ここ数日、SNSを賑わせている、ライブ・イベントのチケット料金、2倍問題。
あなたは、1つのイベントに2万円払うことができますか?
この記事では、新型コロナウイルスの影響で今後イベント業界でどのようなことが起こるのか、ぼくらに何ができるのか考えた記事です。
別に面白いお気持ち表明ではないので、その点はご注意ください。
ライブ・イベントのチケット料金2倍問題の経緯
東京の緊急事態宣言が解除され約2週間、少しずつイベント開催のスケジュールが公開されていく中、一人の女性アーティストのチケット料金の変更が告知されました。
その告知は、チケットの料金が約2倍になるという内容でした。
元々、新型コロナウイルスの影響でイベント行う際には1席ずつスペースを空けて開催しなければならないというようなルールがなんとなく認知されていました。
いったい今後のライブ、イベントはどうなっていくんだろうという不安がそれぞれの心の中にあるところに、料金2倍という非常にリアルな内容の告知がされたことで大きく話が広がっています。
反応は人によりさまざまで、
本当にそのアーティストが好きならいくらでもお金を出すのが当たり前。
お金足りなくなりそうで厳しいなあ…
へー。俺はどっちでもいいけど。
などなど。
ライブ・イベント業界で今後起こりうる問題
チケットだけではなくグッズやドリンク代などあらゆるものの価格が高騰する
社会人イベンターの方ならきっと想像がつくと思いますが、間違いなくどのイベント関連の会社も資金繰り、キャッシュフローがかなり厳しいはずです。
自分も一人の社会人として、現実問題かなり会社の厳しさを感じています。売り上げがないのに費用がどんどん出ていくのは利益うんぬんより前に、会社の資金そのものがなくなるんですよね。
特にライブハウスは現在、休業要請の解除行程を3段階で示すロードマップのステップ3においても休業要請の解除が見込まれておりません。
引用元:NHKニュース
ライブハウスの8割が潰れるのではと予測されるほど、非常に厳しい状態にある現在。もし仮に営業再開できたとしてもキャパMAXまでお客さんを入れることは当然できないでしょう。
ライブハウスやイベントホールの貸し出し価格の高騰は当然に想定される未来です。
そんな中、我々が支払うもので高くなるのはチケット代だけ!なんてことあるでしょうか。もちろん違います。
Tシャツ、タオル、ペンライトなどのグッズやファンクラブの会費、我々がお金を支払うものは間違いなく値上がりするでしょう。
ライブハウスのドリンク代は、もしかすると1,000円、それ以上になる可能性だって考えられます。
1,000円でもらったドリンクチケットを交換しないで帰るの、なかなか勇気がいりますよね。逆にリッチな気分が味わえるかもしれない。
地方公演の減少
イベンターにとって、もしかするとチケット代よりもかかる費用、それが遠征費用。
チケット代が2倍になり、グッズも値上がりしたうえで全国ツアー全通!なかなかのお金持ちじゃないとこれは実現できませんよね。
地方公演は各地域付近の方が多く集まってくれますが、気合の入ったファンがしっかり各地域についてきてくれるから成り立つというのもまぎれもない事実です。
チケットなどの高騰の中でもファンが本当に地方までついてきてくれるのか、100%の自信をもってついてきてくれる!と言い切れるアーティストがどれだけいるでしょうか。
収益の見込みが立てづらい地方公演は、減少すると考えられるでしょう。
都内でライブハウスが使えなくても地方のライブハウスなら使えるじゃん!と思う方もいるかもしれませんが、世の中であれほど"三密"を極めた場所、なかなかないですよね。
地方のライブハウスに都心部から多くのファンがつめかけて"三密"状態でもみくちゃになったあと、公共交通機関を使って帰る。
一般人からしたらとんでもない迷惑ですよね。今までも多くのクラスターが発生してしまっているライブハウス、かなり厳しい状態にあると言わざるを得ません。
高倍率による落選可能性の増大
今まで、値段が上がってお客さんが減るという話をしていましたが、逆に大人気アーティストの場合はチケットの当選倍率が大幅に上がってしまうことが考えられます。
理屈は単純で、上にある表のステップ3になると1,000人までのイベントの開催が可能になります。
2,000人のキャパシティのホールをおさえて、隣り合う席を1席ずつ開けてチケット1,000枚売ります!
この場合、当選者はもちろん1,000人だけです。
どれだけ大人気アーティストでもライブに参加できるファンは1,000人。これは流石に厳しいですよね。
今後段階的に上限人数は緩和されていくとは思いますが、今のところ見通しは立っていません。
仮に人数上限がなくなって、そのうえで隣り合う席を1席ずつ開けようとなったとします。
例えばさいたまスーパーアリーナのキャパシティはスタジアムモードで36,500人。18,250枚しかチケットは販売されません。
会場を選択する運営側も難しいし、チケットを購入するファン側も難しい。なかなか解決困難な難しい問題ですね。
外出する人の減少にともなうイベンターの減少
STAY HOMEが推奨されてきた5月。それぞれの人が家で楽しめることを色々模索したと思います。
そしてきっと多くの人が気づいてしまったでしょう。
家にいてもあんまりお金をかけずに楽しめることいっぱいあるじゃん!
Youtubeを見たり、放送、配信されているアニメを見たり、ゲームをしたり、読書をしたり。
僕も、いつにもましてアニメをずっと見ていましたね。
オンライン飲み会なんかも流行りました。流石にオフラインで会うより楽しい!とは思いませんでしたが、わざわざ同じ場所に集まらずとも話したいことがいっぱい話せる。
基本的にライブの後しか飲み会をしない自分にとっては、結構目からウロコの体験でした。
人によってはテレワークが進んで基本的に家から出ない生活になった人もいるのではないでしょうか。
自分もその一人で、今まであった会社への通勤定期を失ってかなり都内や県外へのアクセスへのハードルがあがりました。
幕張までの片道料金、1,000円超えてて結構頭を抱えています。
往復の交通費と飲み会だけでまあ5,000円を切ることはなくなってしまいましたね。
確かに、ライブでしか得られない、高まり、興奮、高揚感はあります。
でも、でもですよ。
チケット代2倍
一緒に行った友達とも席を1席開けないといけない
感染防止のため着席、声出し禁止
マスク着用
感染のリスクを負ってこのイベントを2万円払って見に行くか、
お家でゴロゴロ見たい動画を無料で見るか、
あなたはどっちを選びますか?
ライブ・イベント業界で今後行われていくであろう施策
ここまでちょっとマイナスな話が多くて気が滅入ってしまったかもしれません。でもこんなピンチをどうやって乗り越えていくのか、どんなことが行われるのか、前向きな方法を考えていきましょう。
チケットの課金制の加速
アニソンシーンのライブ・イベントはチケット料金が一律なことが結構多いですよね。
昨年行ったライブで驚いたのがメットライフドームで開かれた、『Poppin’Party×SILENT SIREN 対バンライブ「NO GIRL NO CRY」』。
特製グッズ付きのプレミアムシートが21,600円、一般指定席が10,800円、学割チケットが7,560円という価格設定になっていました。
お金のない学生さんが来やすい(まだ高いけど)価格設定になっており、その分いい席は料金2倍ということで、お金を出してでもいい席で見たい人がお金を払うという非常に合理的なシステムでした。
推しが近くで見られるなら別にいくらでも払うよという人はかなり多い印象です。まあその分、転売の餌食になることも多いですが。
これからはもっともっとチケットの課金制が進んでいき、ファンはお金を払えばいい席がゲットできる。会社は通常よりも高い収益を得ることができる。どちらもwin-winな関係を作ることができる、それがスタンダードになってくると思います。
いや、お金がない人は絶対にいい席とれないし不公平じゃん。
当たり前だろ、何言ってるんだ。
ライブ・イベントの配信数が増大、個性重視の時代に
間違いなく今後のライブ・イベントはいかに配信、オンラインでうまくやっていくかというところが課題になってきます。
Youtubeなどで過去のライブ映像の配信が盛んにおこなわれたのも、オンラインで人が集まってくれるプラットフォームを構築しようという意図が大きかったからでしょう。
低価格帯、あるいは無料で配信をし、広告収入や投げ銭で収益を稼ぐ。この収益モデルにいかにフィットさせていけるかどうかでそのアーティストの未来が決まるといっても過言ではありません。
そのために、アーティストとファンの距離感をより近づけるような施策も行われると予測されます。
最近のVtuber業界は一方通行ではない、互いのコミュニケーションによって大きな盛り上がりを見せています。
声優さんでも自分のYoutubeチャンネルを持つ人、かなり増えましたよね。事務所単位で進出してきているところは、しっかりと将来を見据えて予算をつぎ込んでいるのでしょう。
一方でアニソンアーティストはまだまだ露出が少ないのかなと感じることが多いです。大体のYoutubeチャンネルではPVとCMと過去のライブ映像だけが動画として残っています。
いや、ラジオとかLINE LIVEとかやってるよ!
という方も多いかもしれません。
でも、そういうちょっとニッチなコンテンツって、ファンをしっかりつかんで離さないためのコンテンツであって、新規客層を取り入れるものではないことが往々にしてあります。
ライブをやったら必ず来てくれるコアなファンを作るのも非常に大切ですが、これからの配信の時代、今までライブに来ていなかった新しい層をいかに取り込めるかがもっともっと大切になってくるはずです。
声優が声優だけやっていればいい時代、アーティストがアーティストだけをやっていればいい時代は終わりました。
時代の流れと共に、話がうまい声優、顔がいい声優、歌がうまい声優、ダンスができる声優、楽器が演奏できる声優、色々なものが求められるようになりました。
そしてこれからは、1人の人間として個性が求められ、個性を配信する時代です。もっと楽しそうな言葉で言えば、
好きなことを極めて、好きなことを配信して、一人一人の声優やアーティストがその個性で人気を得る時代が来たのです。
めっちゃワクワクしますね。今後どんな個性を持った奇才が現れるのか楽しみでなりません。
VRの進化と共にライブ・イベント配信の高クオリティ化
配信やBD・DVDでライブ映像見るの、結構楽しいですよね。
現場にいたら見ることができないアングルや、かわいい表情、かっこいい表情、ステージ全体の演出を見渡せる構図などなど、動画で見るメリットはたくさんあります。
でもまだ、現地に行った方が楽しいですよね?
現場ならではの盛り上がりや一体感、やっぱり臨場感が段違いです。この臨場感に対して僕らはお金を払っているといっても過言ではないでしょう。
しかし、VRの進化と共に現地と同等、もしくはそれ以上の臨場感を味わえる日も遠くないと自分は考えています。
自分は、VIVEというVR機器を1年ぐらい前に購入していて、色々なVRゲームやVR動画を見てきました。
今までVRを一度も触ったことがない方は是非一度触った方がいいです、感動します。
あっという間に自分の部屋にいるという感覚がなくなり、VRの世界に完全にダイブできます。
ライブが始まった瞬間の、周りの様子を見つつ、
どれぐらいの雰囲気で盛り上がればいいかな…
みたいな冷静さはそこにはありません。
目の前に広がるVRの世界にただただ圧倒されるのみです。これでアーティストのライブが見られたらとんでもないことになりますよ。
1年前は部屋にベースステーションと呼ばれる身体の動きや位置を認識するための機械を設置しないといけなかったヘッドマウントディスプレイは、今や単体で動きや位置を認識できるようになり、ものによってはPCすら不要な機種さえ出てきています。
着々と日本国内にもVRコンテンツが増えてきています。特にライブ・イベント業界はこのVRが存続のカギになるはずです。
革命的な、多くの人に普及されみんなで楽しむことができるVRサービスを生み出すため、きっと今も様々なVR関係のエンジニアたちが頑張ってくれていることでしょう。
アニソンシーンにもVR配信が普及し、いつでも最前列でいつでも最高の臨場感、そんな体験が家でできる日が非常に待ち遠しいです。
ファン同士が繋がれるSNSの普及
ライブは配信だけでは絶対に満足できない。朝から物販に並んで、ライブの開演を待つ間、観光したり、友達と今日のライブの予想をしたりする。ライブが終わった後は美味しいごはんと美味しいお酒で打ち上げをする、ここまで含めてライブの楽しみなんだ。
こういった意見、Twitterなどでよく見かけました。本当におっしゃる通りだなと思います。もちろんライブにはアーティストを見に行っていますが、友達に会いに行っているという側面はかなり大きいですよね。
実際、自分の友達もライブで知り合った友達が非常に多いです。同じライブに来ている友達の友達の友達の友達が友達になるなんて結構ザラにありますよね。
そしてたいていめちゃくちゃ仲良くなれます。好きなものが同じってやっぱり一番交友関係の中で大事ですからね。
そんな友達がいると、次のライブは一緒に行こうとか、二人とも気になっていた別のアーティストのライブに今度は行ってみようとか、もっともっとライブが大好きになります。
でも正直、初対面の人にいきなり声かけるのってなかなかハードル高いじゃないですか。
きっとこの人も自分が好きなアーティストが大好きで、話せば絶対盛り上がれるのにな…と思いつつも話しかけられない。
Twitterでも同じです。自分が好きなアーティストのハッシュタグでつぶやいている人を見かけて、きっとこの人も好きなんだろうなあと思いつつ、
読みはするけどいいねはしない。
いいねはするけどフォローはしない。
フォローはするけどリプライは送らない。
リプライは送るけどリアルで会おうとは言えない。
結構こういうもどかしさを感じている人は多いのではないでしょうか。
ライブに行く人が減り、配信で見る人が増えると、このそれぞれのアーティストのコミュニティをいかに強くするか、ここがライブの集客の肝になると自分は考えています。
ライブに行った人同士が出会って打ち上げで、
チケット代は高かったけど楽しかったですね。今度は一緒に行きましょう!
となったり、
配信で見ている人同士が出会って、
配信結構よかったよね、今度ライブ行ってみない?
こんな感じで、一緒にハマっていける仲間を作っていける。
こうったコミュニティの強化ができれば、持続的に強い熱意を持ったファンを増やし続けることができるのではないでしょうか。
もちろん、TwitterやYoutubeのコメント欄など他のファンと関わることができる機会は多数あります。でもなかなか関係性を深めるのは難しいという印象です。
ネット上に顔を出さないことが当たり前ではなくなった現在、形はわかりませんが、もっともっと同じものを好きなもの同士が集まりやすい環境、SNSがきっと生まれてくると思います。
ぼくらに出来ること
暗いイベント業界の話から明るい未来の展望の話をしましたが、最後は現在、1人のファンとして、ぼくらがアーティストのために何ができるのか考えていきたいと思います。
無駄な出費を控えて好きなコンテンツに全力投資
チケット代やグッズ代が高くなるのは当然です、しょうがないです。
もしかすると新型コロナウイルスの影響で収入が減っているかもしれません。
だからこそ、余計な出費を控えて、好きなコンテンツにたくさんお金を落としましょう。間違いなく2020年、2021年がライブ・イベント業界のどん底です。今が一番つらいはずです。
そんな今を支えられるのは、ぼくら一人一人の投資です。投資という言葉がちょっとおこがましいので言い換えると、どんなにチケットが高くても推しのイベントには行きましょう。
複数の推しがいるならもっともっと無駄な出費を控えて、複数の推しのイベントにちゃんといきましょう。
好きなコンテンツが長く続いて欲しいならこれからの期間が一番投資のしがいがある時期です。
推しの魅力をもっともっと発信しよう
配信が中心の時代になると、無料から低価格帯で見てくれる、新しいファンをいかにつかむかがとても重要になってきます。
SNSでもブログでも友達でも先輩でも後輩でも何でもいいと思います。
誰かが自分の推しに少しでも興味を持ってくれれば、ライブに行くよりももっと低いハードルで、推しのことを知ってくれる機会がどんどん増えるはずです。
席数を半分にしたライブ会場は埋まってるけど、配信を見てくれる新規層が全然いないようだと、もうそのアーティストは長続きしない時代が来てしまいました。
へー。俺はどっちでもいいけど。
この人が推しの配信を見てくれるようにならないといけないんです。
どんなに公式が頑張って宣伝しても、人の心を動かし、人の行動を促すのは身近な人の言葉です。
あなたが周りにどれだけ推しを布教するかが、推しの運命を左右するかもしれません。
新しいファンを取り込んでいかないといけない時代だからこそ、あなたの言葉が本当に大切になるんです。
おわりに
まとめると、今後もライブ・イベントに関するものの価格は高騰し続け、配信が中心の業界に移り変わっていく。そんな業界の変化に対応し、推しを応援し続けるには、無駄な出費を控えて推しに全力で投資し、新しいファンをつかむため、どんどん推しの魅力を配信しよう。ということでした。
めっちゃ綺麗ごというじゃんこの人、と思われたかもしれませんがチケット料金2倍問題の本質はこれだけ業界がヤバいという事態です。
変に斜に構えず、応援したいものは全力で応援して、好きなものは好きだと全力で追いかけていきましょう。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。もし記事が良かったなと思ったらSNSへのシェア、Twitterのフォロー等、ぜひともよろしくお願いいたします。
今後もアニメに関する記事を毎日投稿していきますので、ぜひご覧ください。
また次の記事で!