一度成功を収めた漫画家が作る、漫画をモチーフにした作品ってどれも面白いですよね。
今回は、『かってに改蔵』、『さよなら絶望先生』、『じょしらく』などで成功を収めた久米田康治先生の漫画が原作の『かくしごと』のアニメについて、その魅力をお伝えできればなと思います。
『かくしごと』とは
© 久米田康治・講談社/かくしごと製作委員会
あらすじ
隠し事は、何ですか?
ちょっと下品な漫画を描いてる漫画家の後藤可久士。
一人娘の小学4年生の姫。
可久士は、何においても、愛娘・姫が最優先。
親バカ・可久士が娘・姫に知られたくないこと。
それは…
自分の仕事が『漫画家』であること。
自分の"かくしごと"が知られたら娘に嫌われるのでは!?
"愛と笑い、ちょっと感動のファミリー劇場がはじまる――"
スタッフ
原作:久米田康治『かくしごと』(講談社「月刊少年マガジン」連載)
監督:村野佑太『ブレイブビーツ』『ドリフェス!』『ぼくらの7日間戦争』
シリーズ構成・脚本:あおしまたかし『みなみけ』『ゆるゆり』『ガヴリールドロップアウト』
キャラクターデザイン:山本周平『あにトレ! EX』『バトルガール ハイスクール』『ソラとウミのアイダ』
総作画監督:西岡夕樹、遠藤江美子、山本周平
プロップデザイン:ヒラタリョウ
美術監督:本田光平
美術設定:岩澤美翠
美術:草薙
色彩設計:のぼりはるこ
撮影監督:佐藤哲平
撮影:旭プロダクション白石スタジオ
編集:白石あかね
音楽:橋本由香利『とらドラ!』『ゴールデンタイム』『社長、バトルの時間です!』
音響監督:納谷僚介
音響制作:スタジオマウス
音楽制作:エイベックス・ピクチャーズ
アニメーション制作:亜細亜堂
製作:かくしごと製作委員会
キャスト
後藤可久士:神谷浩史
後藤 姫:高橋李依
十丸院五月:花江夏樹
志治 仰:八代 拓
墨田羅砂:安野希世乃
筧 亜美:佐倉綾音
芥子 駆:村瀬 歩
六條一子:内田真礼
ナディラ:加藤英美里
マリオ:浪川大輔
古武シルビア:小澤亜李
東御ひな:本渡 楓
橘地莉子:和氣あず未
千田奈留:逢田梨香子
汐越 羊:古城門志帆
城路久美:原 由実
大和力郎:小山力也
内木理佐:沼倉愛美
おすすめポイント
2020年春アニメ最終回ラッシュ3作目。この時期は毎日アニメ見て泣いてしまうので涙腺がゆるゆるになってしまいますね。
本作の最終回はより一層泣かずにはいられない格別な最終回でした。ネタバレはしたくないので最終回の具体的な内容には触れませんが、そこにつながる『かくしごと』の魅力を以下の3つのポイントから話していきたいと思います。
・最愛の愛娘、姫に絶対にばれてはいけない「かくしごと」
・漫画家のリアルで面白い日常、パロディと取り巻く人々
・話数を重ねるごとに深みが増してくる主題歌たち
最愛の愛娘、姫に絶対にばれてはいけない「かくしごと」
下ネタマンガを描いている漫画家の主人公、後藤可久士。
愛娘、姫の健全な成長のために、自分が下ネタ漫画家という「描く仕事(かくしごと)」をしていることを「隠し事(かくしごと)」にしているというダブルミーニングになっています。
姫には普通の会社のサラリーマンとして通している、後藤先生。
何もかも適当な担当編集、十丸院が姫のいる自宅へ訪問してしまったり、漫画家だとばれてしまうようなものを自宅へ宅配したり、パニックの日々。
後藤先生が愛娘の姫を大切にしている、大切にし過ぎているからこそ、臨海学校の様子を見守ったり、サイン会のある会場に一緒に連れて行ってしまったり、出版社社員が集まる出版社の年末パーティに一緒に行くことになったり、いつ正体がばれてもおかしくない状況が多発します。
そんなギリギリの状況で微妙にずれた可愛い勘違いをする愛娘、姫。
いつばれてしまうんだろうというハラハラ感と、姫の可愛さを毎話毎話楽しむことができます。
過剰なまでに姫を心配し溺愛する後藤先生と、いつもお父さんのことを大切に思っている姫の優しさ、二人の親子愛を見た自分も、子供が欲しいなあと思ってしまうほどでした。
そんな素晴らしい親子愛の積み重ねが描かれる一方、毎話の終盤に挟まれるなんだか不穏なシーン。
このアニメが視聴者にしている「かくしごと」は一体何なのか。
ぜひ、その目で確かめていただきたいです。
漫画家のリアルで面白い日常、パロディと取り巻く人々
久米田康治先生と言えば少しニッチだけど、しっかりと伝わる絶妙なパロディ。
『さよなら絶望先生』でもパロディを非常に楽しませてもらいました。
劇中でも様々なパロディがありますが、今回は代表してサブタイトルのパロディ元ネタを記載しておきます。
全て漫画が元ネタとなっていて統一感があり美しいですね。
漫画家の新人賞の審査員や、年末進行、出版社の年末パーティ、長期休暇のとりづらさなど、売れっ子漫画家にとっての日常、視聴者にとっての非日常の描かれ方もこの作品の面白さです。
職業モノの作品は、業界の当たり前を学べて自分もとても好きなジャンルです。
特に漫画家という職業は一般的なサラリーマンとは全然違う生活を送っているので、ちょっと別世界のような感じで、漫画家の大変さや面白さが凄い伝わってきます。
後藤先生や姫を取り巻く周りの人物も個性的で非常に面白いです。
後藤先生のアシスタントでは、作家デビューを目指して頑張るものの指示を仰ぐことが多い、志治仰(しじあおぐ)。
とても気が利くお母さん的存在だが、たまにミスをして「墨垂らすな!」と怒られる墨田羅砂(すみたらすな)。
自由でかわいい、「カケアミ」という技法を得意とする筧亜美(かけいあみ)。
「消しゴムかけ」を主な仕事とし、後藤先生を"けしかける"ことも多い、芥子駆(けしかける)。
面白いネーミングの4人が大活躍します。
他にも「週刊少年マンガジン」の編集、副編集長、編集長や、姫の通う小学校の「めぐろ川たんていじむしょ」の3人、後藤先生に口説かれていると思っている面々など、魅力的なキャラクターがたっぷりです。
キャストも非常に豪華で、一人一人がアニメの主人公をはれるような面々が揃っています。
特に後藤先生役の神谷浩史さんは流石すぎるの一言に尽きますし、姫役の高橋李依さんの純粋な小学4年生の声にはとても癒されました。
話数を重ねるごとに深みが増してくる主題歌たち
OPテーマは、
「ちいさな日々」/ flumpool(作詞:山村隆太 作曲:阪井一生 編曲:飛内将大)
最終回を見終わった今なら、曲を聴くだけで泣けてしまいますね。
flumpoolさんといえば、『キャプテン・アース』の「ビリーバーズ・ハイ」が大好きで、一般人とカラオケに行くときは割と十八番にしていましたが、「ちいさな日々」も今後は歌っていけるようになりました。
歌詞は子供の成長を見守る大人、大人が知らないうちに成長していく子供、親子で一緒に過ごしたかけがえのない時間などがテーマになっています。
具体的に『かくしごと』らしいワードは存在しないのに、とても『かくしごと』に寄り添っている、アニソンシンガーではないからこその楽曲に感服です。
聞き終わった後のさわやかな気持ちがOP映像にもぴったりで、2020年を代表するアニメ主題歌の1曲と言っても過言ではないでしょう。
EDテーマは、
「君は天然色」/ 大滝詠一(作詞:松本隆 作曲:大瀧詠一 編曲:多羅尾伴内)
何年も歌い継がれてきた、夏の名曲ですね。
鎌倉が舞台にもなっている本作にぴったりの清涼感溢れる楽曲。
歌詞はぱっと見、恋愛・悲恋を描いたものとして解釈できるのですが、この楽曲を作詞した松本隆さんの境遇がこの歌詞の意味をもっと深いものにしています。
おそらくこの楽曲をEDテーマにしたのもこの深い部分の意味が大きかったと思うのですが、この境遇の話をしてしまうとネタバレになりかねません。
ぜひ興味のある方や、『かくしごと』を見終わった方は「君は天然色」の制作秘話をぜひ、調べてみてください。
この曲の聞こえ方がまた一段と変わってくると思います。
イメージアルバムには、
女子高生より若いメンバーの楽曲も収録!
どちらの楽曲も、『かくしごと』にぴったりで本編の内容から主題歌に至るまでどこをとっても最高な素晴らしい名作でした。
配信情報
dアニメストア、Amazonプライム、Hulu、U-NEXT、AbemaTV、FODなど各種見放題サービスで絶賛配信中です。
どんな方でも絶対に楽しめる万人にお勧めできる作品ですので、ぜひご覧になってください。無料体験期間もあります。