『Fate/Grand Order』。
今や日本を代表するソーシャルゲームの一つです。
PC版原作ゲームや、テレビアニメを一切見ていない人でも『Fate/Grand Order』だけはプレイしている人がいるというほど。
自分はスマホでゲームはやらないと決めているので、FGOをプレイしたことはなく、過去の『Fateシリーズ』のアニメが好きなぐらいの"にわか"という感じです。
ということで今回は2020年12月5日に公開された、
『Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- Wandering; Agateram』について語っていきたいと思います。
あくまで『Fate/Grand Order』未プレイの人の意見として参考にしていただければ幸いです。
『Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- Wandering; Agateram』とは
劇場版 「Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- 前編Wandering; Agateram」 公開直前PV
あらすじ
遍歴の騎士、ベディヴィエールが辿り着いた旅の果て―。
そこは西暦1273年のエルサレム。
かつての祈りの地は砂の大地と化し、民は住処を追われ三つの勢力が対峙する不毛の地。
聖都、そして獅子王の命めいを守るべく集結した「円卓の騎士」。
領地ごとこの地に召喚されるも、静かに現状打破を狙う「太陽王・オジマンディアス」。
土地を奪われた民を守り、叛逆の機会を待つ「山の民」。
己の成すべきことを果たすため、獅子王が統治する“聖都”を目指すベディヴィエールの前に現れたのは
人理を修復すべくこの地を訪れた人類最後のマスター・藤丸立香とデミ・サーヴァントのマシュ・キリエライトであった。ベディヴィエールは藤丸たちと共に、最後の探索へと歩み出す。
引用元:『Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- Wandering; Agateram』公式HP STORYより
スタッフ
原作:奈須きのこ/TYPE-MOON
リードキャラクターデザイナー:武内崇
監督:末澤慧『劇場版 フリクリ プログレ』
脚本:小太刀右京『ケイオスドラゴン 赤竜戦役』『ロード・エルメロイII世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-』
キャラクターデザイン:細居美恵子・黄瀬和哉・温泉中也
サブキャラクターデザイン:乘田拓茂・山本彩
総作画監督:黄瀬和哉『BLUE SEED』『BLOOD-C』『メイドインアビス』
プロップデザイン:吉田大洋・原由知
美術設計:小木斉之・イノセユキエ
コンセプトアートデザイン:coralie nagel・竹内敦志
美術監督:甲斐政俊・中村豪希・若松栄司
色彩設計:関本美津子
撮影監督:田中宏侍
3DCG:レイルズ
3Dディレクター:三階直史
編集:濱宇津妙子
音楽:芳賀敬太・深澤秀行
音響監督:明田川仁
制作:Production I.G
アニメーション制作:SIGNAL.MD
配給:アニプレックス
キャスト
ベディヴィエール:宮野真守
藤丸立香:島﨑信長
マシュ・キリエライト:高橋李依
レオナルド・ダ・ヴィンチ:坂本真綾
獅子王:川澄綾子
ガウェイン:水島大宙
モードレッド:沢城みゆき
ランスロット:置鮎龍太郎
トリスタン:内山昂輝
アグラヴェイン:安元洋貴
オジマンディアス:子安武人
ニトクリス:田中美海
玄奘三蔵:小松未可子
アーラシュ:鶴岡聡
呪腕のハサン:稲田徹
静謐のハサン:千本木彩花
ロマニ・アーキマン:鈴村健一
ピックアップポイント
選民思想とその対立を描くわかりやすいストーリー
劇場版 「FGOキャメロット」前編 Wandering; AgateramキャラクターPV 【エジプト領】
舞台は1273年のエルサレム。
辺り一面砂漠に覆われたこの地で、3つの勢力が対峙していました。
限られた資源を如何にして使うかは、どの領地にとっても非常に重要な問題。
「円卓の騎士」が集結した聖都は、選ばれた人間のみを生かし、そうでない人間は排除する選民思想。
太陽王・オジマンディアスが統治するエジプト領は、今は機ではないと静観の構え。
土地を奪われた人々を保護する「山の民」は、聖都への叛逆を目論んでいます。
聖都を支配する獅子王の目的は、前編だけでは完全には明かされていないような印象でしたが、わかりやすい対立関係はシンプルで理解しやすい。
後編が2021年春ということで、それだけ間が空いても大筋はしっかりと頭に残したまま見られると思います。
前編の大きなテーマは、この選民思想という考え方と「円卓の騎士」の誇り。
何故獅子王がこの選民思想にこだわっているのか、「円卓の騎士」は獅子王の命とは言え、どうして誇りも捨てて獅子王に付き従っているのか。
この当たりの理由が後編で明かされ、ストーリーに大きく絡んでくるのではないかとワクワクしています。
また、前編ではそこまで活躍しなかったエジプト領のオジマンディアス。
子安さんが声を当てているということもあり、後編はきっととんでもない大きなことをしてくれそうな雰囲気が漂っていました。
ハサンがいっぱい
劇場版 「FGOキャメロット」前編 Wandering; AgateramキャラクターPV 【山の民】
「山の民」を統括する山の翁であり、暗殺教団「ハサン」の一人である呪腕のハサン。
『Fate/stay night』のHeaven's Feelルートを見ている人ならお馴染みの、あのアサシンです。
映画の感想記事はこちら。
イメージでは、あんまりうまく言葉をしゃべれないのかなと思いきや、非常に頭がよく、適切な判断をしており、本来はこういうサーヴァントだったんだなあということを改めて実感しました。
暗殺教団「ハサン」の中には、百貌のハサンという人物も登場。
こちらは、『Fate/Zero』で言峰綺礼が召喚したアサシン。
この映画を見るまで、この二人が同一人物だと思っていたので結構驚きました。
きっとFGOプレイヤーの中では常識なのでしょう。
『Fate/Zero』でのやられっぷりが大好きだったので、まさか令和の時代に再びその活躍が見られるとは考えておらず、素直に嬉しい気持ちです。
そしてもう一人が、静謐のハサン。
全身が猛毒という可哀そうな女の子で、天涯孤独だったんだろうなと容易に想像がつきます。
助けに来た藤丸立香と事故で熱い接吻を交わすも、立香はマシュの宝具による加護でノーダメージ。
触れられる、人の暖かさを教えてくれる立香にべったりな様子は、非常に可愛かったです。
玄奘三蔵とアーラシュ
劇場版 「FGOキャメロット」前編 Wandering; AgateramキャラクターPV 【アーラシュ・玄奘三蔵】
『Fate/Grand Order』のオリジナルサーヴァントである、キャスターの玄奘三蔵。
途中までこの胸の大きいキャスターは誰なんだろうなあと思っていたら戦闘シーンで玄奘三蔵と判明。
女性として描かれることは多い人物ではありますが、こんなに胸が大きいんだなあと驚きました。
実は中学時代『ハリーポッター』と一緒に『西遊記』を読むぐらいには割と好き好んで読んでおり、最近は『最遊記RELOAD BLAST』で復習済み。
髪の毛を抜いて分身する「身外身の法」を玄奘三蔵自身が使って、孫悟空、猪八戒、沙悟浄のように見た目を代えて行う戦闘は、そんな設定もありなんだなあと、色々な物語から良いところを引っ張ってくる『Fate/Grand Order』の良さが詰まっている部分だと感じました。
ペルシャの英雄・アーラシュ最大の見せ場は何と言っても、獅子王が放った『最果てにて輝ける槍』の迎撃シーン。
ベディヴィエールの自己犠牲精神に口をはさんでいた彼が、東の村やベディヴィエールを守るために、自らの命を犠牲に『流星一条(ステラ)』を放つシーンは、男でも惚れるカッコよさがありました。
どちらの攻撃も非常に幻想的で、その閃光はまさに空を舞う流星のよう。
本作前編のクライマックスにふさわしい、非常に美しい最後の輝きでした。
円卓の騎士たち
劇場版 「FGOキャメロット」前編 Wandering; AgateramキャラクターPV 【獅子王・円卓の騎士】
円卓の騎士の中で、最もなじみ深いのは何と言っても『Fate/Apocrypha』にも登場していたモードレット。
ちなみに、『Fate/Apocrypha』22話に原画で参加されていたBahi JDさんは本作にも原画で参加されていました。
第22話の感想記事はこちら。
モードレットを演じる沢城みゆきさんの攻め攻めなオフェンシブボイスがたまりません。
ここまで好戦的で獰猛なセイバーが敵側陣営にいるというのは非常に怖いですね。
戦闘が印象的だったのは『Fate/Grand Order』のオリジナルサーヴァントである、アーチャーのトリスタン。
ハープのような宝具『痛哭の幻奏(フェイルノート)』を用いた、つま弾くことで生じる音の刃での攻撃は、美しく、スタイリッシュ。
弓を使わないサーヴァントもいたり、アーチャーは個性あふれるクラスといった印象がありますが、トリスタンの攻撃方法もかなり異質。
王道なアーチャーであるアーラシュとの対比関係は前編の大きな見どころの一つです。
遍歴の騎士・ベディヴィエール
劇場版 「FGOキャメロット」前編 Wandering; Agateram キャラクターPV 【べディヴィエール】
そして何と言っても本作のメインは、遍歴の騎士・ベディヴィエール。
中性的でどことなく儚さを秘めている美青年。
宝具の『剣を摂れ、銀色の腕(スイッチオン・アガートラム)』は使い過ぎれば身体に大きな負担がかかるという点も、その儚さを強めています。
責任感や正義感が強く、自分が傷つくとわかっていても宝具を使ってしまうのは、まさに主人公。
宮野真守さんの演技も相まって、大好きなキャラクターになりました。
彼が一体何を目的として聖都にたどり着いたのかは、前編だけではわかりませんが獅子王と何らかの因縁があることだけは明らか。
獅子王とアーサー王の間に何があったのか、獅子王と円卓の騎士、そしてベディヴィエールの関係性は一体どうなっていくのか。
来年の春までに知識を付けながら、後編の映画を楽しみに待ちたいと思います。
主題歌「独白」/ 坂本真綾
坂本真綾 - 『独白』 Music Video(1 Chorus Only Ver.)
作詞及び歌唱は本作でもレオナルド・ダ・ヴィンチ役で出演されている坂本真綾さん。
作曲・編曲は坂本真綾さんに「レプリカ」を楽曲提供したこともある内澤崇仁さんが担当。
ストリングスの編曲には内澤さんに加え石塚徹さんも参加されています。
「色彩」、「逆光」、「躍動」、「空白」と『Fate/Grand Order』の主題歌を担当し続けてきた坂本真綾さんだからこそ、「独白」の歌詞も非常に作品に寄り添ったものとなっています。
テーマは"ベディヴィエールの絶望"。
今の自分にベディヴィエールと獅子王・アーサー王の関係性は3割ぐらいしか理解できていないと思いますが、それでもベディヴィエールが感じている過去への後悔と絶望の気持ちはしっかりと伝わっています。
今までの『Fate/Grand Order』のアップテンポな楽曲とは正反対の、まさにベディヴィエールの「独白」。
後編まで見終わった後にこの曲の聴こえ方がどんな風に変わっているか非常に楽しみです。
坂本真綾 - 『独白』 Music Video(2 Chorus Only Ver.)
2コーラス目からは一気にアップテンポに。
アップテンポというか、曲が難しすぎてなんだこれは…という感じ。
坂本真綾さんにしか歌えない、坂本真綾さんらしさが2コーラス目からより顕著に感じられるようになっています。
憧れて 待ち焦がれて
やっと目にした楽園
踏み荒らしてぶち壊した
もう跡形もないほど
僕らが絆と呼んだ細い糸
手繰り寄せてしまう前に
断ち切って
引用元:「独白」/ 坂本真綾
上げて落として上げて落としてが凄まじい歌詞。
一体後編はどんな展開になってしまうのか、期待と不安でいっぱいです。
また、後編主題歌は坂本真綾さんが作詞、そして歌唱をベディヴィエール役の宮野真守さんが担当することが決定済。
宮野真守さんだからこそ歌える楽曲が非常に楽しみです。
配信情報
先にテレビアニメ化している『Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-』は各種見放題サービスにて絶賛配信中です。