『食戟のソーマ』。
2015年から第1期が放送され、2,3,4期と続き、いよいよ本作で最終シリーズとなる大作料理・グルメ作品です。
一人一人のキャラクターの個性はもちろん、数々の美味しそうな料理を深夜に放送し、飯テロ番組としても非常に素晴らしい作品でした。
今回は『食戟のソーマ 豪ノ皿』第13話「食戟のソーマ」を通して、これまでのシリーズごと振り返るような総括的記事として熱く語っていきたいと思います。
『食戟のソーマ 豪ノ皿』とは
あらすじ
実家の定食屋「食事処ゆきひら」で料理の腕を磨いていた幸平創真は、
父親の勧めで超エリート料理学校「遠月茶寮料理學園」に入学。
ライバルとの食戟、仲間との研鑽を重ね、料理人として徐々に成長を続けていた。時が経ち、2年生に進級した創真はついに学園の頂点、
遠月十傑評議会“第一席”の座へと、のぼりつめたのだった――。そんななか、世界的な料理コンクール「THE BLUE」の招待状が遠月学園へと届く。
「THE BLUE」とは、若手料理人たちが名声を懸け競う正統派な美食大会――
しかし、今回は従来とは趣向が異なり、常軌を逸したお題ばかり!?新たなライバルが現れ、波乱の予感が漂う「THE BLUE」の行方は……!?
次代の料理界の担い手を決める食戟が、幕を開ける!
スタッフ
原作:附田祐斗・佐伯 俊
協力:森崎友紀 (集英社 ジャンプコミックス刊)
監督:米たにヨシトモ『笑ゥせぇるすまん』『Dororonえん魔くん メ〜ラめら』『バチカン奇跡調査官』
シリーズ構成:ヤスカワショウゴ『超次元ゲイム ネプテューヌ THE ANIMATION』『あかねさす少女』『とある科学の超電磁砲T』
キャラクターデザイン:下谷智之『kiss×sis』『サクラダリセット』『あんさんぶるスターズ!』
助監督:鈴木洋平
サブデザイン:小森 篤
美術監督:備前光一郎
色彩設計:伊藤由紀子
撮影監督:黒澤 豊
編集:近藤勇二
音響:監督明田川 仁
音楽:加藤達也『けんぷファー』『Free!』『アイドリッシュセブン』
アニメーション制作:J.C.STAFF
キャスト
幸平創真:松岡禎丞
薙切えりな:金元寿子
田所 恵:高橋未奈美
タクミ・アルディーニ:花江夏樹
葉山アキラ:諏訪部順一
薙切アリス:赤﨑千夏
黒木場リョウ:岡本信彦
新戸緋沙子:大西沙織
一色:慧櫻井孝宏
朝陽:福山 潤
第13話「食戟のソーマ」
あらすじ
ついに創真とえりなによる決勝戦を迎えた「THE BLUE」!
しかし、母を救うことを気負いすぎて、追い詰められてしまうえりな。
創真は、そんな様子を見てえりなのために料理を創り始める…!
二人の戦いの行方は…!?
スタッフ
脚本:ヤスカワショウゴ
コンテ:米たにヨシトモ
演出:佐藤 光/田中 瑛
作画監督:パンプイキ、都築裕佳子、山本雅章、山中いづみ、松岡謙治、小野和美
総作画監督:下谷智之、山崎正和、小森 篤
ピックアップポイント
お題は「地球上になかった一皿」
宿敵・朝陽を打ち破り、料理コンクール「THE BLUE」もいよいよ大詰め。
決勝戦は創真 VS. えりな。
神の舌を持つえりなは、同じく神の舌を持つ母を救うべく、「地球上になかった一皿」をどうしても作らなければいけないとグチャグチャの感情に押しつぶされそうになりながら料理をします。
『食戟のソーマ 豪ノ皿』では、神の舌を持つが故に、美味しくないありとあらゆる料理を食べることが出来なくなり、点滴のみで暮らす、えりなの母・薙切 真凪の苦難が描かれました。
このままではえりなも同様に、神の舌の呪いに苦しむことになる。
創真はえりなのためにとある料理を作り始めます。
創真流 女王のためのエッグベネディクト丼
創真が作った料理は「創真流 女王のためのエッグベネディクト丼」。
このあと本編でも解説が入りますが、ここまでこの作品を楽しんできた人にとっては解説が無くてもすぐわかったはず。
エッグベネディクトは第1期『食戟のソーマ』第13話「夜明け前の卵たち」及び第14話「メタモルフォーゼ」で描かれた、えりなと創真が初めて対決した時にえりなが作った一品です。
最終回の最後の一品で、この思い出深い料理が出てくるとは思いもせず、めちゃくちゃ感動してしまいました。
ご飯には焼き豚と塩昆布としそ。
塩昆布を使うアイディアは第1期第5話「氷の女王と春の嵐」で作った"鰆のおにぎり茶漬け"の頃から採用されているもの。
丼に関して言えば丼もの研究会、略して"丼研"のエピソードを誰もが思い出すことでしょう。
勝利からも敗北からも、全ての経験を糧にして、より美味しいレシピを求め続けた創真だからこその一品です。
今まで神の舌を前にした料理人は批判を恐れ、萎縮した料理しか出してこなくなってしまっていました。
誰よりも負けず嫌いで、プライドよりも目の前にいる料理を食べさせたい人に満足してもらうという強い意志を持った、定食屋育ちの創真でなければ、ここに至ることはできなかったでしょう。
美味しすぎて…
『食戟のソーマ』の特徴と言えばなんといっても美味しさの表現である「おはだけ」。
かつては食したものの服がはだけるだけでしたが、美味しさのあまり他人の服を強制的にはだけさせる「おさずけ」が頻発するようになり、最終回は「真のおさずけ」を超える"おさずけパルス"が放たれました。
こんな"おさずけパルス"はいまだかつてみたことがない。
創真が作った一品はまさに"豪ノ皿"と呼ぶにふさわしい。
しっかりとタイトルを回収してきました。
そのあまりのおいしさ、あまりの"おさずけパルス"に…
天守閣もおはだけ。
詳しい理屈はどうでもいいですが、創真が作った料理がどれほど美味しいか一目でわかる、最終回にふさわしい最高の表現でした。
もしこれからも『食戟のソーマ』が続いていったら、国や星が滅んでしまう日も近かったかもしれません。
そんなお話も見てみたいですけどね。
永遠のライバル
さすがのえりなも創真の料理を認めるかと思いきや、
「不味い」
そう口にすると今度はえりなが料理を始めるのでした。
どこまでも負けず嫌いで、どこまでも素直になれない、そんなえりなが戻ってきました。
きっとこれからも創真とえりなは互いに絶対負けないように、日々料理の研鑽を続けていくのでしょう。
だからこそ最高の一品を目指して進んでいける。
『食戟のソーマ』という作品の魅力そのものが詰まった二人の関係は、非常に愛おしいものでした。
「THE BLUE」の最中にあったこととそれからのこと
創真たちが「THE BLUE」で大活躍していた頃、他の「遠月十傑評議会」のメンバーは真夜中の料理人、通称・ノワールをせん滅。
食材の密輸入等もなくなり、料理業界は正常さを取り戻しました。
バラバラだった薙切家も、えりなと真凪の復縁により家族の形を取り戻しました。
薊、そして実は薊の実子である朝陽も、最後には薙切家として家族の輪に入り、ともに食卓を囲むのでした。
そして創真は修行の旅へ…
帰ってきた創真
修行の旅から帰ってきた創真は「食事処 ゆきひら」に。
遠月学園のみんなも創真の帰還を待ち望んでおり、みんなで「食事処 ゆきひら」を訪れていました。
そんなみんなに創真がまず振る舞った料理は、
「ゲソピーのコーヒー漬けハバネロ酢豚風ミント煮込み和え」。
第1期第1話では「炙りゲソのピーナツバター和え」だった創真の創作料理もここまで進化しており、感慨深い想いです。
ゲソピーは創真の探求心の象徴として、最初から最後まで登場した本作を代表する一品と言えるでしょう。
勢揃いのみんなのリアクションは、本当にこれで終わってしまうんだなあと少し悲しい気持ちになります。
田所さんだけ喜んでるのは、今まで創真のゲソピーに付き合わされてきた長い歴史を感じますね。
「さあ、次の皿こそ美味いって言わせてやる、おあがりよ!」
『食戟のソーマ』とnano.RIPE
本編はここで終わりなんですが、『食戟のソーマ 豪ノ皿』のオープニングテーマであり、最終回ではエンディングテーマとして使われたこの曲に触れずに記事を終わることはできません。
「ラストチャプター」/ nano.RIPE
nano.RIPE - ラストチャプター (食戟のソーマ豪ノ皿 OP主題歌) 試聴動画
作詞:きみコ 作曲:佐々木淳 編曲:山下洋介
作詞はnano.RIPEのボーカル・ギターであるきみコさん。
作曲は同じくnano.RIPEのギター・コーラスである佐々木淳さん。
編曲は『ゾンビランドサガ』の「光へ」や、『転生したらスライムだった件』の「僕の中の君へ」で知られる山下洋介さんが担当しています。
『食戟のソーマ』とnano.RIPEさんの関係は『食戟のソーマ 弐ノ皿』から始まり早4年。
『食戟のソーマ 弐ノ皿』では「スノードロップ」で創真の苦しい葛藤を歌い、
『食戟のソーマ 餐ノ皿』では「虚虚実実」で薙切家に捕らわれたえりなの希望を歌い、
『食戟のソーマ 神ノ皿』では「エンブレム」で成長した創真たちの姿を歌ってきました。
そして本作、『食戟のソーマ 豪ノ皿』では「ラストチャプター」、その名の通り最終章にぴったりな楽曲となっています。
今までのエンディングテーマと比較すると『食戟のソーマ』のことを端的に表すような表現はありませんが、本作にとっての料理とnano.RIPEさんにとっての音楽が同じことを指すということが伝わってきます。
創真が目の前のお客さんのために料理を作るように、nano.RIPEさんもたくさん間違い続けながら目の前の人に音楽を作り続けていく。
作品のテーマに触れながらも、nano.RIPEが歌う意味を感じられる素晴らしい歌詞です。
さよなら ひとりで歌うぼくよ 終わりへと向かおうか
誰にもなれない物語で ぼくらしくあるために
出典:「ラストチャプター」/ nano.RIPE
大サビの後、最後にAメロを持ってくる少し特殊な編成で歌われる歌詞がまた素晴らしい。
創真は「遠月十傑評議会」の第一席になり、「THE BLUE」では第二位。
はたから見れば既に"何者か"になっている存在ですが、創真は料理の探求をやめません。
創真にとって今はまだ道の途中。
自分が自分らしくあるために、これからもっともっと様々な料理に挑戦し、失敗し、反省してまた挑戦していくことでしょう。
そんな創真を歌う歌詞であり、nano.RIPE自身のことを歌う歌詞でもあり、聴く人一人一人へのメッセージでもある。
「ラストチャプター」ではあるけれど、これからの未来に想いが馳せられる素晴らしい楽曲です。
おわりに
美味しそうな料理と服がはだけた女の子、人間の三大欲求のうち二つを一気に満たしてくれる本当に素晴らしい作品でした。
序盤の頃からめちゃくちゃ美味しそうな料理だなあと思っていたものがどんどん進化していく過程にも驚きましたし、この作品が無かったらきっと名前を知ることも無かった料理とたくさん出会うことも出来ました。
作品は完結しましたが、これからも『食戟のソーマ』で出てきた料理を見るたび、この作品のことを思い出すでしょう。
あの料理がめっちゃ好きだった!
このキャラクターがめっちゃ好きだった!
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今後もアニメに関する記事を毎日投稿していきますので、ぜひご覧ください。
また次の記事で!