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『氷菓』京都アニメーションが送る最高の空気感 至高のストーリー、アニメーション、音楽【あらすじ・感想】

 京都アニメーションの作品で一番好きな作品は何ですか?

 この質問をされたら自分は間違いなくこのアニメのタイトルを答えるでしょう。

 派手さはないけれど圧倒的な空気感で視聴者をくぎ付けにする『氷菓』の魅力を語っていきたいと思います。

 

 

『氷菓』とは

www.kyotoanimation.co.jp

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あらすじ

 省エネを信条とする高校一年生、折木奉太郎は、ひょんなことから廃部寸前のクラブ「古典部」に入部することに。

 「古典部」で出会った好奇心旺盛なヒロイン、千反田える。中学からの腐れ縁、伊原摩耶花と福部里志。

 彼ら4人が神山高校を舞台に、数々の事件を推理してく青春学園ミステリ。

 「わたし、気になります!」

 奉太郎の安穏とした灰色の高校生活は、この一言で一変してしまった!!

引用元: 『氷菓』公式HP ストーリーより

スタッフ

原作・構成協力:米澤穂信(角川文庫刊「古典部シリーズから」・少年エース連載)

シリーズ構成:賀東招二『フルメタル・パニック!』『甘城ブリリアントパーク』『コップクラフト』

キャラクターデザイン:西屋太志『日常』『Free!』

色彩設計:石田奈央美

美術監督:奥出修平

撮影監督:中上竜太

設定:唐田洋

編集:重村建吾(楽音舎)

音響監督:鶴岡陽太(楽音舎)

音楽:田中公平『機動武闘伝Gガンダム』『武装錬金』『新サクラ大戦 the Animation』

監督:武本康弘『らき☆すた』『涼宮ハルヒの憂鬱』『小林さんちのメイドラゴン』

制作:京都アニメーション

音楽制作:ランティス

製作:神山高校古典部OB会

キャスト

折木奉太郎 :中村悠一
千反田える :佐藤聡美
福部里志 :阪口大助
伊原摩耶花 :茅野愛衣
折木供恵 :雪野五月
遠垣内将司 :置鮎龍太郎
入須冬実 :ゆかな
糸魚川養子 :小山茉美
十文字かほ :早見沙織
江波倉子 :悠木碧
谷惟之 :川原慶久
河内亜也子 :浅野真澄
善名梨絵 :豊崎愛生
善名嘉代 :小倉唯
羽場智博 :阿部敦
沢木口美崎 :伊瀬茉莉也
杉村二郎 :入野自由
山西みどり :小清水亜美
瀬之上真美子 :広橋涼
勝田竹男 :泰勇気
尾道先生 :山崎たくみ
海藤武雄 :小西克幸
クイズ研究会部長 :こぶしのぶゆき
クイズ研究会司会 :日笠陽子
製菓研究会女子A :伊藤かな恵
製菓研究会女子B :升望
中城順哉 :近藤孝行
陸山宗芳 :森川智之
湯浅尚子 :進藤尚美
鴻巣友里 :茅原実里
山内 :寺島拓篤
木村(漫研部員) :竹達彩奈
辺見(漫研部員) :寿美菜子
田名辺治朗 :福山潤
お料理研究会部長 :杉田智和
被服研(パンク) :谷山紀章
園芸部員 :杉山紀彰
お料理研究会副部長 :平川大輔
田山(奇術部部長) :岸尾だいすけ
吉野康邦(放送部部長) :吉野裕行

おすすめポイント

 2020年1月からBS11にて再放送されていた『氷菓』。およそ8年ぶりに見てその空気感を存分に堪能していましたが、ついに再放送も最終回を迎えてしまいました。

 

 京都アニメーションの作品は本当にどの作品も非常にクオリティが高く、そんなに数多くアニメを見ない層からも、たくさんのアニメを見ている層からも非常に熱い支持を得ています。

 泣ける作品、熱くなる作品、恋がしたくなる作品、様々な作品がある中、最もその世界の空気が愛おしい、優しい気持ちになれる、そんな作品が『氷菓』だと自分は思っています。

 ストーリー、アニメーション、音楽、演技、どの要素が欠けていても『氷菓』の絶妙な空気感は生み出せていなかったでしょう。

  そんな魅力あふれる『氷菓』の素晴らしさを以下の3点で話していきたいと思います。

・古典部の関係性を深める絶妙なミステリー

・大きな事件が無くても飽きさせないこだわりぬいたアニメーションづくり

・演技に主題歌、劇伴まで耳を幸せにしてくれる様々な音たち

古典部の関係性を深める絶妙なミステリー

 ミステリーというと、殺人事件が発生して、それを鮮やかに解決する。そんなイメージがありますが、『氷菓』で起こるミステリーにはそんなに大きな被害が出るものはありません。

 

 「わたし、気になります!」が口癖の千反田えるさんが、学校生活や日常の些細な違和感や、疑問に興味を抱き、省エネ主義の奉太郎ができるだけ労力を使わずその問題を解決する。

 これが、『氷菓』の基本的な構成で、事件の中でどうしてこの事件が起きたのか、その事件の裏にはどんな目的があったのか、ホワイダニット、動機の部分が中心に描かれます。

 

 その1つ1つの事件が、古典部4人の関係性をちょっとずつちょっとずつ近づけていって、省エネ主義の奉太郎も少しずつ変わっていきます。

 ちょっとだけ恋愛の要素もありますが、ヘタレ主人公と鈍感ヒロインのペアで、なかなか縮まらない二人の距離感に、甘酸っぱさともどかしさをたくさん感じることができると思います。

 

 ミステリー自体も大きな規模のものはありませんが、初見で犯人や動機を見つけることは難しく、見ながら考えるのも非常に楽しめます。

 特に序盤の『氷菓』の意味の話は、初めて知ったときなるほどな~と展開に非常に驚かされたのを覚えています。

 

 学生らしい生活と、知的好奇心を満たすミステリーの探求、青春たっぷりな日々の空気感に癒されること間違いなしです。

氷菓 「古典部」シリーズ (角川文庫)

氷菓 「古典部」シリーズ (角川文庫)

  • 作者:米澤 穂信
  • 発売日: 2012/10/01
  • メディア: Kindle版
 
大きな事件が無くても飽きさせないこだわりぬいたアニメーションづくり

 武本康弘監督を中心に、内海紘子さん、石立太一さん、河浪栄作さん、三好一郎さん、坂本一也さん、北之原孝將さん、山田尚子さん、太田里香さん、小川太一さんなど今まで京都アニメーションを支えてきた、そして『氷菓』以後も、京都アニメーションを支えていっている素晴らしいクリエイターの方々が、かわるがわる絵コンテ・演出を務めます。

 

 大きな事件は起きないし、もちろん楽器を演奏したり、スポーツをしたりもしないので会話が中心のアニメーションになります。

 でも、会話シーンに一切飽きがこないんですよね。引きもアップも俯瞰もパンもありとあらゆる手法が使われ、目が離せないし、登場人物のセリフにも心地よく耳を傾け続けることができます。

 

 飛騨高山の美しい情景や、非常にリアルな学校描写、京都アニメーションの撮影を支え続けた中上竜太さんの絶妙な光量のエフェクトなど人が映らないシーンであっても存分に楽しむことができます。

 特に『氷菓』で独特なのが、沈黙のシーン

 本来アニメの中で沈黙のシーンなんてそうそう見かけることはできませんが、『氷菓』はその独特な空気感のおかげで、静寂を楽しむことができるんですよね。

 

 もちろんキャラクターの可愛さ、かっこよさ、個性も素晴らしい。

 千反田えるさんの髪型ってシンプルなようでめちゃくちゃ独特で、丸みを帯びてふわふわしつつ、黒髪ぱっつんという可愛く描くのが非常に大変そうなデザインなんですがめちゃくちゃ可愛い。ありがとう西屋太志さん。

 寡黙で冷静な一面もありつつ、ひとたび好奇心を刺激されると目をキラキラさせる千反田えるさんの豊かな表情もこの作品を楽しむ重要なポイントです。

 

 伊原摩耶花さんも千反田えるさんがあまり見せない、照れた表情や怒った表情、ジト目やしょうがないなあといった表情など、千反田えるさんとはまた違った方向性で表情豊かで可愛らしいです。

 奉太郎と里志も、男性も女性も好きになる絶妙な顔立ち。

 自分も一時期奉太郎に憧れて省エネ主義で生きてましたね。

 

 本当に1話1話、こだわりにこだわり抜かれたアニメーションが堪能できますので、視聴の際はまばたき禁止でお願いします。

「氷菓」BD-BOX [Blu-ray]

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  • 発売日: 2015/02/27
  • メディア: Blu-ray
 

 

演技に主題歌、劇伴まで耳を幸せにしてくれる様々な音たち

 『けいおん!』の田井中律さんの影響でハンドルネームが「りつ」になった自分。同じく千反田えるさんを演じる佐藤聡美さんが本当に大好きなので毎週毎週耳が幸せでした。

 しっとりとした女性らしい声と、好奇心旺盛になったときのワクワク感がいっぱい詰まった声、演じ分けが本当に素晴らしいんですよね。

 

 奉太郎を演じる中村悠一さんの省エネ感と、省エネに徹しきれなくなって慌てふためく演技も素晴らしいですし、伊原 摩耶花さんを演じる茅野愛衣さんの元気な部分と、世話を焼かずにはいられない、お母さん味溢れる声も非常にキャラクターにマッチしています。

 

 そしてやっぱり主人公の友達役をやらせたら右に出る者はいない、里志を演じる阪口大助さん。同じ京都アニメーションの作品であれば『CLANNAD-クラナド-』の春原陽平が印象的ですよね。

 ご存じとは思いますが中村悠一さんは『CLANNAD-クラナド-』の主人公、岡崎朋也を演じており、再びのタッグとなっています。

 今作でも奉太郎の代わりにたくさん喋るお調子者の「データベース」として大活躍します。

 

 音楽を担当しているのはあの田中公平大先生。

 クラシック音楽を田中公平大先生が編曲したものが使われたり、バイオリン、チェロ、フルートなどの楽器が中心に構成されています。

 ミステリーパートに流れるお決まりのBGMや、会話劇を彩る絶妙なバランスのBGM、気持ちを伝える大切なシーンをしっかり盛り上げる心動かすBGMなど、珠玉の劇伴がたっぷりです。

 サウンドトラックはBD・DVDの各巻に収録されているため、大変貴重です。放送当時迷わず全巻マラソンして本当に良かった。

 

 主題歌も本当に素晴らしい。

 

 第1クールOPはChouChoさんが初めてChouCho名義になってのシングル、「優しさの理由」(作詞:こだまさおり 作曲・編曲:宮崎誠)。

 

優しさの理由

優しさの理由

  • ChouCho
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

  Aパートは学生時代の心のモヤモヤ感、サビには未来への期待が詰まった楽曲、歌詞になっています。

 2014年8月2日に開催された『しゅがちゅん。~☆を集めにいくツアー2014~』で佐藤聡美さんが歌う「優しさの理由」を聴いた日、ぼくは新たな生命として生まれ変わりました。

 

 第2クールOPは、「優しさの理由」の作詞も手掛けた、こだまさおりさんが歌う「未完成ストライド」[作曲・編曲:中山真斗(Elements Garden)]。

未完成ストライド

未完成ストライド

  • こだまさおり
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 こちらの楽曲も奉太郎の素直に青春を楽しめない、斜に構えたモヤモヤ感が歌詞からひしひしと伝わってきます。かなり抽象的な歌詞なんですが、その抽象度が本当にうまくモヤモヤ感を表しているんですよね。

 

 第1クールEDは、千反田える(佐藤聡美)、伊原摩耶花(茅野愛衣)が歌う「まどろみの約束」(作詞:こだまさおり 作曲・編曲:岡本健介)

まどろみの約束

まどろみの約束

  • 千反田える(佐藤聡美)、伊原摩耶花(茅野愛衣)
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

  星の王女様をテーマにしたED映像が非常に可愛らしく印象的です。

 古典部それぞれのペアの絶妙な距離感の恋愛に歌詞があまりにぴったりすぎる。氷菓らしい優しいフレーズ満載なのもたまらないですね。

 

 第2クールEDも、千反田える(佐藤聡美)、伊原摩耶花(茅野愛衣)が歌う「君にまつわるミステリー」(作詞:こだまさおり 作曲・編曲:高田暁) 

君にまつわるミステリー

君にまつわるミステリー

  • 千反田える(CV.佐藤聡美)&伊原摩耶花(CV.茅野愛衣)
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

  千反田えるさんがホームズ、伊原摩耶花さんがポアロ、奉太郎がルパン、里志がモリアーティに扮した映像はあまりに可愛すぎて初見でめちゃくちゃ悶えたのを覚えています。

 『氷菓』らしくミステリーを題材としつつ、「好奇心」などのワードもしっかりと入ったアップテンポなラブソング。

 佐藤聡美さん、茅野愛衣さんという、キャラクターの声でキャラクターソングを歌う二人の天才だからこそ生まれた奇跡の楽曲だと思います。

 

 演技、劇伴、主題歌などなど耳で楽しめる要素もたくさんある作品なので目も耳も全てこの作品にゆだねましょう。

 

氷菓(1) (角川コミックス・エース)

氷菓(1) (角川コミックス・エース)

 

 

配信情報

 U-NEXT、hulu、dアニメストアなど各種配信サービスにて絶賛配信中です。

 再放送を見て実感しましたが、2周目見るともっともっとこの作品の深いところまで楽しめます。

U-NEXT
Hulu
 

おわりに

 8年ぶりにこの作品を楽しんだ一方で、京都アニメーション放火殺人事件で本当に惜しい人達を失くしてしまったと、残念でなりません。心よりお悔やみ申し上げます。

 素晴らしいクリエイターたちが残してくれた素晴らしい作品、ぜひご覧になってください。

 

 最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。もし記事が良かったなと思ったらSNSへのシェア、Twitterのフォロー等、ぜひともよろしくお願いいたします。

 今後もアニメに関する記事を毎日投稿していきますので、ぜひご覧ください。

 また次の記事で!