赤毛のアン。
今もなお多くのファンに愛される『世界名作劇場』の1作で、2020年現在TOKYO MXにて絶賛再放送中です。
お話も終盤に差し掛かり、大きくストーリーが動き始める起点の第37話。
アンの成長と懐かしさに思わず泣いてしまったこのお話について、語っていきたいと思います。
『赤毛のアン』とは
©NIPPON ANIMATION CO., LTD.“Anne of Green Gables”™AGGLA
あらすじ
カナダのプリンスエドワード島のグリーン・ゲイブルズに住むマシュウとマリラの兄妹は、孤児院から働き手の男の子を引き取ろうとしたが、手違いで空想好きな赤毛の女の子アンがやって来た。
始めはアンを孤児院へ戻そうとしたマリラたちだが、アンと話しをするうちに彼女を引き取ることを決める。
グリーン・ゲイブルズでの生活や、親友ダイアナや同級生ギルバートたちと過ごす学校生活の中で、失敗を繰り返しながらもアンは聡明な女性に成長していく。
成長したアンはクィーン学院を優秀な成績で卒業するが、マシュウの突然の死や老いたマリラのために大学進学をあきらめる。
ギルバートの計らいでアヴォンリーの学校教師になったアンは、長年反目しあってきたギルバートととうとう友人となるのだった。
スタッフ
脚本:千葉茂樹、高畑勲、神山征二郎、荒木芳久、磯村愛子、高野丈邦 ほか
音楽:毛利蔵人
場面設定:宮崎駿、櫻井美知代
キャラクターデザイン:近藤喜文『火垂るの墓』『おもひでぽろぽろ』『耳をすませば』
絵コンテ:富野喜幸、奥田誠治、楠葉宏三、斎藤博、横田和善、腰繁男
作画監督:近藤喜文
美術監督:井岡雅宏
撮影監督:黒木敬七
録音監督:浦上靖夫
色彩設定:保田道世、小山明子
プロデューサー:中島順三、遠藤重夫
演出:高畑勲『太陽の王子 ホルスの大冒険』『アルプスの少女ハイジ』『かぐや姫の物語』
キャスト
アン・シャーリー:山田栄子
マシュウ・カスバート:槐柳二
マリラ・カスバート:北原文枝
ダイアナ:高島雅羅
ギルバート:井上和彦
第37話「十五歳の春」
スタッフ
脚本:高野丈邦、楠葉宏三
絵コンテ:楠葉宏三
演出:高畑勲
ピックアップポイント
アヴォンリーの駅に降り立つ一人の少女
©NIPPON ANIMATION CO., LTD.“Anne of Green Gables”™AGGLA
冬を越え、新しい命がまた芽吹き出すプリンスエドワード島の春。
アヴォンリーの駅に一人の少女が降り立ちます。
カーモディーに用事がある彼女は迎えに来た父親の馬車に乗って、駅を去っていきました。
懐かしい第1話のアンの姿を思い出させるニクい演出です。
アンがはじめてこの地に来てからもう4年の歳月が過ぎていました。
十五歳になったアン
©NIPPON ANIMATION CO., LTD.“Anne of Green Gables”™AGGLA
女の子の成長は非常に速いもので、マリラも知らないうちに自分と背が変わらないほど大きくなったアンに驚きます。
キャラクターデザインとしてもこの第37話からアンが思春期に入ったことになります。
子供の頃の面影を残しながらも、落ち着いた大人っぽい雰囲気が感じられる素敵な女性になりました。
ちょうどアンの古着を使ってパッチワークをしようと思っていたマリラは、アンの成長と懐かしさからその手を動かすことが出来ませんでした。
©NIPPON ANIMATION CO., LTD.“Anne of Green Gables”™AGGLA
回想で挟まれる、初めてこの家にやって来た時のアン。
見た目はもちろんのこと、思慮深く成長したアンはあの頃の様に癇癪を起こすことももうないでしょう。
マリラはアンの成長を嬉しいと思う一方で、心のどこかで自分の愛していた小さいアンがいなくなったという落胆と、言い知れぬ寂しさも感じており、その目に涙を浮かべるのです。
自分も子供がいるわけではないので、この気持ちを本当に理解できているかというと怪しいところです。
それでも、あんなに手のかかったアンが立派に成長して、自分の元を離れていくことに寂しさを感じるのは共感せずにはいられません。
今まで真面目で頑固で、感情をそこまで表に出さなかったマリラの涙だからこそ、こちらも思わずもらい泣きしてしまいます。
3か月後にはクィーン学院に行ってしまうアンのことを考えればなおのこと。
成長したミニー・メイ
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成長と言えば忘れてはいけないのがミニー・メイ。
喉頭炎で命の危機に瀕したところをアンに救われた彼女も今ではすっかり大きくなり、アヴォンリー小学校に通っています。
アンとダイアナが二人だけで難しい言葉で話すところを見てムッとしたり、これから立派な女の子に成長するんだなあと感慨深い想いです。
アンの新しいベッド
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背が大きくなったアンに合わせて大きなベッドが届きました。
アンの成長をより強く実感する大きなイベントです。
ベッドを家に搬入する際も、アンが中心となり誰よりも力を発揮します。
数年前だったらきっとマシューやマリラに任せきりだった、あるいは手伝おうとして失敗していたであろうアン。
本当に立派な女性に成長しました。
アンの部屋である屋根裏も昔はみすぼらしかったものの、今では女の子らしい綺麗な部屋に変わっています。
アンとマリラの会話
©NIPPON ANIMATION CO., LTD.“Anne of Green Gables”™AGGLA
「アン、昔の半分もお喋りしなくなったね。それに大げさな言葉もうんと数が減ったようだし、いったいどうしたと言うんだね?」
「気持ちの良い素敵な考えが浮かんだら、そっと心の中にしまっておくの。宝石のように。」
「大人になるということはある意味では面白いけど、私が思っていたのとはちょっと違うみたいね、マリラ。」
アンと言えば起きた1つのことを大げさな言葉で100にも1000にもして早口でしゃべり続ける女の子。
相手が聞いていても聞いていなくてもおかまいなし。
そんなアンからこんな言葉が出てくる日が来るとは…。
『赤毛のアン』の中でもずっと心にとどめておきたい名言の一つ。
素敵な考えはもちろん、悪い考えであっても一旦心の中にしまっておけるような懐の広さを持ちたいものです。
開通式
©NIPPON ANIMATION CO., LTD.“Anne of Green Gables”™AGGLA
カーモディーまで鉄道の支線が伸びたことを祝して執り行われる開通式。
これでシャーロットタウンへの行き来が非常に楽になります。
ダイアナの大叔母であるジョセフィン叔母さんを歓迎するため、アン達も開通式に参列するのでした。
この開通式はジョセフィン叔母さんとの再会とクィーン学院での試験に繋がる大切なお話ですがそれ以外にも大切な要素があります。
それはこの開通式がアンの成長の象徴であるということ。
立派な女性に成長したアンのこれから広がっていく世界。
グリーン・ゲイブルズの中でしか生きてこなかったアンが気軽に外の世界へとびだせるようになる開通式は、ストーリー的にもキャラクターの心理描写的にも非常に大切なイベントでした。
ジョセフィン叔母さんとの再会
©NIPPON ANIMATION CO., LTD.“Anne of Green Gables”™AGGLA
ジョセフィン叔母さんと会うのも数年ぶりなアン。
"口が達者なおませで面白い子だった"と当時を振り返るジョセフィン叔母さんに恥ずかしがるアンの姿が描かれます。
恥ずかしいなんて気持ちとは縁遠いと思っていたアンのこの描写は、非常に大人っぽさを感じます。
そんなアンと比較するとまだダイアナの方が子供っぽさを残しているような気がして、ちょっと見ていて安心しますね。
"恥じらい"というのは子供から大人になる過程で得る大きな要素の1つなのかもしれません。
料理を完璧にこなすアン
©NIPPON ANIMATION CO., LTD.“Anne of Green Gables”™AGGLA
ジョセフィン叔母さんのためのお茶会を開くことを提案するマリラ。
大賛成のアンはマリラの手を一切借りず、次々とケーキやタルトを完成させていきます。
思い起こされるのはアラン夫妻を招いた時のアンの料理。
バニラエッセンスと痛み止めの塗り薬を間違えて使ったあの事件は、視聴者の心にも深く刻まれていることでしょう。
そんなアンが一人でお茶会の準備を完璧にこなす姿は非常に感慨深い。
アンの成長を感じると共に、人は失敗を乗り越えて成長していくんだなあと改めて考えさせられました。
おわりに
断片的な記憶はあるものの、ちゃんと全話通しで見たか記憶が定かではない本作。
ここまで来ると1話1話の積み重ねの重さを非常に強く実感するので、通しで見てよかったなと改めて思います。
ここから辛い展開になることは知っていても目が離せません。
後約10話程、最後までアンの成長を見守っていきたいと思います。
赤毛のアン大好き!
子供の成長って嬉しいけど寂しいよね…
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