レンタル彼女。
人恋しくて耐えられない人にとっての救済手段の一つです。
一見、本当の恋とは縁遠そうなビジネスですが、レンタルする側とされる側の視点を通してだからこそ描かれる本当の気持ち。
可愛い登場キャラクターはもちろん、"人を好きになること"、"本当の自分"といったテーマがしっかりと描かれた名作『彼女、お借りします』。
その全体的な総括や、キャラクターの魅力を第12話「告白と彼女 -コクカノ-」を通して語っていきたいと思います。
『彼女、お借りします』とは
TVアニメ『彼女、お借りします』本PV|2020年7月10日放送開始
あらすじ
20歳のダメダメ大学生・木ノ下和也。
初めての彼女と一度だけキスをしたが、たった1ヶ月でフラれてしまった。「あぁ…やだ…もうなんか全部ヤダ…」
やけっぱちになった和也は、“ある方法”を使って、女の子とデートをすることに。
待ち合わせ場所に行くと、「君が和也君、だよね?」
さらさらの黒髪を耳にかけながら、
和也の顔を伺う美少女、水原千鶴は微笑みかけた──。たった一度のレンタルで、輝き出すリアルがある!
ラブ×ドキMAXの無鉄砲ラブストーリー、開幕!
スタッフ
原作:宮島礼吏(講談社「週刊少年マガジン」連載)
監督:古賀一臣『雨色ココア Rainy colorへようこそ!』
シリーズ構成:広田光毅『おとぎ銃士 赤ずきん』『幕末Rock』『ゾイドワイルド』
キャラクターデザイン:平山寛菜
色彩設計:石黒文子
美術監督:秋葉みのる
撮影監督:坂井慎太郎
編集:中葉由美子
音楽:ヒャダイン『電波女と青春男』『宮河家の空腹』
音響監督:髙桑 一
アニメーション制作:トムス・エンタテインメント
キャスト
水原千鶴:雨宮 天
七海麻美:悠木 碧
更科瑠夏:東山奈央
桜沢 墨:高橋李依
木ノ下和也:堀江 瞬
木ノ下 和:野沢由香里
木部芳秋:赤坂柾之
栗林 駿:梶原岳人
第12話「告白と彼女 -コクカノ-」
TVアニメ『彼女、お借りします』第12話次回予告(WEB限定版)
あらすじ
千鶴を予約したのは麻美だった!千鶴がレンカノであるとバレていたのだ。
カラオケ店に入り、千鶴に和也とのことを尋ねる麻美。
一方、バイト中の和也は偶然2人が店内を歩いていくのを見かけ、様子を伺う。
そんな中、麻美は千鶴にさらに質問を投げかける──「レンタル彼女やってる間に、相手を好きになっちゃったりしないのかなって」。
スタッフ
脚本:広田光毅
絵コンテ:古賀一臣
演出:古賀一臣
作画監督:野本正幸、飯田清貴、加藤 壮、時矢義則、ウクレレ善似郎、高橋敦子、平山寛菜
ピックアップポイント
瑠夏ちゃんとのデート
千鶴はレンタル彼女を辞めモデルに専念することを決意。
和也もいよいよ千鶴との関係を終わらせ、瑠夏の想いに応えようと思い切ってデートに出かけます。
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』の結衣と同じく、東山奈央さんが演じる結ばれない女の子の一人です。
本作では唯一あからさまに和也にほれ込んでいる女の子。
黒髪ショートが非常に可愛らしく、元気いっぱい・快活なところが非常に魅力的で、
瑠夏ちゃんを選ばない理由が無い。
という男性も多いことでしょう。
人によっては愛が重すぎるという感想を持つ人もいるかもしれませんが、個人的にはちょうど良い重さかなと感じておりその笑顔に大変癒されました。
「告白バンジージャンプ」/ halca
halca 『告白バンジージャンプ』Music Video (TVアニメ『彼女、お借りします』エンディングテーマ)
作詞・作曲:前山田健一 編曲:板垣祐介
作詞・作曲は本作で劇伴も務めているヒャダインこと前山田健一さん。
編曲はAKB48グループや、ハロー!プロジェクト、アニメソング等多くの楽曲を提供してきた板垣祐介さんが務めています。
普段はエンディングテーマですが、最終回はオープニングとして使用されたのでここで紹介。
イントロ開始早々これヒャダインさんの曲だなあとわかるぐらいヒャダイン節全開の楽曲。
ハイスピードに展開しつつも、キメるところはしっかりキメがある癖になるメロディです。
歌詞は告白したいけどできない女の子のもどかしい気持ちが詰まった内容。
告白する勇気は、まるでバンジージャンプでドーンって飛ぶようなものだという例えや、"気付いてよ 気付きなさいってば"という無茶な想いはものすごく共感度合いが高いです。
告白したことないですけど。
「そのままが可愛い」って
君は言ったけど
そのままってなんなのよ
「私」ってなんだろ
出典:「告白バンジージャンプ」/ halca
このあたりの歌詞は本作のテーマでもある、「本当の好き」・「自分らしさ」というところに直結する内容になっており、聴くたび『彼女、お借りします』で描かれた葛藤する恋心が思い浮かびます。
早くライブで生で聴きたいですね。
瑠夏ちゃんへの告白…
意を決して瑠夏に告白しようとする和也。
お試しの恋愛関係だった二人ですが、正式に付き合ってほしいと言おうとしたその時、カラオケ店の通路を通る千鶴と麻美の姿が…
前話を覚えていない人向けに説明すると、和也と墨がレンタル彼女の特訓として一緒にいたところを麻美に発見され、怪しんだ麻美がレンタル彼女と検索すると新人の中で人気1位の千鶴を発見。
自らが千鶴をレンタルし、たまたま和也と瑠夏が働いているバイト先のカラオケ店に来たという流れです。
なんという偶然、なんというタイミング。
のぞき見る和也、ぶつかり合う千鶴と麻美
どうしても二人が気になり、部屋のドアを開け、盗み聞きをする和也。
「犯罪だろ。」
「絶対気付かれるじゃん。」
「働け。」
フィクションに対するこういう野暮なツッコミは無しです。
やっぱりフィクションの青春に軽犯罪はつきものですからね。
麻美は千鶴がレンタル彼女としてどんなことをしているのか、そして和也と別れるように進言。
和也はその一部始終を聴いていましたが、結局部屋に入ることはありませんでした。
歩道橋の戦い
カラオケ店を後にした二人。
和也はどうしても二人が気になってしまい、バイトを早退。
歩道橋の上で千鶴と麻美の最後の戦いが始まります。
千鶴は麻美に和也がどれほど麻美のことを考えているかを話し、その気持ちを確かめ、和也のことを真剣に考えるように訴えかけます。
「レンタル彼女やってるとわかるんです。人の恋心はすごく尊いものだって、誰かをちゃんと好きになるって実は難しいことなんだって。」
「あなたは和也さんの気持ちに本気で向き合ったことがありますか。彼の恋心を真剣に受け止めようとしたことはありますか。」
「この人が私を一生幸せにしてくれる人かもしれないって、考えたことはありますか。」
レンタル彼女という真剣な人の恋心とは縁遠そうな仕事が設定の本作。
一番人気のレンタル彼女として、色々な人の強い想いに触れてきた千鶴さんだからこそ感じた本気の恋心の尊さ。
"人を好きになる"とはどういうことなのか真剣に考えさせられる、本作のテーマにぴったりの言葉を雨宮天さんが熱演で紡ぎました。
麻美の答え
「うっざ、私と和くんの問題でしょ。」
残念ながら麻美には千鶴の言葉は届きませんでした。
いや、正確に言えばきっとこの言葉は届いていて、二人が別れた後に一人で文句を言いながらこの言葉と向き合っていたはずです。
それでも千鶴さんの前で一切弱みを見せないのは麻美さんの凄いところ。
徹底的な悪女っぷり、和也のことが好きではないのに人に取られるのが嫌だという執着心、そのためなら女の武器をすべて使って誘惑する計画性、裏アカウントで毒を吐き続ける陰湿さ、どこをとっても本当に大好きなキャラクターでした。
悠木碧さんの陰と陽に振り切った演技も素晴らしい。
こんな女性にもてあそばれて、いらなくなったら捨てられたいものです。
ちなみに2018年のPVでは千鶴さんと麻美さん、どちらも悠木碧さんが演じているんですよね。
演技幅の広さが恐ろしい。
貴重なPVがこちら。
【悠木碧さんが歌ってみた】『彼女、お借りします』第5巻発売記念!PV公開!
二人のやり取りをのぞき見していた和也ですが、結局二人の間に割って入ることはありませんでした。
部屋の前で二人
部屋の前で千鶴を待っていた和也。
今日のやり取りを見ていたことを話すと、千鶴は彼女を作ってあげられなくてごめんと謝ってきました。
千鶴も麻美の言葉を受け、和也に彼女が出来ないことに責任を感じていたのです。
自分のために麻美に正面から向き合ってくれた千鶴。
過去の楽しい思い出も溢れんばかりに蘇り、和也は一言言い放ちます。
「君が良い、君が。」
そして流れるエンディング!
「センチメートル」/ the peggies
the peggies「センチメートル」Music Video
作詞・作曲:北澤ゆうほ 編曲:the peggies、江口亮
作詞・作曲はthe peggiesでボーカルを務める北澤ゆうほさん。
編曲はthe peggiesに加え、いきものがかりさん、ポルノグラフィティさん、LiSAさんなど多くのアーティストに楽曲を提供している江口亮さんが務めています。
ポップで可愛いバンドサウンドに和也の気持ちが歌詞としてストレートに乗ったラブソングです。
中毒性は2020年夏アニメのアニソンの中でもピカイチ。
頭の"運命なんて言えない"は非常に印象的で、ここまで『彼女、お借りします』を見てきたからこそ運命については考えてしまいますよね。
大人になればなるほど恋愛は打算的になっていって、和也も自分の欲望や見栄のための恋愛感情を"運命なんて言えない"と思っていることでしょう。
それでも、墨さんでもなく、瑠夏さんでもなく、麻美さんでもなく、千鶴さんを選んだ。
色々なことがあったけれど、自分の心の中の一番の人を選んだ。
その瞬間にこの曲が流れたのは本当にエモーショナル。
行きついた先でそれでも思い続けた人が運命の人。
ああそうか好きになるってこういう事なんだね。
と、思わず納得してしまう素晴らしい最終回エンディングでした。
言い逃れする和也
このまま大団円かと思いきや、言い逃れを始める和也。
「レンタル彼女としてレンタルするなら君が良いと思って」、と自分の発言をごまかします。
視聴者一同これを待っていましたね。
第1話から貫き通してきたダメ男っぷり。
最終回でも肝心なところで一切前に出ず、よりダメ男っぷりを際立たせてくれました。
やっぱりこの作品は和也がダメ男だからこそ感情移入出来るのであって、カッコよく決めちゃうのはなんか違うよねという雰囲気をずっと感じていました。
その期待に恥じない姿に思わずガッツポーズ。
全国のダメ男の代表として、その責務を全うしました。
ちゃんと感付いていた千鶴
和也との話の後、ドアの前に座り込み一言。
「ばーか。」
千鶴さんは本当に素敵な女性ですね。
強気でツンケンするところもあれば、こういった女性らしい部分もある。
理想の彼女であろうとする姿勢は常に眩しかったし、和也のために本当に色々なことをしてくれました。
"完璧さ"を演出しながら、"人間味"も感じられる。
特に最終回は"本当の千鶴"がしっかりと描かれていて、キャラクターの深みがさらにもう一段増したと思います。
ほぼハーレム状態の和也が、それでも千鶴さんを選んだことに納得できる、魅力あふれる女性でした。
墨さん
墨のアニメでのメインの出番は最終回1話前の第11話「真実と彼女 -シンカノ-」。
和也に恋心を抱く描写もありましたが、どちらかというとレンタル彼女という存在を麻美が知るためにストーリーに動かされた感が少し否めませんでした。
恥ずかしがり屋な彼女が今後どのように変わっていくのか、その様子はきっとこの先で描かれるはず。
2期の放送を楽しみに待ちましょう。
麻美さんパパ活!?
エンディングではお金持ちそうなおじさんにブレスレットを買ってもらった感じの麻美の描写が。
もしかしてパパ活ですかーッ!?
パパ活とレンタル彼女のどっちが上なのかは正直わからないですが、きっとここにも凄いストーリーがあるに違いありません。
レンタル彼女の千鶴さんを煽りまくった麻美さんが一体どうなってしまうのか、ここも2期で描かれるのが非常に楽しみなところです。
「君を通して」/ 雨宮天
作詞:やまし 作曲・編曲:宮川麿
作詞はこの曲以外に情報が出てこないやましさん。
作曲・編曲は麻倉ももさんの「トキメキ・シンパシー」や、STARMARIEさんの「私の居ない世界で君は明日を迎えられる?」を手掛けた宮川麿さんが担当しています。
最終回の一番最後に流れる挿入歌。
名義は水原千鶴(CV:雨宮天)ではなく、雨宮天。
『七つの大罪』の「誓い」や「Regeneration」など、雨宮天さんは自分の名義でほぼキャラクターソングと言って差し支えない作品に寄り添った楽曲を出しており、この曲もその一つと言えるでしょう。
歌詞はもう本当に水原千鶴さんの気持ちそのもの。
君が ワタシを通して
前を向けたら いいな
そう思って 過ごしていた
借り物の わたしだけど
前に 進めたらいいなって
なんて二人だから?
もう少し 少しだけ
居てあげる
出典:「君を通して」/ 雨宮天
一番のサビの歌詞はレンタル彼女として真剣に彼女になりきる千鶴さんの想いが詰まっています。
ただし、この曲のタイトルは「君を通して」。
フル尺では、千鶴さんが和也の影響を受けて前に進めている、自分だけがあなたの側にいたい、そんな気持ちが歌われています。
和也が千鶴さんに救われる話が非常に多く描かれたアニメでしたが、千鶴さん自身も和也の不器用だけどまっすぐな想いに大きく影響を受けていました。
そんな『彼女、お借りします』で描かれた二人の関係性が一つの楽曲として昇華した、本当に素晴らしい挿入歌です。
この曲で第1期が締めくくられて本当に良かった。
おわりに
ということで、第1期放送終了と同時に第2期決定のアナウンス。
上の方にも書きましたが、めちゃくちゃ重要な伏線をしっかり貼っていましたし、まだまだあるであろう、溢れんばかりのキャラクターの魅力。
どんなストーリーが展開していくのか、今から放送が楽しみでなりません。
自分も麻美さんが一番好きだった!
2期ではこんな話が見たい!
など意見や感想があればコメントしていただけると嬉しいです。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。もし記事が良かったなと思ったらSNSへのシェア、Twitterのフォロー等、ぜひともよろしくお願いいたします。
今後もアニメに関する記事を毎日投稿していきますので、ぜひご覧ください。
また次の記事で!