筒井康隆先生。
日本を代表するSF作家で、自分も子供の頃から何本かの作品に触れてきました。
家にあったのは「農協月へ行く」や、「細菌人間 ジュブナイル傑作集」、「ポルノ惑星のサルモネラ人間 自選グロテスク傑作集」などいわゆる有名作品ではない際物作品。
そういうイメージが強かったので「時をかける少女」が先生の著書だと知ったときはかなり驚いた覚えがあります。
そんな筒井康隆先生の著書である「富豪刑事」にオリジナル要素を加えて、現代風に見事に仕上げた名作『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』について語っていきたいと思います。
『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』とは
「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」本PV(オープニング・テーマ「NAVIGATOR」使用&7月16日放送開始ver.)
あらすじ
ケタ外れの資産をもつ神戸家の御曹司・大助が赴任したのは、
警視庁で問題を起こした人間だけが送り込まれる
「現代犯罪対策本部準備室」、通称「現対本部」。
そこで大助は情に厚い男・加藤 春とバディを組まされる。
人の命すら値踏みする大助に対して「世の中金じゃねぇ」と反発する加藤。
対立する2人の前に立ちはだかる、様々な事件と謎。
常識を超えた捜査が今、始まる――!
スタッフ
原作:筒井康隆『富豪刑事』 (新潮文庫刊)
ストーリー原案:TEAM B.U.L
監督:伊藤智彦『世紀末オカルト学院』『ソードアート・オンライン』『僕だけがいない街』
シリーズ構成・脚本:岸本 卓『うさぎドロップ』『ジョーカー・ゲーム』『はねバド!』
キャラクターデザイン:佐々木啓悟『閃光のナイトレイド』『青の祓魔師』『七つの大罪』
サブキャラクターデザイン:田辺謙司
美術設定:藤瀬智康/曽野由大/末武康光
美術監督:佐藤 勝/柏村明香
色彩設計:佐々木 梓
メカデザイン:寺尾洋之
CG監督:那須信司
撮影監督:青嶋俊明
編集:西山 茂
音楽:菅野祐悟『図書館戦争』『PSYCHO-PASS サイコパス』『ジョジョの奇妙な冒険』
音響監督:岩浪美和
音響制作:ソニルード
スタイリングアドバイザー:高橋 毅
ガジェットコーディネート:ギズモード・ジャパン
アニメーション制作:CloverWorks
キャスト
神戸大助:大貫勇輔
加藤 春:宮野真守
神戸鈴江:坂本真綾
清水幸宏:塩屋浩三
仲本長介:神谷 明
亀井新之助:熊谷健太郎
佐伯まほろ:上田麗奈
湯本鉄平:高橋伸也
武井克弘:小山力也
星野 涼:榎木淳弥
ヒュスク:興津和幸
おすすめポイント
お金に物を言わせた刑事らしからぬ解決方法
刑事と言えば何と言っても地道な調査。
牛乳とあんぱんを手に徹夜で犯人を監視し、過去の資料に端から端まで目を通し、血のにじむような努力の末に犯人を追い詰める。
そんなテンプレ刑事像とはかけ離れた存在がこの富豪刑事。
時には道行く車を購入して犯人を追走し、時には犯人逮捕のために建物を建造する。
取り調べ用のVR映像をつくったり、都合の悪い情報はお金の力で抹消したり、見る人によってはこれは正義なのかと疑うような行動もします。
何をもって正義とするかという観点も、この作品の魅力の一つです。
毎話の一番最後には、そのお話を通じて計上された費用が掲出。
この画像は第4話の一番経費がかからなかった回ですが、他の回はとんでもない経費が掛かっており、1話から10話で4,100億円以上を使用しています。
一般人には思いつかないようなお金の使い方には驚きがありますし、お金で全てをねじ伏せる姿には爽快感を感じます。
ちなみにタイトルの『Balance:UNLIMITED』の意味は、「残高:無制限」。
フィクションだからこその、富豪×刑事という通常ではあり得ない二つの要素の組み合わせが非常に魅力的でした。
原作にはないオリジナル要素
筒井康隆先生の原作、小説の『富豪刑事』は1975年から1977年に連載された作品。
当時の"富豪"と、現在の"富豪"のイメージは大きく乖離しています。
そんな富豪のイメージ差を埋めるべく、本作では原作にないオリジナル要素がかなりふんだんに盛り込まれています。
まず一つは主人公・神戸大助を補助するAI・ヒュスク。
ピアス型の端末を通して情報の解析や物品の購入など何でもしてくれる万能AIです。
AmazonのAlexaやappleのSiri、GoogleのGoogle Homeの超進化版と言えば伝わりやすいでしょうか。
万能だからこそ、アクセスできない情報があったり、手助けしてくれない状況があったり、富豪の大助よりももっと大きな存在を示唆するワクワク感がありました。
もう一つは豊富な最新ガジェット。
見ただけでクレジットカードデータを読み取るサングラスや、対空ミサイルを飛ばすリュック型装備。
個人的に一番驚いたのは「グルットナ」というスマホのキャンペーン。
スマホを頭上に掲げて一回転すると先着10万人に10万円がプレゼントされるという、説明だけ聴くと何が凄いかわからないキャンペーンなのですが、これを使っての捜査には「うわ、すごい…」と思わず声を漏らしてしまいました。
最後の一つは、大助の教育係兼バディを務める加藤春。
自分もこの記事を書くまで知らなかったのですが、本作のもう一人の主人公ともいえる春は原作には出てこない人物でした。
富豪の大助と対照的に、庶民派で努力家の春。
全然違う二人が一つの事件を追い、少しずつお互いの気持ちを理解していく過程は多くの視聴者を魅了しました。
特に二人の関係性が強く描かれた第4話「空っぽのポケットほど、人生を冒険的にするものはない」は非常におすすめのお話なので、興味のある方は自分が過去に記事を書いているので、こちらもお読みいただけると嬉しいです。
元々魅力的な作品にオリジナル要素が加わってより面白くなった名作でした。
SixTONESとOKAMOTO'Sを起用したオシャレな主題歌
オシャレな作品にはオシャレな主題歌がよく似合います。
オープニングテーマは、
「NAVIGATOR」/ SixTONES
SixTONES - NAVIGATOR (Music Video) [YouTube Ver.]
作詞:高木誠司 作曲:高木誠司、高慶"CO-K"卓史 編曲:高慶"CO-K"卓史
作詞は、関ジャニ∞さんの「罪と夏」、豊永利行さんの「1:1」などを手掛けた高木誠司さん。
作曲は、高木誠司さんに加えLiSAさんやReoNaさんの楽曲にもギターで参加するギタリスト、高慶"CO-K"卓史さん。
編曲は同じく高慶"CO-K"卓史さんが担当されています。
普段アニソン以外をほとんど聞かないので、SixTONESさんの歌を初めて聞いたのですがカッコ良くて痺れました。
ちなみに読み方は"シックストーンズ"ではなく"ストーンズ"なので、一般の人に自分ジャニーズもわかってますよ~みたいな感じで口にする時は、間違えないように気を付けましょう。
新作の「NEW ERA」は現在放送中の『半妖の夜叉姫』のオープニングテーマとなっており、今後もアニソンシーンでの活躍が楽しみです。
タイトルの「NAVIGATOR」が指すのは本作のAI・ヒュスク。
ヒュスクに今まで何の疑問も抱いてこなかった大助が、ヒュスクが指し示す道ではなく、自分で考えた道を行くストーリーにぴったりの歌詞です。
同時に、「NAVIGATOR」は常識というニュアンスもあり、大助と春、二人の刑事の個性がぶつかり合って常識をぶち壊すような捜査を描く本作らしさも感じられます。
オープニング映像の音ハメも気持ちよく、本編と併せてまさに一つの作品と言える素敵な主題歌です。
エンディングテーマは、
「Welcome My Friend」/ OKAMOTO'S
OKAMOTO'S 『Welcome My Friend』MUSIC VIDEO
作詞:オカモトショウ 作曲:オカモトショウ、オカモトコウキ 編曲:OKAMOTO'S
作詞はOKAMOTO'Sのボーカル、オカモトショウさん。
作曲はオカモトショウさんと同じくOKAMOTO'Sのギター、オカモトコウキさん。
編曲はOKAMOTO'S名義となっています。
『NARUTO -ナルト-シリーズ』や、『銀魂°』の「Beautiful Days」など、アニソンシーンにもなじみ深いOKAMOTO'S。
本場の英語と、完璧な日本語が混ざった非常に渋くておしゃれな楽曲です。
独特な音楽センスから生まれるメロディにはOKAMOTO'Sらしさが感じられます。
歌詞に出てくる"自分を貫いた途中で色々なものにぶつかって曲がっていった存在"はまさに大助と春。
絶妙にかみ合って様々な事件を解決していく"バディ感"が歌詞から強く感じ取れます。
考えれば考える程、原作に出てこない春とのバディっぷりをアニメで描いたのは凄い判断ですよね。
おわりに
他にも、大人の男性の魅力にあふれた佐々木啓悟さんのキャラクターデザインや、アニメ声優が初めてとは思えない大貫勇輔さんの演技、緊迫感溢れる菅野祐悟さんの劇伴など、見所満載。
核となる大きな事件は解決しましたが、まだまだ続編が作れる設定ではあると思うので、今後もシリーズとして展開していってくれたらなあという思いです。
大助と春の掛け合いが大好きだった!
自分も2期待ち遠しい!
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今後もアニメに関する記事を毎日投稿していきますので、ぜひご覧ください。
また次の記事で!