「死に戻り」。
ナツキ・スバルが使用する能力で、自らの命を犠牲に過去の一定地点まで戻ることができ、そこから未来をやり直すことが出来ます。
第1期では辛い描写はありながらも、便利な能力として深い理解のないまま何度も使用していました。
今回の第2期前半は、「死に戻り」をとことんフィーチャー。
便利さの裏でスバルはもちろん、多くの人の心を蝕む「死に戻り」の真実に触れた本作について熱く語っていこうと思います。
ちなみに自分は原作を読んでいないので、アニメより先のネタバレはありません。
『Re:ゼロから始める異世界生活』とは
TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』2nd season PV|2020.7.8 ON AIR START
あらすじ
俺が必ず、お前を救ってみせる。
魔女教大罪司教「怠惰」担当ペテルギウス・ロマネコンティを打倒し、エミリアとの再開を果たしたナツキ・スバル。
辛い決別を乗り越え、ようやく和解した二人だったが、それは新たな波乱の幕開けだった。想像を超える絶体絶命の危機、そして襲い来る無慈悲な現実。
少年は再び過酷な運命に立ち向かう。
スタッフ
原作:長月達平 MF文庫J「Re:ゼロから始める異世界生活」/KADOKAWA刊
キャラクター原案:大塚真一郎
監督:渡邊政治『わかば*ガール』『グランベルム プリンセプスのふたり』
シリーズ構成:横谷昌宏『ケロロ軍曹』『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』『女子高生の無駄づかい』
キャラクターデザイン・総作画監督:坂井久太『苺ましまろ』『STEINS;GATE 』『selectorシリーズ』
モンスターデザイン:小柳達也
アクション監修:大田和寛
プロップデザイン:岩畑剛一、鈴木典孝
デザインワークス:加藤千恵、コレサワシゲユキ、灯夢、坂井ユウスケ
美術設定:青木 薫(美峰)
美術監督:高峯義人(美峰)
色彩設計:坂本いづみ
撮影監督:峰岸健太郎(T2studio)
3Dディレクター:軽部 優(T2studio)
編集:須藤 瞳(REAL-T)
音響監督:明田川 仁
音響効果:古谷友二(スワラ・プロ)
音楽:末廣健一郎『ゴールデンカムイ』『炎炎ノ消防隊』『ダーウィンズゲーム』
音楽制作:KADOKAWA
アニメーション制作:WHITE FOX
製作:Re:ゼロから始める異世界生活2製作委員会
キャスト
ナツキ・スバル:小林裕介
エミリア:高橋李依
パック:内山夕実
レム:水瀬いのり
ラム:村川梨衣
ベアトリス:新井里美
ロズワール・L・メイザース:子安武人
ガーフィール・ティンゼル:岡本信彦
オットー・スーウェン:天﨑滉平
フレデリカ・バウマン:名塚佳織
ペトラ・レイテ:高野麻里佳
リューズ・ビルマ:田中あいみ
エルザ・グランヒルテ:能登麻美子
エキドナ:坂本真綾
ピックアップポイント
描かれる「死に戻り」の真実やジレンマ、徐々に見えてくる真相
第2期前半は「死に戻り」を巡る物語。
スバルは何度も何度も惨たらしい死を迎え、そしてその度に「死に戻り」をし、世界をやり直しました。
試練に挑むエミリアが弱ってしまったり、ロズワール邸が襲撃されたり、三大魔獣のうちの一匹、大兎に食い散らかされたり、ガーフィールの妨害を受けたり。
あちらを立てればこちらが立たず。
何度も何度も周回を繰り返し、徐々にすり減っていくスバルを見るのはかなり辛いものがありました。
そんなスバルにさらなる絶望が襲いかかります。
『強欲の魔女』 エキドナの第二の試練を受けたスバルは、過去に違う選択をしていたら生まれていたかもしれない「もしも」の世界を見せられ、あることを考え始めてしまいます。
「死に戻り」をするたび、スバルが死んだ世界の人々は犠牲になっている。
自分のやっていたことは、間違った未来を修正し、正しい未来を勝ち取るという正義の行いだと思っていたスバルにとってこの気付きは、彼の心に非常に重くのしかかりました。
もう誰も犠牲にしない。
自分一人だけが傷付けばいい。
最後の最後、自分をもっと大切にして欲しいと説得は受けましたが、第2期の前半はとにかくスバルが苦しみ続けるお話でした。
そしてもう一つ、非常に重要なこととして描かれたのはロズワールの正体。
ロズワールはスバルの「死に戻り」の能力を知っており、エミリアのために全てを投げ出す存在になるように、様々な仕掛けをしていた張本人だったのです。
そのためだったらロズワール自身の命も厭わない。
普段ふざけた口調で余裕のある彼だからこそ、口調が戻り、圧倒的な狂気を感じさせる子安さんの演技には圧倒されました。
この大変厄介な存在であるロズワールにどう対応するのかは、2期後半の大きな見どころになると予想されます。
大罪の魔女大集合
放送前のPVでは、『強欲の魔女』 エキドナがついに登場するという情報が出てきて大いに盛り上がりました。
当時の記事もありますので、気になる方はこちらの記事をご覧ください。
放送が始まり、終盤になってみれば大罪の魔女たち大集合。
個性的な彼女たちを一人一人見ていきましょう。
坂本真綾さん演じる『強欲の魔女』エキドナ。
第2期の前半では出番が非常に多く、もはやメインヒロインと言って良いほど。
スバルの気を引くように非常に可愛らしく振る舞う、一見無害な女の子のようにも感じられますが、実際は知識欲の権化。
知らないことを知るためだったら、人間のふりをし、ベアトリスを犠牲にし、事実を隠し、嘘もつく。
絶対に心から信用してはならない、恐ろしい魔女でした。
小松未可子さん演じる『憤怒の魔女』 ミネルヴァ。
暴力が治療行為になるという特殊な権能を有しており、スバルを助けるためにスバルを攻撃する描写は皮肉が効いていました。
『憤怒の魔女』ということで、感情が非常に表に出やすいですが、それも愛情の裏返しだったり。
魔法少女みたいな可愛らしい見た目や、エキドナと違って裏表なさそうな雰囲気が魅力で、きっと多くの視聴者がミネルヴァのことを好きになったでしょう。
中原麻衣さん演じる『怠惰の魔女』 セクメト。
"怠惰"の名にふさわしく、いつでもどこでも横になっていました。
露出多めでえっちな身体つきをしており、セクメトさんと毎日堕落した生活送りたいなあと素直に思いました。
寝たままミネルヴァを地面に叩き伏せているような描写もあり、重力を操る権能を持っているのかと予想できますが、その詳細は謎に包まれたまま。
本気を出したらどれほど強いのか、想像もできません。
東山奈央さん演じる『暴食の魔女』 ダフネ。
歩く棺に自らを拘束するちょっと変わったロリ枠。
白鯨、大兎、黒蛇などの魔獣を創り出した張本人であり、食欲を満たすことに対して非常に貪欲です。
色々な魔女がいる中でも特に異常性が強く、その見た目も相まって、魔女の底知れなさい恐ろしさの象徴と言えるキャラクターです。
久野美咲さん演じる『傲慢の魔女』 テュフォン。
愛くるしい声と小さい体、褐色の肌に緑の髪とマスコット的で見た目は非常に可愛らしい魔女。
その一方で、相手が「アクニン」で、罪の意識があるなら容赦なく鉄槌を下すという、かなり恐ろしい一面も持ち合わせています。
いわゆるパワー系ロリ。
こういうキャラクターが大罪の魔女の中でも最強、みたいな設定大好きなんですが、その強さに関してはまだまだ未知なところが多いです。
石見舞菜香さん演じる『色欲の魔女』 カーミラ。
小さめな体にピンクの髪、弱気な表情に巨大なマフラーと、全く"色欲"っぽくない普通の可愛らしい女の子です。
他の魔女に比べるとまさに普通といった感じで、今回のアニメを見ただけではなんでこの子が魔女なんだろうと思うほど。
後半では可愛い見た目の裏に隠された恐ろしい権能があらわになるかもしれません。
『嫉妬の魔女』 サテラ。
担当声優は非公表となっており、一体誰が声を当てているのか全く分かりません。
黒いフードの下には、綺麗な銀髪が隠れており、エミリアにそっくり。
エミリアが迫害を受けていたのも納得がいきます。
明らかに他の魔女とは一線を画す邪悪な雰囲気を身にまとっており、その名の通り恐ろしいほどの嫉妬心を抱いている様子。
それほどの強い感情を抱くほどにスバルを愛しており、その愛故に自らの犠牲を厭わないスバルに優しい言葉をかけるシーンも描かれました。
たくさんの魔女が終結したものの、そのほとんどの権能や目的は未知数。
今後一人一人のキャラクターがどれだけ深ぼられていくか非常に楽しみです。
オープニングテーマ「Realize」/ 鈴木このみ
TVアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」2nd season OPテーマ「Realize」アニメMV
歌うのは第1期1クール目のオープニング「Redo」や、数々のタイアップ楽曲を持つ日本を代表するアニソンシンガー・鈴木このみさん。
作詞・作曲・編曲は『ダンベル何キロ持てる?』の「お願いマッスル」や、『アニマエール!』の「ジャンプアップ↑エール!!」で知られる篠崎あやとさんと、篠崎さんとの共作が非常に多い橘亮佑さんのタッグが担当しています。
第1期の頃から、本編に出来るだけ尺を取るため省かれがちなオープニングでしたが、なんと第2期前半でこの曲が流れた回数は、
3回!
こんなにも流れなかったオープニングテーマは長いアニメの歴史でも、初めてかもしれません。
3回しか流れなかったこの楽曲ですが、『Re:ゼロから始める異世界生活』を語る上でなくてはならない楽曲として、語り・歌い継がれていく事でしょう。
だって歌詞があまりにも作品に寄り添い過ぎている。
歩き続けた"今"を消しては
見ないように塞いだ"過去"
切り捨てられてしまった可能性
不可逆で再生は二度と叶わない
出典:「Realize」/ 鈴木このみ
Aメロからいきなり第2期前半の大きなテーマである、「死に戻り」のジレンマそのものが歌われています。
放送前に初めて聴いた時は、どういう意味の歌詞なのかあまり理解できていませんでしたが、話が進むにつれ1フレーズ1フレーズの内容が否応なく心に入り込んできてスバルの宿命の重みを実感しました。
"今"と"過去"、"可能性"と"不可逆"という対比する歌詞の構成も美しいです。
目指した未来へ
全ての君を背負って
辿り着いて見せるから
託された願いを
終わらせて今度こそは全て守るよ
最後の運命を掴めRealize
「Realize」/ 鈴木このみ
始めてサビを聴いた時に感動したのは"託された願い"。
第1期1クール目のオープニング「Redo」の歌詞にある、"次の僕に託したよ"、"確かに僕は託された"から来ているこのワード。
「Redo」の作詞はミズノゲンキさんが務めているため、「Realize」の篠崎あやとさん、橘亮佑さんとは違うのですが、それでも作品を通じて紡がれた大切な言葉は非常にエモーショナルです。
しかし、アニメを見て一番この歌詞が凄いなあと思ったのは、"全ての君を背負って"。
アニメを見るまで、
"全ての君"って何だろう?
と思っていましたが、まさか救えなかった世界も含めたという意味での"全ての君"だったとは。
アニメを楽しめば楽しむほど、楽曲の理解が進む、まさにアニソンの理想形と言えるオープニングテーマでした。
後半の主題歌はたくさん流れると良いですね。
エンディングテーマ「Memento」/ nonoc
TVアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」2nd season EDテーマ「Memento」アニメMV
歌うのは『Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow』の「White White Snow」や、『Re:ゼロから始める異世界生活 氷結の絆』の「雪の果てに君の名を」など、テレビ以外のところで歌唱していたnonocさん。
作詞はOxTやMYTH & ROIDに多くの詞を提供しているhotaruさん。
作曲・編曲はOxT、MYTH & ROIDのメンバーであり、日本を代表する作曲家のTom-H@ckさんが担当しています。
タイトルの「Memento」は死を忘れるなという意味の警句。
当たり前のように自らを犠牲にし、死に戻りを繰り返すスバルが描かれる本作にこれほどぴったりの楽曲タイトルがあるでしょうか。
また、オープニングでもエンディングでも本編でも映っているたくさんの蝶々は"バタフライ・エフェクト"を意識したものでしょう。
"バタフライ・エフェクト"とは、本来は気象学の用語ですが、些細な過去の出来事が未来に大きな影響を及ぼすという過去と未来の因果関係を表す用語として使わています。
スバルが「死に戻り」で過去に起こした変化が、現在の結果に大きな影響を及ぼしているんだということが映像からも伝わってきますが、その蝶々も非常に意味深。
エンディング映像ではベアトリスの手にだけ蝶々が止まっていません。
とある人物が禁書庫に現れるのを待ち続けていたベアトリス。
どれだけ待ち続けてもその人は来ないという悲しい運命は、スバルたちが戦う過去と未来の因果の中に含まれていないのです。
そしてベアトリスの眼の中に蝶々の姿が。
自分で自分の運命を閉じ込めてしまっているという意味にも、ベアトリスの想い次第で自身の運命を変えられるという意味にも解釈することが出来ます。
そこまで考えて元から眼の中に蝶々がいるデザインなんだと思うと本当に凄いなあと感心しすぎて言葉もありません。
何度でもドアを 閉じた記憶を 叩いて 叩いて
凍てついた涙 溶かすものなら その優しさ
何度でも明日を 夢見ることを 捨てたりしないで
塞がれた道が 命の跡が 続きますように
出典:「Memento」/ nonoc
エキドナ視点、スバル視点、エミリア視点、ラム視点と、どの視点から解釈も出来る歌詞ですが、個人的にはやはりここはベアトリス視点。
禁書庫に閉じこもり、未来に絶望した彼女がスバルと出会って感じた光明、諦めかけていた一生にわずかに見える希望、そんな想いをこのサビの歌詞から強く感じました。
第2期前半では解決されなかったベアトリスの問題。
後半でどのような展開を迎えるのか非常に楽しみです。
配信情報
dアニメストア、ABEMAなど定額配信サービスで好評配信中です。
見れば見るほど、1シーン1シーンに込められた想いが感じ取れる本作。
ぜひ何度も繰り返してご覧ください。
おわりに
途中途中で記事を書こうとは思っていたんですが、あまりの展開の目まぐるしさに毎回毎回新鮮に驚いていたら、あっという間に1クール終わってしまいました。
後半の放送開始は2021年の1月を予定しているのであと2か月ほど。
まだ見ていない人はこの期間で一気に見て、一度見た人は何度も見て、後半に向けて万全の準備を整えましょう。
自分は魔女の中でこのキャラクターが一番好き!
後半が楽しみすぎて夜も眠れない!
など意見や感想があればコメントしていただけると嬉しいです。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。もし記事が良かったなと思ったらSNSへのシェア、Twitterのフォロー等、ぜひともよろしくお願いいたします。
今後もアニメに関する記事を毎日投稿していきますので、ぜひご覧ください。
また次の記事で!