『シドニアの騎士』。
2014年に第1期が放送され、2015年に第2期が放送。
そして2021年には劇場アニメーション映画『シドニアの騎士 あいつむぐほし』が放映予定。
今回2020年7月より、映画の上映に先駆けて第1期である本作が再放送されました。
当時から大好きな作品でしたが、2周目を見てまた見え方も変わった、こだわり抜かれた世界観とキュンキュンする恋愛模様が魅力な『シドニアの騎士』について語っていきたいと思います。
『シドニアの騎士』とは
シドニアの騎士 Knights of Sidonia PV Part 2
あらすじ
対話不能の異生物・奇居子(ガウナ)に破壊された太陽系。
かろうじて生き残った人類の一部は、 小惑星を船体とした巨大なる宇宙船シドニアで繁殖しながら宇宙を旅する道を選んだ。
それから約 1000 年の時を経たシドニア出航紀元 1009 年。
最下層部でひっそりと育てられた少年・谷風長道が、祖父の死を期に街へ出る。
長道は人型巨大装甲・衛人の操縦士訓練学校に入学することになり、 そこで初めて祖父以外の人間と触れあっていく。長道が初めて異性を意識する少女 ――星白閑
長道の初めての友人となった男でも女でもない人間 ――科戸瀬イザナ
長道の活躍に苛立ちを覚える少年 ――岐神海苔夫様々な訓練生たちと学校生活を送る中、ついに長道たちに初任務が下される。
それは決して困難な任務ではないはずだった。しかし長道たちの前に突如、奇居子が出現。
100 年ぶりとなる脅威との遭遇に、人類は、長道は、何を選択するのか?
人類の存亡をかけた戦いが今、始まる ――。
スタッフ
原作:弐瓶 勉
監督:静野 孔文『G.I.ジョー: SIGMA6』『シドニアの騎士』『侍霊演武:将星乱』
副監督:瀬下寛之『GODZILLA』『BLAME!』『亜人』
シリーズ構成:村井さだゆき『ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom』『夏目友人帳シリーズ』『pet』
プロダクションデザイナー:田中直哉
造形監督:片塰満則
キャラクターデザイナー:森山佑樹
CG スーパーバイザー:上本雅之
バトルアニマティクス:大串映二
作品演出:安藤裕章
音響監督:岩浪美和
音楽:朝倉紀行『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』『MAJORシリーズ』『トミカ絆合体 アースグランナー』
アニメーション制作:ポリゴン・ピクチュアズ
製作:東亜重工動画制作局
キャスト
谷風 長道:逢坂良太
星白 閑:洲崎 綾
科戸瀬 イザナ:豊崎愛生
岐神 海苔夫:櫻井孝宏
緑川 纈:金元寿子
仄 姉妹:喜多村英梨
小林艦長:大原さやか
勢威 一郎:坪井智浩
落合:子安武人
ヒ山 ララァ:新井里美
サマリ・イッタン:田中敦子
山野 栄子:森なな子
佐々木:本田貴子
弦打:鳥海浩輔
岐神 海蘊:佐倉綾音
丹波 新輔:阪 脩
斎藤 ヒロキ:小山力也
ピックアップポイント
弐瓶 勉さんの描く独特な世界観
ストーリーに触れるより先に、本作で最も驚いたのは独特な世界観。
凄いところが多すぎるので、いくつかピックアップして記載していこうと思います。
一つ目は、細部までこだわり抜かれた宇宙を旅する播種船「シドニア」。
1000年以上の長い時間、宇宙を飛び続けているシドニア。
敵である奇居子(ガウナ)との戦闘に備えた設備・施設はもちろんのこと、住んでいる一人一人の住人が日々を楽しむことが出来るような準備もしっかりとされています。
公園であったり、公衆浴場のような人の集まる場所。
船内にかかる重力を調整する重力場発生装置、亡くなった人間を有機物として循環利用する有機転換炉や、海洋生物を繁殖させる海水層といった大きな仕組み。
一般人が住む居住塔と、上級船員のみが住める高級物件の外周壁。
人工降雨装置や人工降雪装置などによって再現された季節。
大きな意味で、「シドニア」で日々を過ごす人々の生活感が感じられるように非常に細かいところまで考証が練られています。
アイキャッチでは「シドニア百景」という名でシドニアの印象的な風景も描かれ、作中でもほとんど出てこないところまで作りぬいた、圧倒的なこだわりを感じられるはずです。
二つ目は、「シドニア」内だからこそ生まれた文化。
少ない食料での生活を可能とするためにシドニアに住む人々は遺伝子改造の結果、光合成ができるようになりました。
食事が週1回程度で済むようになった結果、よりその1回の食事を大切にするための食文化が生まれたり、逆に光合成を一緒に行うことがデートの意味合いになっていたり。
遺伝子改造が現代より進んでいるからこそ、男性でも女性でもない中性や、クローン人間も存在しています。
もちろん、全ての住人が遺伝子改造に賛成しているわけではなく、根強い反対派もいて抗議を続けているような文化も。
他にも特徴的な文化として挙げられるのが「重力」への考え方。
人工的に作られた重力しか知らないシドニア人にとって、重力は憧れや安定の象徴。
重力祭りという大規模なお祭りから、重力麺という名のカップラーメン、重力水という名の水、重力米という名の重力米、他にも重力さつまあげ、重力こんにゃく、重力はんぺん、重力ちくわ、重力たまご、重力だいこん等やりたい放題。
シドニアミームとも言うべき、「シドニア」の世界に生きている人たちだからこそ思いつくようなネタがお話の序盤からどんどん出てきて、その世界観にどんどん引き込まれていきます。
特に第1期は新鮮な「シドニア」の世界観に驚かされることが多く、架空の世界をここまで深く練り込むことができるのかと、作品の奥深さに舌を巻きました。
戦闘と恋愛模様の絶妙なバランス
設定だけを聞くと、凄い細かいところまで考えられた本格的な、いわゆるハードSFと思われるかもしれません。
たしかに戦闘は、『シドニアの騎士』内でしか使われない固有物質の用語もバンバン出てきて、その物質の性質を生かした戦い方をしたり、その物質の進化と共に使う武器もまた進化していったり、かなり本格的な内容になっています。
一方で、主人公・谷風長道を巡る物語はかなりのラブコメ調。
戦闘ではカッコいいところを見せつつも、女の子の気持ちに鈍感な長道の初心なところも楽しむことが出来ます。
恋愛が主体であるからこそ、長道の行動の動機が非常にわかりやすく感情移入しやすいですし、ストーリーもすんなり入ってきます。
嬉しいことも、悲しいことも長道と一緒に一喜一憂できる。
ぱっと見のキャラクターデザインは、最近のいわゆる萌えアニメのキャラクターに比べると可愛いと思えない方もいるかもしれませんが、本編を見て行けば見ていくほど、一人一人のキャラクターが愛おしくなります。
本格SFであるのにもかかわらず、一人一人のキャラクター描写が非常にしっかりしていて、女の子の可愛いポイントが詰まっている。
『シドニアの騎士』だからこそのデートや、報われない思い等、戦闘はもちろんのこと、ドキドキしてしまうような恋愛模様にも要注目です。
オープニングテーマ「シドニア」/ angela
歌うのは『蒼穹のファフナー』、『アスラクライン』、『K』などでお馴染みangelaさん。
作詞はangelaのボーカルのatsukoさん。
作曲はatsukoさんと同じくangelaのギターとキーボードのKATSUさん。
編曲はKATSUさんが担当されています。
一番最初にこの曲を聴いた時は本当に驚きましたね。
いわゆる軍歌をイメージした楽曲なんですが、どうしても軍歌というと古いイメージになりがち。
『シドニアの騎士』の未来感・サイバー感がアレンジメントでしっかりと表現されていて、作中の世界で流れていてもおかしくないような楽曲になっています。
歌詞はまさに宇宙戦に向かう兵士を奮い立たせるような軍歌そのもの。
自分の命よりももっと大事なもののために戦い続けろ。
君が戦って勝ち取るんだ。
そんな強いメッセージがものすごく心に響きます。
自分もここ一番、覚悟を決めて頑張るぞという時に良くこの曲を聴いています。
ちなみにアニメの中では「ウチク茸」という名前のキノコも登場。
もちろんこの曲の歌詞が元ネタです。
アニメ内でも取り上げてしまうほど、この曲は視聴者にも制作側にも大きな影響を与える素晴らしいものでした。
エンディングテーマ 「掌 -show-」/ 喜多村英梨
5月14日発売!喜多村英梨7th Single「掌 -show-」CM-SPOT
歌うのは『まよチキ!』の「Be Starters!」、『パパのいうことを聞きなさい!』の「Happy Girl」、『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』の「凛麗」でお馴染みの喜多村英梨さん。
作詞は同じく喜多村英梨さんと、KAT-TUNさんや『みなみけシリーズ』など多くの楽曲を提供している河合英嗣さん。
作曲・編曲も同じく河合英嗣さんが務めています。
今回の再放送では残念なことに使われませんでした。
キングレコードやスターチャイルドの版権が関係しているのかと思われますが、アニメを見ている側としては単純に久々にエンディングテーマとして聴きたいなあと思っていたので、少し悲しい気持ちになりました。
ダークロック系な楽曲なのですが、『シドニアの騎士』に出てくるワードを非常に上手く使った歌詞の仕掛けが印象的。
そもそもタイトルの"掌"が作中用語の"掌位"から来ています。
掌位とは、本編で戦うロボットの"衛人"同士が手を繋いで輪になることで、推進力を上げるという操縦技術です。
この掌位があったからこそ、救われた命も多く、本作の絆の力の象徴とも言えます。
星白 閑の"閑"、岐神 海苔夫の"岐神"、仄シリーズの"仄"、谷風 長道の"長き道"、衛人の中でも特別な機体である継衛の"継"と"継"、紅天蛾の"紅"、白羽衣 つむぎの"紡ぎ"、光合成など、歌詞は仕掛けのオンパレード。
聴くだけで『シドニアの騎士』のことを思い出せる素晴らしい名曲です。
そんな曲だからこそ、エンディングテーマとして流れるのを聴きたかったですね。
おわりに
本放送の時よりも、再放送の方がより「シドニア」内の文化や軍事考証の細かいところまで注目できたような気がします。
1回見ただけでも面白いですが、その濃厚な世界観は複数回見ることでより一層楽しめること間違いなしです。
第2期の再放送も2020年10月よりスタートしており、再放送を見終えて迎える完結編の劇場版も非常に楽しみ。
これからもしばらく「シドニア」ワールドを堪能したいと思います。
星白めちゃくちゃかわいい!
「シドニア」の世界観のこんなところが好き!
など意見や感想があればコメントしていただけると嬉しいです。
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今後もアニメに関する記事を毎日投稿していきますので、ぜひご覧ください。
また次の記事で!