そにアニ7話が無限に続くふらいんぐうぃっちとかいう名作
— りつ@ブログ始めました (@ulotti) 2016年5月25日
各方面から絶賛され、2016春アニメで一番の癒しと名高い、『ふらいんぐうぃっち』。
今回は、第7話「喫茶コンクルシオ」を題材に私の感じる『ふらいんぐうぃっち』の素晴らしさを伝えられればと思います。
あらすじ
横浜に住んでいた15歳の木幡真琴は実は魔女。15才になったら独り立ちをして家を出るというしきたりに従い親戚の弘前の家へ。又いとこの圭や千夏、友達のなおや黒猫のチトとゆったりのんびり修行や日常を過ごす姿が描かれます。
キャスト&スタッフ
原作:石塚千尋(講談社「別冊少年マガジン」連載)
監督:桜美かつし
シリーズ構成:赤尾でこ
キャラクターデザイン:安野将人
プロップデザイン:萩原弘光
美術監督:奥村泰浩(ムーンフラワー)
色彩設計:安藤智美
音響監督:岩浪美和
音楽:出羽良影
アニメーション制作:J.C.STAFF
©石塚千尋・講談社/「ふらいんぐうぃっち」製作委員会
一度見たら忘れられない印象的な監督テロップ。元ネタはマルフクという電話金融業者の看板ですが私も子供のころ見た記憶があるので、オープニングを初めて見たとき懐かしい思いがしました。
監督の名前主張しすぎじゃない?と思われるかもしれませんが、自分的には「監督自身もふらいんぐうぃっちの世界の一部」として作品作りに取り組んでいるという姿勢を表しているのではないかなと思います。そう思わせてくれるほど、この作品の細かいこだわり等の熱量は素晴らしい。
ちなみにオープニングのコンテ演出は、大畑清隆さん。『よみがえる空 -RESCUE WINGS-』や『あさっての方向。』等、桜美かつし監督の代表作に携わったこともあり、敬意の念を評している可能性も…?
安野将人さんは本作品で初めてキャラクターデザインを担当。原作のシンプルな線をうまく生かしつつ、全キャラ非常にかわいいです。女の子の素朴な可愛さは今期一なのでは。
美術監督はムーンフラワーの奥村泰浩さん。『山賊の娘ローニャ』を現在進行形で見ている私にとっては、なるほど納得の緑の美しさ。『しまじろうのわお』も担当しているらしく、土曜朝早く起きてみている甲斐があったなと思いました。
第7話「喫茶コンクルシオ」
脚本:江夏由結 絵コンテ、演出:篠原正寛、鈴木健太郎 作画監督:山本雅章、佐藤嵩光、中西愛、前田ゆり子、猿渡聖加
季節は初春。真琴、千夏、圭、なお、チトは山へ山菜を取りに行くことにしました。チトさんの話を中心に山へ向かう一行。千夏はもうすべての行動が可愛くて言うことなしなのですが、猫のチトさんも猫らしく非常にかわいい。動物をかわいく描くことってかなり難しいと思うのですが、チトさんは言葉が通じてるというところも相まって、自慢げなポーズをとったり、不満そうな顔を見せたりなど顔だけじゃなく、行動からも様々な表情が読み取れます。
ここからは背景の話なので画像多めに。もともとアニメキャプってグレーゾーンな気がするので引用の範囲に収まるよう、少なめにしたいんですけど、背景の話だとどうしてもたくさん使いたいんですよね。どうでもいいですけど実況中とか背景をほめるときに、「背景作画すごい」と言ってる人を見るとつい、わかるんだけど…と微妙な気持ちになりますよね。
©石塚千尋・講談社/「ふらいんぐうぃっち」製作委員会
森へ入った序盤の一枚。春のあたたかな日差しとまぶしい緑がこれからの山菜取りが楽しくなることを予感させます。
©石塚千尋・講談社/「ふらいんぐうぃっち」製作委員会
道中。水辺を歩く真琴ちゃん達を引きで撮る一枚。水の描写も大変綺麗で空気のおいしさも伝わってきそうです。引きのキャラ達がいる一方で手前の草のピントのボケ具合が非常に立体感を出してくれてる気がします。立体的な背景は、描いてない部分の森も同じようにきれいなんだよという思いが伝わってきます。
©石塚千尋・講談社/「ふらいんぐうぃっち」製作委員会
山菜を採る場所に到着して一枚。キャプ画像を撮ってる私も、もはや森の中を歩いて自分で写真を撮ってる気分になってきます。右奥が段々になっていて、この後の会話でそこに触れているのは、しっかりそういう背景にしてくれと指示が通っている作品のクオリティの高さを感じさせます。
©石塚千尋・講談社/「ふらいんぐうぃっち」製作委員会
超お気に入りの一枚。光が差し込んで右側が明るくなっている一方で左側も木漏れ日で少し明るく。個人的な注目ポイントは切り株から出ている新芽。小さいながらも着実に芽吹いているそれは新春の森の生命力を感じさせます。ブログを書くためにこうやってキャプを撮らないと気付けないような場所でもあるのでブログ始めてよかったなと心から思います。
言及していませんでしたが、劇伴は『凪のあすから』の出羽良彰さん。良い意味でBGMが聞こえません。『ハイスクール・フリート』のBGMは良く聞こえますよね。そういう文脈でBGMが聞こえない。
山菜を採っている間のやり取りも大変素晴らしいのですが、背景特集だし割愛。というか、よだれたらしながら可愛すぎる…とつぶやくことぐらいしかできないし。
©石塚千尋・講談社/「ふらいんぐうぃっち」製作委員会
おうちに帰ってぜんまいを洗ってザルの上に置いた一枚。水の質感とちょうどいい緑色が新鮮さを感じさせます。こういうのがプロップデザインの仕事なのかなと思いますけどよくわからないんですよね。
結局ぜんまい食べるけどやっぱり大人の味だなと諦める千夏ちゃん。その子供っぽさが可愛らしい。
その後一行は、ケーキを食べに魔女の営む喫茶店に行くことになりました。
©石塚千尋・講談社/「ふらいんぐうぃっち」製作委員会
喫茶店に向かう道中の一枚。きれいな紫色のスミレですねえ。わざわざ止めてキャプを撮りたくなるこの気持ち、現実世界で散歩するときにも持ちたいものです。ちなみにスミレの花言葉は「謙虚」「誠実」「小さな幸せ」。こんなにこのアニメにぴったりな花言葉他にありますかね。
©石塚千尋・講談社/「ふらいんぐうぃっち」製作委員会
お昼を食べ終わって移動して、午後2~3時頃の空ですかね。元々この後のシーンのためにキャプを撮ったんですけど午前中の空と大分違ったのでそこの話も。
©石塚千尋・講談社/「ふらいんぐうぃっち」製作委員会
こちらは山菜取りに向かう途中の一枚。まだ太陽が目線にあり、何とも言えない"午前中感"がありますよね。そしてお昼過ぎの空と比べて、空が良く見えていて雲が少ない。逆に言えばお昼過ぎの空は葉っぱが画面の半分以上を占めていて雲も多い。これから魔女の営む喫茶店に行くというちょっとした不安がこの空に込められているのかなと思います。『SHIROBAKO』でも言っていた、「描きたい空」をこうやって自分で見つけることができてとてもうれしいです。
©石塚千尋・講談社/「ふらいんぐうぃっち」製作委員会
ここまで読んでくれたからならわかると思いますが一目瞭然の暗さですね。"魔女が営む""不気味さ"をここまで光の明暗で演出する作品、そうそうないでしょう。しかし明暗の演出はまだまだ続きます。
©石塚千尋・講談社/「ふらいんぐうぃっち」製作委員会
壊れた建物の中からのアングル。差してくる太陽光と手前の暗さでより異世界感が演出されています。
茜さんによるとお店の前で二礼二拍一礼しなさいとのこと。少し不思議に思いながらも実際にやってみると、
©石塚千尋・講談社/「ふらいんぐうぃっち」製作委員会
雲間から一気に差し込まれる太陽光、そして
©石塚千尋・講談社/「ふらいんぐうぃっち」製作委員会
同じ建物の中からのアングルを用いることでその明るさの差が歴然となるわけです。ナイスコンテ。ナイス演出。
©石塚千尋・講談社/「ふらいんぐうぃっち」製作委員会
こちらも4つ上の画像とほぼ同じ構図。劇的ビフォーアフター。もう入る前から存分に光の明暗の演出を味わうことができているのですが、屋内でもまた素晴らしい光の演出がなされます。
©石塚千尋・講談社/「ふらいんぐうぃっち」製作委員会
中へ入ると手前は暗いですが、テラスは明るいというはっきりとした明暗の差。魔女の営む喫茶店というちょっとした不気味さと、その一方で来たお客さんに対しての歓迎の意が感じられる光の分け方です。
©石塚千尋・講談社/「ふらいんぐうぃっち」製作委員会
中には幽霊のウエイトレスさんがいるらしく、注文するとしっかり用意してもらえます。冷蔵庫だけよく光っているのはそこには何も見えないけど確かに人が存在するといういわゆる、人影がある演出にばっちりだなと見たとき思いました。
©石塚千尋・講談社/「ふらいんぐうぃっち」製作委員会
真琴ちゃんの魔法で見えるようになっているとも知らず、テーブルの側で受け答えをする新キャラ、ひなちゃん。完全に油断して髪の毛がぼさぼさなところがまた可愛いですね。見られていることに気づくと顔を赤くして奥に引っ込んでしまいます。
この様子を見てひなちゃんが恥ずかしがり屋なんだと認識して、手前が暗くテラスが明るいこの部屋のことを考えると、この光の明暗そのものが、ひなちゃんの恥ずかしがり屋の側面と、それでもしっかりお客さんに満喫してもらおうと思うひなちゃんの優しさを表しているんだなということに気づくことができました。
ということで、つたないうえになんかポエムっぽい感じも出てしまい、少し恥ずかしい気もしますが、『ふらいんぐうぃっち』の素晴らしさが少しでも伝わればと思います。それでは。