!!」、「CHANGE!!!!」を筆頭に『アイドルマスター』シリーズの大切な楽曲を書き続けてきたyuraさん。
作曲は『らき☆すた』、『化物語』を筆頭に『アイドルマスター』シリーズでも多くの楽曲を手掛ける、日本トップクラスのアニソン作曲家、神前暁さん。
編曲には劇伴も担当している高田龍一さんが合わせて参加されています。
「GO MY WAY!!」、「キラメキラリ」、「READY!!」などなど最高の楽曲を作り上げてきた2人だからこその『アイドルマスター』の集大成ともいえるこの楽曲が生まれました。
映像の素晴らしさについては上の項目で記載したので割愛。
どこから語るかが悩ましいですがやはり楽曲タイトルの由来でしょうか。
2005年9月28日から発売された、最も古い『アイドルマスター』のCD、
それが「THE IDOLM@STER MASTERPIECE」シリーズ。
まさに原点ともいうべき最初のシリーズをアリーナで歌う大切な曲のタイトルにする素晴らしい采配です。
劇場版の内容に最も寄り添った歌詞だなと自分が感じたのは2番サビ。
明日は追いかけてくモノじゃなく
今へと変えてくモノ
それが自分になる
私がM@STERPIECE
引用元: 「M@STERPIECE」/ 天海春香、星井美希、如月千早、高槻やよい、萩原雪歩、菊地真、双海亜美 / 真美、水瀬伊織、三浦あずさ、四条貴音、我那覇響
「未来は"今"の延長だ。だからこそ"今"を大切に、悔いのないように。」
劇中でプロデューサーが春香に告げた言葉。
この言葉に気付きを得た春香は、天海春香として"今"を大切にするように行動するのです。
こんな素敵なやり取りがあったからこそ迎えられたアリーナライブ。
今でもこの歌詞を聴くと熱いものがこみ上げてきます。
そして、『アイドルマスター』というコンテンツが大きくなっていくにつれ、より思い入れが強くなるフレーズがやはりサビ頭。
夢を初めて願って
今日までどの位経っただろう
10thライブこと「THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!! 2015」で初めてのドーム公演を迎えたあの日。
あの時の「M@STERPIECE」から感じた、10年と言う長い歴史があったからこその果てしない達成感。
夢を諦めずに走り続けてきた765プロのメンバーだからこそ歌える、感慨深い歌詞です。
M@STERPIECE、傑作というタイトルに納得しかありません。
どの楽曲もこの曲じゃなかったら劇場版がこんなにも素晴らしい作品にはならなかっただろうと思える、唯一無二の伝説となった楽曲たちです。
配信情報
まさかまさかのアイドルマスターチャンネル開設記念でYoutubeにて8月19日よりプレミア公開。
この機会に見たことがない方も、親の顔より見ている方もぜひご覧ください。
【アニメ】劇場版アニメ「THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!」【アイドルマスター】
おわりに
改めて本当に素晴らしい映画だなと、アイドルマスター15周年記念生放送を見ながら、この記事を書きながら感じました。
こんな記事に書かれている内容よりも映画本編にはもっともっと膨大な情報、膨大な思いが込められています。
ぜひ、まだこの作品を見たことがないという方はテレビシリーズと併せてご視聴いただければと思います。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。もし記事が良かったなと思ったらSNSへのシェア、Twitterのフォロー等、ぜひともよろしくお願いいたします。
今後もアニメに関する記事を毎日投稿していきますので、ぜひご覧ください。
また次の記事で!