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『A.I.C.O. Incarnation』第9話「真実」マター、バースト、神崎の目的、全てが明らかになる30分!美しすぎる伏線回収 ※ネタバレ注意【感想・考察】

 『A.I.C.O. Incarnation』

 2018年にNetflixで配信され人気を博し、ついに2020年7月に地上波初放送となりました。

 自分は大好きなTRUEさんが主題歌を歌っているということもあり、先に配信を見ていたので地上波の放送が2周目の視聴となります。

 1周目の視聴の時に驚きすぎて、眼を回してしまった第9話「真実」

 この作品の面白さがギュギュっと詰め込まれた30分について、熱く語っていこうと思います。

『A.I.C.O. Incarnation』とは

www.project-aico.com


アニメーションスタジオ・ボンズ×村田和也監督のオリジナルバイオSFアクション!『A.I.C.O. Incarnation』本予告編

f:id:ulotti:20200919032845j:plain©BONES/Project A.I.C.O

あらすじ

 バイオテクノロジーが急速に発展した、近未来の日本――。
 「人工生体」の研究中に起きた大事故“バースト”により、
 暴走した人工生命体“マター”が黒部峡谷一帯を侵蝕。
 人類にとって希望の地と謳われた研究都市は、政府により立ち入りが禁じられた。

 その災厄から2年後の2037年。
 バーストで家族を失った15歳の橘アイコは、
 転校生の神崎雄哉から信じがたい事実を告げられる。

 それはアイコも知らなかった、自身の身体に隠された“秘密”だった。
 それを解く鍵は、バーストの中心地“プライマリーポイント”にあるという。

 アイコは、案内人の神崎雄哉と護衛部隊のダイバーたちと共に、
 封鎖されたエリアへの侵入を決意するが。

 人類の未来を背負う少年、少女が出会った時、明らかになる真実とは?

引用元:『A.I.C.O. Incarnation』公式HP STORYより

スタッフ

原作:BONES
監督:村田 和也『翠星のガルガンティア』『正解するカド』
シリーズ構成:野村 祐一『亡念のザムド』『コメット・ルシファー』
キャラクター原案:鳴子 ハナハル『翠星のガルガンティア』『神田川JET GIRLS』
キャラクターデザイン・総作画監督:石野 聡『乃木坂春香の秘密』『キャプテン・アース』『RELEASE THE SPYCE』
コンセプトデザイン:岡田 有章
メインメカニックデザイン:高倉 武史
マターデザイン:三輪 和宏
美術監督:東 潤一
色彩設計:岩沢 れい子
CGIディレクター:太田 光希
撮影監督:福田 光
編集:坂本 久美子
音楽:岩代 太郎『H2』『ブレイドアンドソウル』『アルスラーン戦記』
サウンド・プロデュース:UTAMARO Movement
音楽制作:ランティス
音響監督:明田川 仁
音響効果:古谷友二
アニメーション制作:BONES

キャスト

橘 アイコ:白石 晴香
神崎 雄哉:小林 裕介
相模 芳彦:古川 慎
水瀬 一樹:村田 太志
芹 遙香:名塚 佳織
三沢 楓:M・A・O
篠山 大輔:竹内 良太
白石 真帆:茅野 愛衣
黒瀬 進:大川 透
伊佐津 恭介:子安 武人
南原 顕子:田中 敦子

第9話「真実」

あらすじ

 篠山を失い深い悲しみに暮れる白石は、一つの問いをアイコに投げかける。

 雄哉のことを信じているか、と。

 さらに白石は、アイコの知らなかった新たな真実を伝える。

 アイコが本物の体を取り戻した時、“もう一人のアイコ”は消失してしまうというのだ。

 アイコはもう一人の自分に思いを馳せ不安に苛まれるが、雄哉を信じようと心に決める……。

 そしてついに一行は、プライマリーポイントへと通じる最後の関門“K5”に辿り着く。

 

引用元:『A.I.C.O. Incarnation』公式HP STORYより

スタッフ

脚本:野村祐一
絵コンテ:村田和也
演出:角地拓大、三宅将平
作画監督:秋山英一、堀川耕一、菅野宏紀、加藤やすひさ、飯山菜保子、荻野美希
マター作画監督:本城恵一朗

ピックアップポイント

悲しみに暮れる白石とアイコ

f:id:ulotti:20200919042001p:plain©BONES/Project A.I.C.O

 プライマリーポイントへ向かう道行き、リーダーを務めていた篠山はマターに飲み込まれ、犠牲となってしまいます

 バディである白石はもちろん、自分の身体がマターを引き寄せているという事実を知ったアイコも自責の念に駆られ、悲しみに暮れます

 いつ、誰が、命を落としてもおかしくなかった道中ではありましたが、目の前で命が失われていく光景には、改めて命の重さを実感させられます。

 

明かされる一つの真実

f:id:ulotti:20200919042647p:plain©BONES/Project A.I.C.O

 アイコが本物の身体を取り戻したとき、もう一人の自分は消えてしまう。

 神崎が伝えていなかった真実をアイコ白石から聞いてしまいます。

 

 「本来あるべき形に戻るだけだ。人は人に、作り物は作り物に。」

 「相手は人間じゃない、思いやる必要はない。」

 

 神崎からの強い言葉

 アイコは自分のために消えてしまうもう一人の自分を可哀そうに思いますが、神崎には神崎にしかわからない、やるべきことがあるんだとグっとこらえます。

 

 「信じていいんだよね?」

 

 神崎からの返答を聞く前に暴走するマター。

 一行は再びマターを退治しながらプライマリーポイントへ進む道を行きます。

 

最後の難関"K5"

f:id:ulotti:20200919044015p:plain©BONES/Project A.I.C.O

 プライマリーポイントはもう目前。

 最後に立ちはだかるのは難関"K5"

 今までにもまして大量に、そして巨大なマターが襲いかかります。

 プライマリーポイントに近づいているということもあって、マターの動きに明確な意思が感じられる作画岩代太郎さんの壮大な劇伴がよりシーンの緊張感を演出しています。

 

マターに助けられるアイコ達

f:id:ulotti:20200919045029p:plain©BONES/Project A.I.C.O

 襲いかかってくるあまりにも膨大な量のマターに、アイコたちは飲み込まれてしまいます。

 マターの中でアイコが思い出したのは自分が見たことがないはずの記憶

 自分の身体がマターになり、多くの人々を襲う映像は何を示しているのでしょうか。

 マターに飲み込まれ、ミッションは失敗かと思われましたが、何故かマターはアイコ達を助けてくれます。

 不審な点は多いものの、一行は"最悪の始まりの場所"、プライマリーポイントに到着しました。

 

プライマリーポイントに響く伊佐津先生の声

f:id:ulotti:20200919045819p:plain©BONES/Project A.I.C.O

 アイコたちの到着を待っていたかのように、研究所内の放送機器で伊佐津先生の声が聴こえてきます。

 

 「久しぶりだな、由良俊英。」

 

 伊佐津先生は神崎のことを由良俊英と呼びます。

 由良俊英は、人工生体に自立性を持たせたナノマシン、"セル・アセンブラ"を強化した"セル・アセンブラ2"を発明した人物で、バーストの時に命を落としたはずでした。

 由良は自分の脳を見ず知らずの少年、神崎雄哉の複製体に移植することで生き延びていたのです。

 ただの男子中学生でしかないはずの神崎があまりにも情報に精通し、冷静に立ち回っていたのはこれが理由でした。

 

 「皆は知っているのかな、その目の前の男が橘アイコ君に施した手術によってバーストが引き起こされたことを。」

 

 「バーストを終息させるには君の脳と君自身の本当の身体が抹消されなければならないということを。」

 

 自分は複製体の身体に、自分自身の脳が入った存在のはず。

 消えるのは作り物の脳のはずなのに、伊佐津先生が"君の脳"というのは明らかにおかしいとアイコは疑問に思い、そして気が付いてしまいます。

 

 「作り物は私の方…?」

 

思い出される過去の記憶

f:id:ulotti:20200919052948p:plain©BONES/Project A.I.C.O

 アイコはかつて自分が交通事故にあい、由良先生が手術してくれたことを思い出します。

 ボロボロになった自分自身の身体が施術されている。

 

「あれ、でも、どうして私、自分を見ているんだろう。自分が、見えているんだろう…」

 

マター、バーストの真実

f:id:ulotti:20200919053539p:plain©BONES/Project A.I.C.O

 

 「複製体の橘アイコのボディは、分離された本来の脳を求めパニックを起こし、異常増殖。マリグナント・マター化した、それがバーストだ。」

 

 「つまり、マターこそが君の身体。君が自分の身体を取り戻すということは即ちマターになるということだよ。」

 

 「神崎にとって君の脳は、本物の橘アイコを救うための道具に過ぎない。」

 

 次々と明かされる、この物語を根底から覆すような真実の数々。

 多くの人が犠牲になったバースト、マターが自分のせいであること。

 全てを終わらせるためには自分自身が犠牲にならなければならないこと。

 信頼していた神崎神崎ではなく、自分を利用するために優しくしてくれていたこと。

 複製体の身体自分自身の脳が入っているのではなく、自分自身の身体複製された脳が入っていること。 

 

 自分も初めて見た時はこのどんでん返しに開いた口が塞がりませんでした。

 

眼球に刻まれたシリアルナンバー

f:id:ulotti:20200919054912p:plain©BONES/Project A.I.C.O

 自分の身体は作り物のはず、眼球にシリアルナンバーがあるのだから。

 第2話「標的」で描かれた伏線をしっかりと回収。

 アイコの眼球にシリアルナンバーが刻まれていることを再度確認します。

眼球にシリアルナンバー刻まれてるってことはやっぱり、アイコの身体は作り物じゃん!
伊佐津先生の言ったことは全部嘘!

 視聴者がホッと胸をなでおろしたのも束の間。

 白石悲しく、そして決定的な事実を伝えます。

 

 「アイコちゃん、眼は脳の一部なの。」

 

 人工生体の眼球は、脳の一部として作られる。

 眼球に打刻があるということは、脳が作り物であることを示す紛れもない証拠なのです。

 最後の希望が事実を確定させるという非常に皮肉な展開、そして第2話の段階でこの事実が明かされていたというとんでもない構成。

 

A.I.C.O.

f:id:ulotti:20200919061008p:plain©BONES/Project A.I.C.O

 

 「でも私、自分で考えてるし、感じてるし、思ってるよ!小さい時から今までのことも覚えてる。なのに、それなのに、偽物なの!?」

 

 「君の脳は橘アイコを救うために僕が生み出した、橘アイコの複製"A.I.C.O."だ。」

 

 ああ、まさかタイトルから伏線になっていたとは…

 

 「我思う、故に我在り」というデカルトの命題があるほど、自分で思うという行為は自分が自分であることを証明する一つの因子。

 それさえも否定される展開は作品の面白さとしてもはちろんのこと、我々が今後直面するであろう医療技術の進歩と人権にかかわる問題についても深く考えさせられます。

 

「初めまして、もう一人の私。」

f:id:ulotti:20200919061631p:plain©BONES/Project A.I.C.O

 

 「脳みそが作り物ってなんのゾンビだよ。」

 

 "とっととマターとアイコの脳を合体させよう"と提案し、冷たい言葉を吐く相模

 残酷な真実から目を背けるように、マターが襲いかかる中、アイコは一人逃げ出します。

 一人になったアイコを包み込むように吸収するマター。

 その中に現れたのは、自分と同じ見た目をした少女

 

 「初めまして、もう一人の私。」

 

 ついに相まみえた二人のアイコ

 自衛隊からの攻撃も迫る中、物語はいったいどんな結末を迎えるのでしょうか。

おわりに

 2周目の視聴ということで、第2話「標的」の眼球シリアルナンバーのところから震えが止まりませんでした

 1周目では見えなかった細かな伏線や、発言の意図も2周目を見ることで大変繊細に作り上げられているなあと実感しています。

 ぜひ、この第9話まで見たところでもう一度、第1話から見返してみて欲しいです。

 気付いていなかった新たな発見をすることが出来るはず。

 今後の展開も記憶の片隅にはありますが、2周目ではきっと見え方が違うと思うので、残りの話数も非常に楽しみです。

 

 眼球のシーンで上げて落とすのズル過ぎる!

 

 TRUEさんの主題歌「A.I.C.O.」の真意が見え始めてきた!

 

 など意見や感想があればコメントしていただけると嬉しいです。

 

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