二人で一つ。
どんな時も頼れる、最高の相棒って素晴らしいですよね。
男性同士でも、女性同士でも。
弱気な主人公、修一と強気なヒロイン、紅愛。
二人の信頼の力が試される、ちょっとえっちな異形のSFアクション&ラブコメ、『グレイプニル』について語っていきたいと思います。
『グレイプニル』とは
©武田すん・講談社/グレイプニル製作委員会
あらすじ
「どうして僕は、こんな姿に変身してしまうのか――?」
"着ぐるみに変身する"という
世にも厄介な特殊能力を持った少年・加賀谷修一。
その力に引き寄せられるように現れた
謎の少女・クレアとの出会いと、
時を同じくして次々と起こる異変に修一の日常は壊されていった。
そして修一に襲いかかる、修一と同じ変身能力を持った"バケモノ"。
巨大な災厄を引き起こす「コイン」を巡り、
バケモノ同士の争奪戦に巻き込まれた修一とクレアは、
二人でひとつになって自らの運命を切り開く――!!
スタッフ
監督:米田和弘『暁のヨナ』『魔法少女なんてもういいですから。』『カブキブ!』
シリーズ構成:猪爪慎一『ハヤテのごとく!』『SKET DANCE』『エガオノダイカ』
キャラクターデザイン:岸田隆宏『serial experiments lain』『デュラララ!!』『ハイキュー!!』
総作画監督 : 今岡律之、牧孝雄
美術監督/美術設定:岡本有香
色彩設計:坂上康治
撮影監督:浅黄康裕
3DCGI:江田恵一
編集:坂本久美子
音響監督 : 長崎行男
音楽:佐高陵平『なりヒロwww』『RELEASE THE SPYCE』
アニメーション制作:PINE JAM
キャスト
加賀谷修一:花江夏樹
青木紅愛 : 東山奈央
青木江麗奈:花澤香菜
宇宙人:櫻井孝宏
三船奈々:伊藤美来
虻川:長谷川芳明
氷川:石上静香
三部忠則:安元洋貴
吉岡千尋:市ノ瀬加那
池内:千葉翔也
スバル:大地葉
おすすめポイント
「ヤングマガジンサード」にて絶賛連載中の本作。
表紙なども本屋でよく見かけており、可愛い女の子が、狂暴そうなぬいぐるみに入っていくショッキングな表紙に驚いた記憶があります。
マンガはもちろん、アニメならではの楽しさもたくさんつまった本作を以下の3つのポイントから紹介していきたいと思います。
・謎が謎を呼ぶ、先が見えない隠された真実
・東山奈央さんと花澤香菜さんの圧倒的演技力!個性的なキャラが盛りだくさん
・元KalafinaのH-el-ical//さんが歌う本作にぴったりなかっこいい主題歌
謎が謎を呼ぶ、先が見えない隠された真実
いつからかはわからないが、「犬のきぐるみ」に変身する特殊能力を持っている主人公、加賀谷修一。
その能力を使って火事の現場から気を失っていたクレアを助け出すも、クレアに正体がばれてしまいます。
どうやら、能力にはコインが関係しているらしく、コインを集める「収集者」に襲われる二人。
能力はあるものの、弱気な性格から戦えないでいる修一。
そんな修一のきぐるみの中にクレアが入り、「二人で一つ」として収集者に立ち向かいます。
©武田すん・講談社/グレイプニル製作委員会
クレアの姉、エレナがその能力で両親を殺害し、修一の能力にもかかわりがあることを知った二人。
もっとコインと能力についての情報を得るため、山中で活動をしている収集者グループに参加します。
そこには、性格や過去に応じた能力を持った能力者がおり、能力について少しずつ情報が明らかになっていきます。
そして出会う、強大な力を持つ別の収集者グループ。
コインのためなら人殺しもいとわない残虐なグループに多大な苦戦を強いられます。
©武田すん・講談社/グレイプニル製作委員会
辛くも闘いから逃れることに成功するも、大きな被害を被った修一たち収集者グループ。
一度グループは解散となり、修一とクレア二人でまた闘いの渦中に飛び込むというところでアニメ本編は終了となります。
能力とはいったい何なのか、コインとの関係性は。
エレナはなぜ両親を殺害し、修一に能力を授けたのか。
コインを100枚集めた先にいったい何が待っているのか。
これから話がどんどん進んでいくぞというタイミングで終わってしまう本作。
期待に膨らんだこの胸の高鳴りを抑えることが出来ません。
自分もちょっと原作で続きを補完しようと思います。
東山奈央さんと花澤香菜さんの圧倒的演技力!個性的なキャラが盛りだくさん
アニメを見ていると演技のうまさを感じるときが2つあります。
1つは、キャラクターがそのまま喋っているような一切違和感を感じさせないタイプの演技。
もう1つは、この人演技上手すぎでしょ!と素直に感動するタイプの演技。
アニメを見れば見る程、キャラクターの第一声目からその声優が誰なのか認識してしまうので、前者の驚きってなかなか感じにくいですよね。
『グレイプニル』では後者の意味で超大人気実力派声優の二人が大暴れします。
©武田すん・講談社/グレイプニル製作委員会
メインヒロインでめちゃくちゃ強気な女の子、東山奈央さんが演じるクレアこと青木紅愛。
元々演じるキャラの幅の広さがバケモノみたいな東山奈央さんですが、クレアでまた新しい東山奈央さんの演技を感じることが出来たように思います。
強気でぐいぐい引っ張る性格で、時には冷静に冷酷な判断を下す冷たさも併せ持っています。
挑発的に囁く声なども非常に魅力的で、東山奈央さんでなければこの難しいキャラは演じられなかったと言って過言ではありません。
修一の中に入るシーンなどのえっちなシーンで漏れ出るような息づかいも非常に素晴らしい。
何と言ってもクレアの魅力は、能力者ではないこと。
強さはどうあれ、登場キャラクターのほとんどが能力を持っている『グレイプニル』の世界で、能力を持たずに強気に立ち回る頭の回転の速さ。
時には思惑通りにいかず焦ったりすることもありましたが、それでも大局を見て強気の振りを維持し続ける絶妙な演技のニュアンスが本当に素晴らしかったです。
©武田すん・講談社/グレイプニル製作委員会
味方なのか悪役なのか、優しい人なのか怖い人なのか、終始謎に包まれていたミステリアスな女の子、花澤香菜さんが演じるエレナこと青木江麗奈。
クレアの両親を殺害し、修一とクレアに襲いかかる強大な能力を持ったエレナは圧倒的な狂気、圧倒的な恐怖でした。
しかし話が進むにつれ、エレナの行動にも何か理由があることがわかってきます。
他キャラクターからの信頼も厚く、両親を殺害するような人ではないというような意見も。
そんな少しずつ明らかになっていくキャラクター像に寄り添った花澤香菜さんの演技がまた素晴らしい。
最初の凶器を感じる演技の迫力はすさまじく、まさに人間の闇そのもののような演技でした。
挟まれる回想シーンや、収集者グループのリーダとしての行動のシーンでは、優しい表情を見せることも多く、声に暖かみが宿っていました。
何らかの理由があって本当は優しく接したい修一に対して、無理にきつく当たるシーンではその葛藤の気持ちが一語一語から感じ取ることができ、花澤香菜さんの凄さを改めて思い知ることになりました。
©武田すん・講談社/グレイプニル製作委員会
正義感はあるものの、クラス内でも大人しく寡黙なタイプの主人公、花江夏樹さんが演じる修一こと加賀谷修一。
クレアとの出会いや、収集者たちとの戦いの中で最も成長したキャラクターです。
強い正義感故に、中に入ったクレアに汚れ仕事なども全て任せてしまっていることに責任を感じており、「二人で一つ」であることを再確認するシーンも描かれました。
クレアがあくまでクレアらしく生きていく一方で、修一はかなりクレアみたいな性格に変わっていったような気がします。
そういう意味でも「二人で一つ」により近づいて行ったのかもしれません。
オドオドした初期の修一から、キメるところはキメるかっこいい修一まで、今やだれも知らない人のいない実力派大人気声優、花江夏樹さんの演技が光ります。
過去の記憶がない修一の少し狂気じみたところや、女の子には強く出られないところ、細かい演技のニュアンスまで本当にキャラクターにぴったりで、改めてその演技力の高さを感じました。
どのキャラクターも作中で色々な顔が描かれ、それにぴったりな演技を楽しむことが出来ます。
特にアニメ終了後からは、より一層激しい演技が求められる展開になりそうなので、ぜひとも第二期のアニメを見たいなあと期待しています。
元KalafinaのH-el-ical//さんが歌う本作にぴったりなかっこいい主題歌
『空の境界』、『魔法少女まどか☆マギカ』、『Fateシリーズ』など様々なアニメで名曲を送り出してきたKalafina。
2019年3月に解散してしまい、もうその歌声を聴くことはできないのかと思っていたところ、メンバーのHikaruさんがH-el-ical//名義でソロプロジェクトを始動。
そんなH-el-ical//さんが歌うOPテーマは、
「Altern-ate-」/ H-el-ical//(作詞:Hikaru// 作曲・編曲:グシミヤギヒデユキ)
H-el-ical//「Altern-ate-」MV Short ver.
ダークな雰囲気のメロディとH-el-icalさんの強すぎる圧のこもった歌のバランスが凄まじい名曲。
全然名前を聴いたことがない作曲者の方なので今後の作品にも期待です。
Hikaru//さんも作詞初挑戦らしいのですが、初挑戦とは思えないような言葉選びが素晴らしい。
まず、タイトルのAlternateは「相互の」、「互い違いの」を意味します。
もうニュアンスだけで「二人で一つ」がテーマの『グレイプニル』にぴったりですよね。
歌詞に含まれる「猫」、「岩」、「鳥」、「魚」、「熊」などのワードは、『グレイプニル』のモチーフである北欧神話において非常に重要な役割を果たしています。
オタクなHikaru//さんらしいこだわりが感じられますね。
修一目線での成長が歌詞にしっかりと描かれており、キーワードの「二人で一つ」も含めて、クレアと過ごす時間の中で修一が感じたものそのものが歌われています。
独特の難しい言葉の選び方はKalafina時代があったからこそな気もします。
曲調から歌詞まで『グレイプニル』の世界に寄り添った、2020年春アニメを代表する1曲です。
EDテーマは、
「雨と体液と匂い」/ Mili(作詞・作曲・編曲:Yamato Kasai)
『Bloodivores』の「NENTEN」、『メルクストーリア -無気力少年と瓶の中の少女-』の「オリジン」、『ゴブリンスレイヤー』の「Rightfully」などで有名なMiliさんが担当したEDテーマ。
今まで聴いたことがないような独特な楽曲で、不穏な雰囲気を感じさせつつも、どことなく妖艶に感じる部分もある不思議な曲です。
クレアが修一の中に入る時、きぐるみの中には修一の「汁」があってめちゃくちゃ蒸れるということから下着や水着で中に入るという設定があります。
文字通り、「二人で一つ」になるという行為の絶妙な妖艶さがこの楽曲で表されています。
でもそれなのにいやらしくはなく、むしろ神聖ささえ感じるメロディ。
でも歌詞だけみると官能小説のような、いやらしさがある。
言葉に出来ない絶妙な雰囲気がある、聞けば聞くほど不思議な曲だなあと思います。
不穏な雰囲気も、来週の話は一体どうなってしまうんだろうと大きく期待を膨らませてくれる要因となっていました。
配信情報
AbemaTV、Amazonプライム、dアニメストア、U-NEXT、Hulu、FOD、NETFLIXなど各種見放題サービスにて絶賛配信中です。
シリアスとエロの絶妙なバランスをぜひお楽しみください。