ゲーム原作アニメ。
ゲーム通りのストーリーをなぞるとプレイしたことがある人にとっては退屈に感じられ、かといってゲームの知識を前提として作ると初見の人が置いてけぼりになる、非常に難しいジャンルです。
肝心なのはアニメならではの表現や、初見の人がゲームをプレイしてみたいと思いたくなる展開。
今回はプレイしたことがある人向けに作られつつも、しっかりと初見の人の興味を引いた『アラド:逆転の輪』について語っていきたいと思います。
『アラド:逆転の輪』とは
あらすじ
燃え盛る炎の中。赤く禍々しい異形の左腕で兄を殺す……。
そんな毎夜の悪夢でテンサイは憔悴していた。
原因は封じられた左腕にある。
隠された左腕の真実を知るために、かつてその腕に鬼神縛をつけてくれた伝説の剣の達人ソルドロスの元へと向かうテンサイ。
心配した友人たちも途中で合流し、ソルドロスの小屋へとたどり着く。
だがそこにソルドロスの姿はなかった。
ふと壁にかかった絵にテンサイが触れたとき、閃光が走り新たな冒険の幕が開ける。
スタッフ
原作:Neople
企画:Tencent Games
監督:阿部記之『幽☆遊☆白書』『BLEACH』『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』
シリーズ構成:関島眞頼『新・天地無用!』『ゼーガペイン』『タブー・タトゥー』
脚本:関島眞頼、朱白あおい
制作統括プロデューサー:里見哲朗、王士豪
アニメーションプロデューサー:横田幸介
キャラクターデザイン:木村 智『TERRA FORMARS』『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』『はねバド!』
クリーチャーデザイン:須永賴太
武器デザイン:菊永智英
音楽:伊藤賢治『この青空に約束を― 〜ようこそつぐみ寮へ〜』『あかねさす少女』
音楽プロデューサー木皿陽平
音楽制作:Stray Cats
アニメーション制作:ライデンフィルム
制作:フレンドリーランド
戦略協力:Animersal
キャスト
オウ・テンサイ:小野友樹
ルーカス・イー:内山昂輝
ミリア:花守ゆみり
シラン:近藤孝行
アイリス:石川由依
メイメイ:高橋李依
エイト:鈴木崚汰
ショウホウ:内田秀
ピックアップポイント
歴史ある超大作MMORPGが原作
このアニメを見たことがない方も『アラド戦記』というタイトルはきっとどこかで耳にしたことがあるはず。
全世界で2億IDがあり、韓国、中国、日本などアジアを中心にプレイされている大人気MMORPGです。
サービス開始は2005年であり、なんと15年も続いている歴史あるタイトル。
かつて自分も『サドンアタック』、『デカロン』という『アラド戦記』と同様ネクソンが運営するゲームをプレイしており、その圧倒的な人気は肌で感じていました。
その人気から、2009年に一度日本でも『アラド戦記〜スラップアップパーティー〜』というタイトルでアニメ化しています。
こちらの作品はキャラクターはそのままに、ストーリーは全く別ものになっているので特に予習しておく必要はありません。
本作は2017年に中国のみで放送された『アラド:宿命の門』に続く第2弾となっており、ここの2作品のお話は繋がっているそうなのですが、第0話という形式で前作を予習できるので、その心配もいりません。
『アラド:逆転の輪』は日本の放送より前に中国で先行配信されており、総再生回数はなんと6億回。
その圧倒的な人気が伺えます。
もし『アラド戦記』というタイトルを知らなかったという人がいれば、この作品から入ってみるのもありかもしれません。
見ればきっとゲームがやりたくなるユーザーライクな作品
世界を代表する大企業・テンセントが企画する本作。
中国の『アラド戦記』プレイヤーは膨大で、そもそも『アラド戦記』を知らない人向けではなく、既にプレイしているユーザーに楽しんでもらうことを前提としてこの作品の企画は進んでいきました。
今回はゲームの中から3つの世界をピックアップしてアニメ化。
1話~4話、5~8話、9~12話と3つのエピソードに分けて描かれており、エピソードが積み重なるごとにキャラクターへの思い入れも増していきます。
プレイヤー向けな作品のため、序盤からある程度キャラクターの性格やバックボーンを理解している前提で話が進んでいきますが、このアニメで初めて『アラド戦記』を知った方もストーリーと共に段々と理解が深まっていくはず。
ロボット、魔法、魔物など色々なものが共存する独特な世界観は非常に魅力的でした。
アニメのスタッフも非常に豪華。
数々のジャンプ作品を手掛けてきた日本を代表するアニメ監督である阿部記之さんが監督を務め、世に知られる超名作『ゼーガペイン』を手掛けた関島眞頼さんもシリーズ構成として参加しています。
メインキャラクターは今を時めく若手人気声優さん達が担当し、ゲストキャラクターには佐々木望さんなどレジェンド級の声優がバンバン出てきます。
豪華なスタッフと重厚な世界観、自分も前提知識がないので理解できないところはありましたが、逆にもっとこの作品のことを深く知りたいなと思わずゲームをプレイしたくなりました。
オープニングテーマ「ORATIO」/ 新田恵海
【アラド:逆転の輪】オープニングノンクレジット映像「ORATIO」/新田恵海
歌うのは『探偵歌劇 ミルキィホームズ TD』の「探求Dreaming」、
『カードファイト!! ヴァンガードG』の「NEXT PHASE」でお馴染み、
ブシロードミュージックからストレイキャッツに移籍した新田恵海さん。
作詞はアニソン界を代表する作詞家、真崎エリカさん。
作曲・編曲は『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』の「星のダイアローグ」、
『プラネット・ウィズ』の「Rainbow Planet」などで知られる、
Arte Refactの本多友紀さんが務めています。
ブシロードミュージックでバンバンタイアップを出しまくっていた時代は自分もよく新田恵海さんのライブに行っており、大好きな声優アーティストさんの一人です。
色々なことがあって活動をされていませんでしたが、今回のこの起用は一人のファンとして非常に嬉しいものでした。
また、事務所の移籍前は音楽クリエイターチーム・Elements Gardenからの楽曲提供が主でしたが、今回はArte Refactからの提供。
移籍が無ければ叶わなかったかもしれないこのコラボも、非常に貴重なものです。
タイトルの「ORATIO」はキリシタン用語で"祈り"の意。
『アラド:逆転の輪』のダークな雰囲気にぴったりと合った曲調と歌詞で、聴くたびに心臓が高鳴ります。
永い夜の果てで
光を探してる
この焔は黄昏か暁か
出典:「ORATIO」/ 新田恵海
ここの言い回し、非常に厨二心をくすぐられますね。
本作終盤の、何を信じていいのかわからないような混迷とした展開を端的に表現したフレーズでもあります。
サビの映像では、剣と銃と魔法が混在する独特な世界観が伝わってきますし、炎のエフェクトも非常に美しい。
あまり多くの人には知られていない、隠れた名曲です。
エンディングテーマ「朝焼けアプローチ」/ Prima Porta
【アラド:逆転の輪】エンディングノンクレジット映像「朝焼けアプローチ」/Prima Porta[大西亜玖璃/相良茉優/内田 秀/高柳知葉/首藤志奈]
歌うのは『アニソン!プレミアム!』を見ている方ならお馴染み、期待の若手声優で構成されたユニット、Prima Portaさん。
作詞はオープニングテーマと同じく真崎エリカさん。
作曲はeyelisのメンバーで、『神のみぞ知るセカイシリーズ』や、『ハヤテのごとく!』など多くの作品で楽曲提供をしている川崎里実さん。
編曲は同じくeyelisのメンバーで、岡本信彦さん、小野大輔さん、神谷浩史さんなど多くの声優アーティストに楽曲を提供してきた増田武史さんが担当しています。
Prima Portaの5人は本作にも声優として出演しています。
今思えば、5人中2人が虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のメンバーという豪華なユニットですが、間もなく大西亜玖璃さんは卒業となってしまいます。
特筆すべきは本作のメインヒロインともいえるミリアさんの非常に可愛らしい姿が見られるエンディングムービーです。
ミリアさんは本編ではかなり復讐心が描かれることが多く、可愛いというよりはカッコいい印象。
煽情的なガーターベルトに、絶妙に覗く肩のライン、雨に濡れた髪に、落ち込んだ表情と、よくよく見ればこんなに素敵な女性だったんだなと改めて感じます。
花守ゆみりさんの演技も冴えわたっていて、実は2020年夏アニメの中でもかなり好きなキャラクターのうちの一人です。
楽曲はPrima Portaのメンバー一人一人のハモリが綺麗な、可愛らしいバラードという印象。
ミリアさんの意外な一面を歌っているようで、聴くたび心が洗われる想いです。
この曲のセンターは大西亜玖璃さんが務めているので、引退するより前に『アニソン!プレミアム!』でライブで披露してくれたら嬉しいなと思っています。
おわりに
どんな作品でも2期が放送される際に1期を見ていない場合は必ず事前に予習する自分。
今回に限ってはどうやっても第1期である『アラド:宿命の門』を見ることが出来なかったので困っていましたが、無事に楽しむことが出来ました。
今はもう時間もないので腰を据えてMMORPGをプレイすることはできませんが、いつか機会があったらぜひプレイしてみたいタイトルです。
ミリアさん可愛かった!
オープニングカッコよかった!
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今後もアニメに関する記事を毎日投稿していきますので、ぜひご覧ください。
また次の記事で!