カスタマイズと試行錯誤。
スポーツやゲーム、釣りなど多くの人を熱中させるアクティビティには、失敗を経ての成功体験が必ずあります。
一度失敗してから、道具を見直したり、何が悪かったのかを考えたりする時間がとても有意義だし、その時間が成功した時の喜びを大きくしてくれます。
そんな釣りの醍醐味が的確に表現された第11話「キス」。
今までの話を見てこなかった人にも、
この話だけ見てもらえればきっと釣りがしたくなる!
と自信を持って言える神回について語っていきたいと思います。
『放課後ていぼう日誌』とは
©小坂泰之(秋田書店)/海野高校ていぼう部
あらすじ
都会から田舎に引っ越してきた鶴木陽渚は、
生き物が苦手なインドア派。
手芸部に入って楽しい高校生活を過ごす予定が、
散歩中に黒岩悠希と出会ったことがきっかけで
謎の「ていぼう部」に入部させられてしまい、
釣りをはじめることに…。
個性的な部員たちに囲まれて、
陽渚の高校生活どうなるの!?
スタッフ
原 作:小坂泰之(秋田書店「ヤングチャンピオン烈」連載)
監 督:大隈孝晴『ゆるゆり』『恋愛ラボ』『干物妹!うまるちゃん』
シリーズ構成:志茂文彦『フルメタル・パニック!』『CLANNAD』『ダンベル何キロ持てる?』
キャラクターデザイン:熊谷勝弘『私たち、らくろじ部!』『ガヴリールドロップアウト』
釣具プロップデザイン:小倉寛之
プロップデザイン:永田杏子
総作画監督:熊谷勝弘、曾我篤史、市原圭子
美術監督:坂下祐太
美術設定:東潤一
美 術:スタジオイースター
色彩設計:真壁源太
撮影監督:桒野貴文
編 集:小野寺絵美
音響監督:高寺たけし
音 楽:櫻井美希『五等分の花嫁』『まちカドまぞく』『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』
音楽制作:フライングドッグ
アニメーション制作:動画工房
製 作:海野高校ていぼう部
キャスト
鶴⽊陽渚:⾼尾奏⾳
帆⾼夏海:川井⽥夏海
⿊岩悠希:篠原 侑
⼤野 真:明坂聡美
小谷さやか:小清水亜美
第11話「キス」
あらすじ
放課後に、のべ竿でウキ釣りをしていた陽渚と夏海ですが、釣りあげたのはバリと呼ばれる魚。
正式にはアイゴという、ヒレに毒がある危険な魚です。黒岩は「バリはうまい」と声をかけるのですが、夏海は磯臭いからとリリースしてしまいます。
バリを食べたい黒岩は、美味しく食べられるよう大野に処理をお願いすると……。
スタッフ
脚本:志茂文彦
絵コンテ:博多正寿
演出:守田芸成
作画監督:上野卓志、立口徳孝、平塚知哉、中島大智、山本恭平、菅原美智代
総作画監督:曾我篤史、菊永千里、海保仁美
ピックアップポイント
バリを釣り上げる陽渚と夏海
©小坂泰之(秋田書店)/海野高校ていぼう部
ある日の放課後、釣りをしていた陽渚と夏海はバリと呼ばれる魚を釣り上げます。
正式な名称は、アイゴ。
ヒレに毒があり、食べると磯臭くて不味いと言うことで二人はバリをリリースします。
見ている人の9割は夏海ちゃんが可愛くてヒレがトゲトゲしているのに気が付かない画像。
全国各地で呼び名が違う魚であり、富山県では"イタイタ"という、見た目の特徴を表した可愛い呼び方がされているようです。
ちなみに"バリ"は"小便"という意味で、その臭い匂いから命名されたそう。
東日本では基本的にこの魚を食する文化はなく、西日本では正しい処理をしたうえで美味しく食べている地域も多いそうです。
正しい処理方法
©小坂泰之(秋田書店)/海野高校ていぼう部
釣れた後の処理をきちんとやれば美味しいと語る⼤野先輩。
棘のあるヒレをハサミで落とし、頭から背骨までハサミを入れ、お腹の方に割くとこのようにキレイに腸が取れます。
釣った後すぐにこの処理をすれば、内臓から身へ匂いが移らず、お刺身で美味しく食べられる。
その美味しさは"盛り付けた皿を舐めるほどうまい"の意味で、
「アイゴの皿ねぶり」という単語があるほど。
正しい処理を知っていれば、さっきまで外れだった魚が大当たりになる。
地域によっては呼び方はもちろん、食用か、食用じゃないかまで変わってくる。
知識の差で魚の見え方が全然違う、アバンから釣りの面白さが詰まった描写でした。
鶴木家の食卓
©小坂泰之(秋田書店)/海野高校ていぼう部
釣ってきた大漁のアイゴを手に、家に帰る陽渚。
ちょっといぶかしげなお父さんにドヤ顔で受け売りの知識を語る陽渚も可愛いです。
食卓には、陽渚が釣ってきたアイゴの刺身と、近所の人からおすそ分けいただいたキスの天ぷらが。
自分も子供の頃、親戚に釣りが大好きな人がいて、よく魚をおすそ分けしてもらっていたのを覚えています。
食べきれないからという理由でもらっていたと思いますが、結構特徴的な文化ですよね。
そんな経験もあって釣りが趣味な人はかなり温厚で優しい人が多いイメージ。
陽渚はキスの天ぷらのおいしさに感動。
翌日にはていぼう部でキスを釣ろうと提案するのでした。
疑似餌という選択肢
©小坂泰之(秋田書店)/海野高校ていぼう部
意気揚々と提案をした陽渚でしたが、キス釣りは基本"虫エサ"での釣り。
虫が苦手な陽渚には、もうそれだけでキス釣りをしない理由として十分です。
そんな陽渚に「たこひげ屋」の店長は疑似餌を紹介。
青イソメに確かにそっくりではあるのですが、生きて動いているのとそうでないのとでは虫が嫌いな人にとってはかなり大きな差でしょう。
自分も虫がめちゃくちゃ苦手なので、釣りに行った際はできればこういった疑似餌を使いたいなあと思います。
仕掛け選び
©小坂泰之(秋田書店)/海野高校ていぼう部
釣りへの理解を深めてもらうため、言い出しっぺの陽渚にキス釣りの仕掛け準備を任せようとする部長。
しかし釣りの道具や仕掛けはあまりにも豊富。
困り果てる陽渚でしたが、やっぱりそういう時は店長に聴くのが一番。
指をさしているだけで夏海ちゃんが可愛い。
魚が海のどのあたりにいるのか、仕掛けの絡み防止、魚の重さや波の大きさ、魚ごとの針の食いつき方、魚の大きさ等によって変わる仕掛け選び。
目標の魚に合わせて仕掛けをカスタマイズするのは非常に面白そうだなあと感じましたし、釣りの奥深いところですね。
いざ釣りへ!
©小坂泰之(秋田書店)/海野高校ていぼう部
釣りの準備は万端。
部員一同スポットの海水浴場へ向かいますが、足は砂でジャリジャリ。
裸足になったついでに釣りを忘れて楽しく遊びます。
釣りだけじゃなくこういう可愛らしい描写もこの作品の良いところですね。
夏海ちゃんの貴重な裸足も。
エサの動かし方
©小坂泰之(秋田書店)/海野高校ていぼう部
疑似餌に苦戦しながらもなんとか仕掛けの完成。
今度は投げ方と、エサの動かし方。
普段は適当な部長ですが、釣り糸のゆるみ、リールを巻く速度、竿の持ち方など懇切丁寧な解説をしてくれるのはやはり釣りが好きだからなのでしょう。
ただしこれは"虫エサ"での釣り方だという前提。
疑似餌の場合も同じようにやって上手くいくかはわかりません。
釣れない
©小坂泰之(秋田書店)/海野高校ていぼう部
部長に教わった通りの釣り方でチャレンジし続けた陽渚。
しかし結局一匹も釣れず、完全に眼から光が失われています。
どうして釣れないのか、どうすれば釣れるようになるのか試行錯誤を重ねるのが大事という部長。
虫エサには虫エサの、疑似餌には疑似餌の釣り方があるはずだからそれを調べてまた明日釣ろうと提案します。
その言葉を受けて陽渚はお父さんのパソコンで、虫エサと疑似餌の違いや、キスの特徴など今まで知らなかった情報をどんどん仕入れていきます。
©小坂泰之(秋田書店)/海野高校ていぼう部
みんな工夫しながら、魚や釣りと全力で向き合って試行錯誤している。
そんな先人たちを見て、さっきまでもうキス釣りを諦めようと思っていた陽渚もこの表情。
自分もなんだかちょっと涙ぐんでしまいました。
「あ~早く明日になれ!絶対にキス釣ってやるぞ~!」
今日のひとこと
©小坂泰之(秋田書店)/海野高校ていぼう部
海の無い県に住んでいる自分にとっては今回の海水浴場で釣りをしている姿はかなり意外でした。
確かにあそこで釣りをした後、釣り針や糸を置いていってしまったら海水浴に来た人が絶対怪我しますよね。
最近は釣りに行きたい欲が凄いので、釣りに行った際は後片付けにもしっかり気を付けようと思います。
おわりに
魚や釣り場に合わせた仕掛け選びの事前準備や、竿やエサの動かし方の実践など考えることも工夫する余地も無限にある釣り。
そんな釣りの面白さが30分にギュギュっと凝縮されていた第11話。
いよいよ来週は最終回。
今回の初めての失敗を受けて陽渚がどんな風に成長するのか今から楽しみです。
釣りしてみたくなった!
夏海ちゃんの足で踏まれたい!
など意見や感想があればコメントしていただけると嬉しいです。
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今後もアニメに関する記事を毎日投稿していきますので、ぜひご覧ください。
また次の記事で!