言葉。
時に人を傷つけ、時に人を励ます、使いようによって武器にも愛にもなる非常に難しいものです。
どちらかというと、発する側も否定的な言葉の方が簡単に頭に浮かびやすく、読む側も否定的な言葉だけを気にしてしまいがち。
そんな言葉に苦しむIDOLiSH7のみんなを言葉の力で救った、2020年秋アニメ屈指の神回、
『アイドリッシュセブン Second BEAT!』第8話「伝えたいんです!」について語っていきたいと思います。
『アイドリッシュセブン Second BEAT!』とは
【放送再開決定PV】TVアニメ「アイドリッシュセブン Second BEAT!」
あらすじ
TRIGGERと競い合った「ブラック・オア・ホワイト」での勝利を経て新たな一歩を踏み出したIDOLiSH7。
存在感を示したことでレギュラー番組も決まりさらに知名度を高めていくチャンスを手にする。
だが、活躍の場が広がるほど、担う責任や寄せられる期待は大きくなっていく。そんな時、共演したトップアイドル・Re:valeが示したのはエンターテイナーとしてのプロフェッショナルな姿。
誰かを笑顔にしたい、幸せにしたい――。
その想いを貫くために、どう在るべきなのか?
陸たちはそれぞれに自らと向き合っていく……。
スタッフ
原作:バンダイナムコオンライン / 都志見文太
監督:別所誠人
シリーズ構成:関根アユミ『枕男子』
スーパーバイザー:あおきえい『GIRLSブラボー』『Fate/Zero』『ID :INVADED イド:インヴェイデッド』
キャラクター原案:種村有菜
アニメーションキャラクターデザイン:深川可純『ゾンビランドサガ』『体操ザムライ』
総作画監督:猪股雅美
美術監督:葛琳
色彩設計:篠原真理子
2Dデザイン:高橋清太(FUETE)
撮影監督:津田涼介
CGディレクター:ヨシダ.ミキ
3Dワークス:井口光隆
編集:右山章太
音楽:加藤達也『けんぷファー』『最遊記RELOAD BLAST』『Dr.STONE』
音楽制作:ランティス
音響監督:濱野高年
アニメーション制作:TROYCA
製作:アイナナ製作委員会
キャスト
和泉一織:増田俊樹
二階堂大和:白井悠介
和泉三月:代永翼
四葉環:KENN
逢坂壮五:阿部敦
六弥ナギ:江口拓也
七瀬陸:小野賢章
八乙女楽:羽多野渉
九条天:斉藤壮馬
十龍之介:佐藤拓也
百:保志総一朗
千:立花慎之介
小鳥遊音晴:千葉進歩
大神万理:興津和幸
小鳥遊紡:佐藤聡美
八乙女宗助:小西克幸
姉鷺カオル:川原慶久
岡崎凛人:古川慎
第8話「伝えたいんです!」
あらすじ
音楽番組の収録で、百が突然歌えなくなってしまう。原因はわからず、こけら落とし公演のポスターが落書きされたこともあり、不穏な空気が漂う。
一方、紡は元気のない陸たちを励まそうと、意を決して自分の思いを伝える。
スタッフ
脚本:中西やすひろ
絵コンテ:林 宏樹
演出:境 隼人
総作画監督:日下部智津子
作画監督:中野友貴、佐伯直実
和泉家での会話
自分がセンターを代わったことで、陸との関係や、ファン同士のいざこざなど、起きている問題に悩む一織。
そこにやってきたのは三月。
前話で思いっきり泣いて想いを吐き出したものの、きっとまだ自分の悩みも解決できていないはず。
それでも一織のために明るく振る舞って、ホットケーキを作ってあげようとする三月はどう考えても頑張りすぎ。
真面目で努力家なところが仇になっていて、見ているこっちも辛くなってきます。
割った卵が、もう1つの卵にぶつかり潰れる演出は非常に意味深。
陸と一織のセンターを巡る2人の話の暗喩と捉えることも出来ますし、三月と一織の兄弟関係の暗喩と捉えることも出来る。
もちろん、IDOLiSH7全体の結末とも。
誰もが自分のすべきことに一生懸命なのに、幸せになれない、辛い展開が続いていきます。
声が出ない百
軽快な夫婦漫才を披露し、番組を盛り上げるRe:valeの2人。
トップアイドルで仲睦まじい二人は、今のIDOLiSH7にとって、いつにもまして憧れの存在。
ところが、いざ歌を歌おうとすると声が出なくなってしまった百。
肉体的にも精神的にも問題は無さそう。
ゼロの楽曲をカバーしようとした呪いなのか。
はたまた、百が表に出さないだけで、ゼロの楽曲をカバーすることに大きなプレッシャーを感じているのか。
どちらにせよ、あのRe:valeでさえこのようなトラブルに見舞われるというのは、IDOLiSH7にとってもショックな出来事でした。
加速するマイナス思考
大人気なRe:valeでも、批判を受けることがある。
じゃあIDOLiSH7に望まれているものは一体何なんだろう。
陸がセンターに立って歌うこと、三月がMCでユニット全体を盛り上げること。
自信を喪失した二人は、到底それが望まれていることだなんて思えない。
ファンのことを第一に考えるからこそ、全てのファンが望む回答を出すことは難しく、マイナス思考はどんどん加速していきます。
1億のNoに勝つYes
CDの売上も好調、テレビ番組への出演オファーも多く、こんなにもたくさんのファンレターも届いている。
誰もがみんな自分のできることを精一杯やっているはずなのに、求められる声にこたえようとするあまり、下を向いてしまっている。
このままでは、IDOLiSH7は潰れてしまう。
誰よりもIDOLiSH7を支えてきたマネージャー・紡が、1億のNoに勝つYesを伝えるため、立ち上がります。
好きも嫌いも期待も不満もあるたくさんの声
ファンだって、その人の全てを知っているわけではない。
裏での努力や、事情を考えず、目に映ったもので判断してしまうかもしれない。
ある特徴が苦手な人もいれば、そこが大好きだという人もいる。
好きも、嫌いも、期待も、不安も、その全てをアイドルは受け止めて、走っていく。
だからこそ、道に迷わないように、自信をもって進んでいけるように、かけないといけない言葉がある。
伝えたい想い
「IDOLiSH7が大好きです!IDOLiSH7は最高のアイドルです!」
「私はIDOLiSH7の大ファンです。皆さんの笑顔や、皆さんの歌や、皆さんのダンスのおかげでいつも幸せをもらってます、ありがとうございます!」
「一織さん!一織さんのセンター大成功です!みんな喜んでくれてます!」
「大和さん!俳優のお仕事もあって忙しいのに、皆さんを支えてくださりありがとうございます!」
「三月さん!三月さんのおかげで番組大好評です、めちゃくちゃ面白いです!」
「環さん!スタッフさんみんな褒めてましたよ、環さんが話しやすくなったって!」
「壮五さん!困ったときにどんなことも対応してくれるって、どの局の人たちも感謝していました!」
「ナギさん!ナギさんのハチャメチャな魅力にスタッフもタレントさんも虜です!」
「陸さん!陸さんの歌声は世界一です!いろんな形に変化していっても、陸さんがセンターにいてこそIDOLiSH7です!」
「もう一度言います!IDOLiSH7は最高のアイドルグループです!皆さんがここでバスケをしていた時からずっと応援してきました、だから信じてください!」
「IDOLiSH7はここにいる7人の誰が欠けても誰に代わっても不完全です!ここにいる7人がパーフェクトなんです!」
「顔を上げて、胸を張って、ありのままのIDOLiSH7でいてください!」
「これからも、ずっと、ずっと、よろしくお願いします!」
反論を許さぬ、まっすぐで熱い言葉。
こんなの泣かないわけがありません。
表も裏も、誰よりもIDOLiSH7を見てきた紡さんだからこそのセリフですし、それぞれが気にしていることを的確に突いている。
たとえわかっていたって、正面切って想いを告げるのには相当な覚悟が必要なはず。
特に三月と陸に対しては語気を強めており、二人が一番欲しかった言葉をダイレクトにぶつけています。
まさに、1億のNoに勝つYes。
佐藤聡美さんの全てをぶつけた迫真の演技なくして、このシーンは完成しなかったでしょう。
大和と三月の"ほどほど"と"一生懸命"
頑張りすぎる三月に対し、大和は自分の持っている"ほどほど"をプレゼント。
たまにはいい加減でもいい、頑張らなくてもいい、そのまんまの三月が最高だと大和は告げます。
それでも三月は、この"ほどほど"は大事に取っておいて、本当にダメな時に使わせてもらう、と。
いざという時の"ほどほど"を支えに、まだこれからも頑張り続ける。
良い具合に力の抜けた大和と、後ろを任せられるから前に進み続けられる三月の愛おしいコンビです。
making one's best exertions
陸の身体を心配する一織と、一織へどうやって感謝の気持ちを伝えようか考える陸。
お互いがお互いのことを想い合っているのに、気を使って微妙な距離感が出来てしまうのは非常に二人らしい。
第1期から何度も登場している陸のマグカップに書かれている文字は、
"making one's best exertions"
日本語にすると"最善を尽くす"という意味ですが、第1期の頃と今とでは我々の受け取り方も変わっており、非常にエモーショナル。
人からずっと見守られていた壮五と見守られていなかった環
良くも悪くも人から見守られ、感情を素直に表現できなかった壮五。
逆に周囲に見守ってくれる人がおらず、一人で感情を表現するしかなかった環。
けれど、今は違う。
壮五は環と、IDOLiSH7と出会って感情を素直に表現できるように。
環は努力し、多くのファンやメンバーからはもちろん、壮五にも見守られている。
正反対の2人だからこそ作り出せる空気感は、MEZZO"の大きな魅力です。
変わっていく環
事務所で残って書類作成をしている紡に対し、
「いつも遅くまでありがとう。マネージャーが俺たちのために頑張ってくれてんの、いつも見てっから。これからも見てくから。ありがとう、ご苦労様です。」
まさか環の口からこんな言葉が聴けるなんて。
例の家族番組のプロデューサーに対しても、しっかりと頭を下げる環。
昔だったら絶対に殴りかかっていたはず。
色々な人に出会い、経験を積み、IDOLiSH7の一員としての自覚を強く持つようになった環に思わず涙。
「WiSH VOYAGE」と「DiSCOVER THE FUTURE」の印象的なメロディが聴こえてくるピアノアレンジBGMもたまりません。
とんでもない幕引き
第2話に出てきた紳士が再登場と思いきや、こけら落とし公演を滅茶苦茶にしそうな不穏な雰囲気。
しかしその男に従順に従う天。
そして、その男をお父さんと呼ぶ、環の妹・理。
一体何がどうなっているんだ…
IDOLiSH7が立ち直ったのも束の間、また大きな何かが動こうとしています。
配信情報
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